JK探偵、自覚する
真純side
「そういえばさ、世良ちゃんって好きな人いないの?」
ある日の学校帰り、ボクはいつも通り蘭君と園子君と一緒に行動していた。
今日は園子君が気になっていたポアロじゃない喫茶店。なんでもここのドーナツがとても美味いだとか。
・・・うん、確かに美味い。思っていたよりも甘くないんだな。味の種類も豊富だし。
で、その美味いドーナツを食べている最中に蘭君にそう聞かれた。
「え・・・急にどうしたんだ?」
「いやだってさ・・・私や園子の恋バナにいつも世良ちゃんが聞いてくれるでしょ?たまには世良ちゃんの話も聞きたいなぁ、って」
「確かに~ほら、話しちゃいなさいよ!」
「えぇ?・・・好きな人か」
そう言われてパッと思い浮かんだのは、まさかの人。
自分の考えに驚いて、思わず机に突っ伏してしまった。
「え?!世良ちゃん、大丈夫?」
「なになに、どうしたの?」
蘭君たちが声を掛けてくれているのは嬉しいけど、こっちはそれどころじゃない!、と叫びたくなるほど動揺していた。
なんで、アイツが思い浮かんだんだ?
いや待て、待てよ・・・!
「・・・もしかして、悩んでる?」
「世良ちゃん、私たちなら相談乗るよ?」
「・・・じゃあさ、聞きたいことがあるんだけど」
「「うん」」
「その、キミたちはいつこう、好きだと自覚したの?ボク・・・そういう『好き』だとかよくわからなくて・・・」
蘭君たちなら笑わないで聞いてくれる。世良ちゃんらしくまいね、とはこの子たちは言わない。だから聞くことができた。
「そうね・・・やっぱり『かっこいい!』かしら。ほら、真さんに助けてもらったのがきっかけだったのよね」
「うーん、私は新一と幼馴染だけど、好きだと自覚したのは遅かったんだよ?・・・でも園子と一緒で、新一のこと『かっこいい』って思うところがあったからかも。まあ『ほっとけない』っていうのもあるけど」
「「で、世良ちゃんは?」」
「うーん・・・それが全然・・・『かっこいい』なんて思ったことないし。むしろ、嫌いって大々的に言っちゃったし・・・」
「え、そうなの?」
「だからわからないんだ。嫌いなはずなのに、なんだか気になるし、子ども扱いされるのは腹立つ。なんだかよくわかんないけど強いし。でも体調壊すとムズムズするし。・・・あ、でもそんだけ嫌いってことか」
ボクがそう言うと、蘭君たちはお互い目を合わせて頷いていた。
「じゃあさ、想像してみれば?」
「え、なにを?」
「その人が別の女と楽し気に話していたらどう思う?」
そう言われて思い出すのは、ミステリートレインを降りたあの瞬間。
綺麗なお姉さんにハグでもしているのかと見えるほど近い距離。
・・・ああ、あの時確かボクは、
「こう、モヤモヤする。なんて言えばいいのかわからないけど」
「!じゃあ、」
「世良ちゃん、例えばその人からプレゼントを貰いました。どう思った?」
プレゼント?
・・・ああ、そういえば、これ世良に似合う、って服教えてもらえたな。
でも、
「・・・嬉しいけど悲しい」
「悲しい?それはなんで?」
「だって、慣れてたから・・・他の人にもあげてるのかな、って」
「・・・・・・世良ちゃん、それって」
「うん、間違いないわね」
「え、なに?」
「「それって、その人が『好き』ってこと!」」
「だってモヤモヤするとか悲しいとか、それって嫉妬でしょ?」
「子ども扱いされて腹立つのはそうされたくないってことだよね?その人が体調壊してムズムズするのは心配だから。なんだか気になるのも、その人が好きだからだよ」
「好き・・・?」
え、そうなのか?
ボクがあんなにもアイツのことを気になってるのは、好きだから?
「「って思うんだけど、世良ちゃんはどう?」」
「・・・うん。好き、なのかも」
「「やっぱり!!!」」
蘭君たちは手を取り合って盛り上がっていた。
どうする?告白する?、とかいろいろ言われたけど、あることに気づいて一瞬で血の気が引いた。
「ど、どうしよう・・・」
「え、どうしたの?顔真っ青よ?」
ポロポロと目から水滴がこぼれる。
なんだよ、これ・・・ああ、涙か。久しぶりすぎてわかんなかった。
「ボク、その・・・別の人と結婚の約束があるんだ」
「「え?!」」
「どうしよう・・・ボク、アイツのこと好きになったら・・・でもアイツ、いい大人だよ?絶対好きになったらいけないのに・・・アイツにとってボクが子供なのは間違いないのに、そんなの、」
「・・・世良ちゃん、その『アイツ』って私たちでも知ってる?」
「もしかして、世良ちゃんの好きな人って・・・」
「え、蘭気づいたの?」
「うん、もしかして・・・五条先生?」
蘭君に言われて、涙腺が決壊した。
それでも、ボクはこくりと頷いた。
「やっぱり・・・最近世良ちゃん、五条先生のこと心配してたみたいだったから」
「五条先生かあ・・・それに、結婚って・・・親にでも言われた?」
違う・・・違うんだよ。
結婚の約束を持ち出したのはボクの方。
それに結婚の約束を果たしに日本に来たのも同然。
泣きながらもそう言った・・・蘭君たちはボクが泣き止むまで何も喋らず、背中をさすってくれた。
「そういえばさ、世良ちゃんって好きな人いないの?」
ある日の学校帰り、ボクはいつも通り蘭君と園子君と一緒に行動していた。
今日は園子君が気になっていたポアロじゃない喫茶店。なんでもここのドーナツがとても美味いだとか。
・・・うん、確かに美味い。思っていたよりも甘くないんだな。味の種類も豊富だし。
で、その美味いドーナツを食べている最中に蘭君にそう聞かれた。
「え・・・急にどうしたんだ?」
「いやだってさ・・・私や園子の恋バナにいつも世良ちゃんが聞いてくれるでしょ?たまには世良ちゃんの話も聞きたいなぁ、って」
「確かに~ほら、話しちゃいなさいよ!」
「えぇ?・・・好きな人か」
そう言われてパッと思い浮かんだのは、まさかの人。
自分の考えに驚いて、思わず机に突っ伏してしまった。
「え?!世良ちゃん、大丈夫?」
「なになに、どうしたの?」
蘭君たちが声を掛けてくれているのは嬉しいけど、こっちはそれどころじゃない!、と叫びたくなるほど動揺していた。
なんで、アイツが思い浮かんだんだ?
いや待て、待てよ・・・!
「・・・もしかして、悩んでる?」
「世良ちゃん、私たちなら相談乗るよ?」
「・・・じゃあさ、聞きたいことがあるんだけど」
「「うん」」
「その、キミたちはいつこう、好きだと自覚したの?ボク・・・そういう『好き』だとかよくわからなくて・・・」
蘭君たちなら笑わないで聞いてくれる。世良ちゃんらしくまいね、とはこの子たちは言わない。だから聞くことができた。
「そうね・・・やっぱり『かっこいい!』かしら。ほら、真さんに助けてもらったのがきっかけだったのよね」
「うーん、私は新一と幼馴染だけど、好きだと自覚したのは遅かったんだよ?・・・でも園子と一緒で、新一のこと『かっこいい』って思うところがあったからかも。まあ『ほっとけない』っていうのもあるけど」
「「で、世良ちゃんは?」」
「うーん・・・それが全然・・・『かっこいい』なんて思ったことないし。むしろ、嫌いって大々的に言っちゃったし・・・」
「え、そうなの?」
「だからわからないんだ。嫌いなはずなのに、なんだか気になるし、子ども扱いされるのは腹立つ。なんだかよくわかんないけど強いし。でも体調壊すとムズムズするし。・・・あ、でもそんだけ嫌いってことか」
ボクがそう言うと、蘭君たちはお互い目を合わせて頷いていた。
「じゃあさ、想像してみれば?」
「え、なにを?」
「その人が別の女と楽し気に話していたらどう思う?」
そう言われて思い出すのは、ミステリートレインを降りたあの瞬間。
綺麗なお姉さんにハグでもしているのかと見えるほど近い距離。
・・・ああ、あの時確かボクは、
「こう、モヤモヤする。なんて言えばいいのかわからないけど」
「!じゃあ、」
「世良ちゃん、例えばその人からプレゼントを貰いました。どう思った?」
プレゼント?
・・・ああ、そういえば、これ世良に似合う、って服教えてもらえたな。
でも、
「・・・嬉しいけど悲しい」
「悲しい?それはなんで?」
「だって、慣れてたから・・・他の人にもあげてるのかな、って」
「・・・・・・世良ちゃん、それって」
「うん、間違いないわね」
「え、なに?」
「「それって、その人が『好き』ってこと!」」
「だってモヤモヤするとか悲しいとか、それって嫉妬でしょ?」
「子ども扱いされて腹立つのはそうされたくないってことだよね?その人が体調壊してムズムズするのは心配だから。なんだか気になるのも、その人が好きだからだよ」
「好き・・・?」
え、そうなのか?
ボクがあんなにもアイツのことを気になってるのは、好きだから?
「「って思うんだけど、世良ちゃんはどう?」」
「・・・うん。好き、なのかも」
「「やっぱり!!!」」
蘭君たちは手を取り合って盛り上がっていた。
どうする?告白する?、とかいろいろ言われたけど、あることに気づいて一瞬で血の気が引いた。
「ど、どうしよう・・・」
「え、どうしたの?顔真っ青よ?」
ポロポロと目から水滴がこぼれる。
なんだよ、これ・・・ああ、涙か。久しぶりすぎてわかんなかった。
「ボク、その・・・別の人と結婚の約束があるんだ」
「「え?!」」
「どうしよう・・・ボク、アイツのこと好きになったら・・・でもアイツ、いい大人だよ?絶対好きになったらいけないのに・・・アイツにとってボクが子供なのは間違いないのに、そんなの、」
「・・・世良ちゃん、その『アイツ』って私たちでも知ってる?」
「もしかして、世良ちゃんの好きな人って・・・」
「え、蘭気づいたの?」
「うん、もしかして・・・五条先生?」
蘭君に言われて、涙腺が決壊した。
それでも、ボクはこくりと頷いた。
「やっぱり・・・最近世良ちゃん、五条先生のこと心配してたみたいだったから」
「五条先生かあ・・・それに、結婚って・・・親にでも言われた?」
違う・・・違うんだよ。
結婚の約束を持ち出したのはボクの方。
それに結婚の約束を果たしに日本に来たのも同然。
泣きながらもそう言った・・・蘭君たちはボクが泣き止むまで何も喋らず、背中をさすってくれた。