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JK探偵、自覚する

「世良ちゃん、大丈夫?」
「・・・ああ」

そんなある日、蘭君たちと買い物に行ったときにエレベーターが緊急停止した。
しかも非常ボタンが使えず、携帯の電波も届かなくて外と連絡が取れない。
どうすれば・・・と困っていると、蘭君がコナンくんならきっと大丈夫だ、と言ってくれた。

「そういえば、さっきから音がしないか?」
「そうね・・・なんかカチカチって時計の針のような・・・」

もしかして、とボクはある仮定を思いついた。
蘭君たちに動いちゃだめだ、このエレベーター外に出ないように、と言った。
もしかしたら爆弾があるかもしれない、と言えばきっと蘭君たちは混乱してしまうだろう。
とにかく酸素が薄くなる、とかなんとか言って大人しくしよう、ということになった。

・・・どのぐらい時間が経っただろうか。
まだコナンくんは来ないのか?
蘭君たちの不安ももう限界だ。
やっぱりここはボクが・・・
そう思ったとき、エレベーターのドアが金属音を立てた。

「蘭姉ちゃんたち、大丈夫?」
「コナンくん・・・!」
「ガキンチョ・・・!よくやった」
「ちょっと待ってて!」
「コナンくん、このエレベーターには」
「うん、わかってるよ。大丈夫、その専門の人を呼んでるから」

コナンくんの心強い言葉にほっとした。
まだ時間かかるからもうちょっと待って、というコナンくんの言葉に蘭君たちも安心してきたみたいだ。
だが・・・
ボクは、はっきり言って限界寸前まできていた。
エレベーターが緊急停止したことで、消灯した電気、暗い密室の中に長い時間の拘束。
それが少しずつ昔の、トラウマがそこまできている。
お願い、コナンくん早く・・・!
爆弾が撤去されるまでの時間がものすごく長く感じた。

『・・・真純ちゃん』

「あ、」

もうあの男はどこにもいないはずなのに。
それなのに、まさに今ここにいるような・・・またあの部屋にいるような。

『真純ちゃん、かわいいね・・・』

やめろ・・・やめてよ。
こっちに来ないで。

『真純ちゃんは、かわいいかわいい女の子だ』

もうやめて、お兄さん。
私に、近づかないで。

「真純」

暗闇から一気に引き上げられたような、そんな感覚。
私は気がつけば温かい何かに包まれていた。

「大丈夫・・・もう大丈夫だから。ゆっくり息して?」
「はぁ・・・は、」
「・・・うん、上手。真純はえらいね」
「わたし、えらい・・?」
「うん、えらいよ。・・・抱っこしよっか」
「だっこ・・・」

ふわりと優しく抱き上げられて、そのまま頭を優しく撫でられる。
いつもよりもずっと高いその視線にちょっと怖くなって、その人の頭にしがみつく。
・・・その髪の毛は綺麗な銀。
そして、どこか眩しいところに着いた。

「やだ、やだ・・・!」

その人から無理に引き離されるのが嫌で、その人に必死にしがみつく。
何も怖くないよ、と言うようによしよしと頭は撫でられたまま。
ボロボロとこぼれる涙が私の視界を邪魔するけど、それでもその人の服から頭を離さなかった。

「、・・・、」
「・・・うん、そうしよう。真純、車乗れそう?俺も一緒に行くから」

優しいその声に頷いた。
この人と一緒ならいい。
でも、泣いたからなのか安心したからなのか、ものすごい睡魔が襲ってきて。

「いいよ、そのまま寝ちゃいな」
「うん・・・」

私は抱きついたまま目をつむった。
起きても、この人が傍に居てくれますように・・・そう願って。
私、この人の手を知ってるような気がする。
この前も、銀色の、青色のお兄ちゃんが助けに来てくれたんだ。
やっと・・・会えたね、さとるお兄ちゃん。


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