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JK探偵、自覚する

ボクはもう一人のお兄ちゃんに言われたように、駐車場で濡れている人を引きとめていた。
そのとき、急に後ろから声をかけられた。

「真純ちゃん?なにしてるの?」
「わっ・・・!あ、さとるお兄ちゃん!」
「さっきぶり。で、見たところ一人みたいだけど・・・なにしてるの」
「あのね・・・」

ボクはさとるお兄ちゃんに話した。
車が海に落ちてきたこと、そしてもう一人のお兄ちゃんに言われてここで引きとめていたことも。
すると、さとるお兄ちゃんが、もうやめたほうがいい、と言ってきた。

「な、なんで?」
「ここは海水浴場。いくらなんでも人が多すぎる。それに・・・」

ピタッとさとるお兄ちゃんにほっぺたを触られた。
その手が、なんか冷たくて、大きくて思わずすり寄ってしまった。

「・・・やっぱり、熱いな。熱中症か?」
「?ねっちゅうしょー?」
「とにかくこれ飲め」

さとるお兄ちゃんに渡されたのはキンキンに冷えたスポーツドリンク。
だからさとるお兄ちゃんの手が冷たかったんだね?
遠慮しなくていい、と言われたからゴクゴクと一気に飲んだ。
すごく喉が渇いていたみたい。

「ちょっと日陰に移動するか」
「?うん」

さとるお兄ちゃんにひょいと抱っこされて、パラソルの下に移動した。
ムシムシと暑いのは変わってないけど、日差しがない分ちょっと良かった。
少し待ってろ、と言われて大人しく待っていると、戻ってきたさとるお兄ちゃんの手には新しいペットボトルが二本あった。

「ほら首の後ろとか、脇とかに挟んで」
「わぁ!冷たくて気持ちいい・・・!」
「・・・うん、受け答えもはっきりしてるし初期症状でよかった」
「ありがとう、さとるお兄ちゃん!」
「どういたしまして。・・・ここに世良・・・お兄ちゃん来るか?」
「・・・多分?」
「じゃあ迎えが来るまでここにいよう。俺もそれまで一緒にいるから」

さとるお兄ちゃんは持っていたタオルでボクの汗を拭いながら一緒に待ってくれた。
お兄ちゃんに頼まれたことを・・・と動こうとしたけど、どうせ探し人はここにいないから、とさとるお兄ちゃんに止められてしまった。
なんでさとるお兄ちゃんはわかるんだろう、でもさとるお兄ちゃんがそう言うからいいや!
それよりも、さとるお兄ちゃんといろんな話をしたから全然楽しかったよ!
クラスメイトや先生に褒められたこと、運動が何よりも好きなこと、勉強が苦手なこと、男の子によく間違えられること・・・たくさん話した。

「どこからどう見ても真純ちゃんは女の子なのにな。・・・まあ活発ではあるか」
「えへへ、よくママにどこ行ってたの?って怒られる」
「ハハ、もう少し周りを見ないとな」

さとるお兄ちゃんのこともたくさん教えてくれた。
吉兄ちゃんとは友達というよりライバルなんだって。よくテストとか将棋とか・・・いろんなもので競争してるんだって。
・・・本当に、なんでも話した。
いつの間にか、もう一人のお兄ちゃんに頼まれたことも忘れて、ボクがさとるお兄ちゃんの声をずっと聞いていたくてくだらないことばっかり質問した。

「真純!」

その時間ももうおわり。
ママに呼ばれて、さとるお兄ちゃんともっと話したかったな、って思ったけど・・・さとるお兄ちゃんは吉兄ちゃんと喋ってたからボクとは喋れなかった。


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Good!