元最強、その体にはガタが来ている
「あれ~?珍しいね、みんなでお買い物?」
「あ、五条先生!」
休日のある日、デパートのご当地物産展を目当てに行ったら教え子たちがいた。
・・・なんか最近、よく会うね。
あ、今日も世良一緒なんだね。仲良くなったみたいで良かった良かった。
「五条先生はどうしたんですか?」
「ご当地物産展を目当てに来たの。別に旅行行けばいいんだけどさ、今日は特に珍しいものが揃っているみたいだから」
「え、そうなんですか?じゃあ、お昼食べたらそっちも行こうよ二人とも」
「いいね!・・・あ、世良ちゃん目ぼしいものはあった?」
「んーいつも機能性重視だからなぁ・・・あ、先生」
「やっほー」
そういえば、あの海の件から初めてちゃんと話したかも。
きっとそのお腹には、少なからず傷痕は残っているんだろうなあ。
「ねね、蘭!ここは五条先生に聞いてみない?」
「え、でも・・・」
「なになに、どうしたの?」
鈴木が毛利に対して何か言っていて、しかも毛利が申し訳ないよ、って言ってるから気になってしまった。
あのね、と鈴木が言うには・・・
「これとこれだったら?」
「鈴木ならこっち、もう片方は毛利の方が似合いそう」
「・・・これ着るときの下のボトムスって・・・」
「こういう色味とか持ってくるといいんじゃないかな」
「なるほど!ありがとうございます」
なんかちょっとお高いレストランで食事会をするんだそうだ。
ドレスコードはないとはいえ、少しは綺麗目な格好をしたいとここに買い物に来たんだという。
そこで、大人の男性目線としての意見が聞きたいのだそうだ。
鈴木ぐらいのお嬢様ならそういう場は慣れていそうなもんだけど・・・そう思っていたら候補がありすぎて困っている、というのだから僕も少しだけ尽力することにした。
「・・・で、世良は?」
「さっきからいろいろ、これはどう?、って聞いてるんですけどどこかピンとこないみたいで・・・」
「ボクはいつもの格好でいいよ」
「せっかくだから世良さんもオシャレしようよ!」
「・・・世良はスカートとか履かないの?」
「ボクなんかには似合わないから・・・」
世良からは相変わらず何も読み取れない 。
それでも、その表情からこの前の『女の子』扱いをされたくないことから多分ここが線引きなんだと読み取ることができた。
「・・・じゃあこれとかは?」
「わあ・・・!」
「これだとぱっと見スカートだけど実際はズボンだし、世良は足が長いからこういうの似合うよ。より大人っぽく見える」
「素敵じゃない、これにしたら?世良ちゃん」
「う、うん・・・!」
よかった、気に入ったみたいだ。
ひとまず世良の強張っていた顔が緩んで、僕も肩の力を抜けた。
ふと携帯で時間を見ると、自分で思っていたよりも時間が経っていたみたいだ。
「・・・っと、僕もう時間だから行くね。また学校でね」
「先生、ありがとう!今度、おいしいお菓子あげます」
「お、それは楽しみにしておくよ、鈴木」
「五条先生、アドバイスありがとうございます!先生、すごいですね。まさかそんなにセンスあるとは思っていませんでした」
「こら毛利、僕をなんだと思ってるの?・・・世良のトップス、ノースリーブならよりいいんじゃないかな。まあ僕の意見だけどね」
「!・・・先生、さすが」
去り際に毛利の耳元でそう囁くと、毛利が力強く頷いた。
きっと、彼女たちの買い物はまだ終わらないだろう。
・・・プレゼントはできないけど、これぐらいはしてもいいかな。
ちょっとした独占欲が混じった言葉は僕しか知らない。
後日、毛利にこっそりと食事会の時の世良の写真を見せてもらったが、僕の見立て通り可愛らしい彼女が笑っていた。
「あ、五条先生!」
休日のある日、デパートのご当地物産展を目当てに行ったら教え子たちがいた。
・・・なんか最近、よく会うね。
あ、今日も世良一緒なんだね。仲良くなったみたいで良かった良かった。
「五条先生はどうしたんですか?」
「ご当地物産展を目当てに来たの。別に旅行行けばいいんだけどさ、今日は特に珍しいものが揃っているみたいだから」
「え、そうなんですか?じゃあ、お昼食べたらそっちも行こうよ二人とも」
「いいね!・・・あ、世良ちゃん目ぼしいものはあった?」
「んーいつも機能性重視だからなぁ・・・あ、先生」
「やっほー」
そういえば、あの海の件から初めてちゃんと話したかも。
きっとそのお腹には、少なからず傷痕は残っているんだろうなあ。
「ねね、蘭!ここは五条先生に聞いてみない?」
「え、でも・・・」
「なになに、どうしたの?」
鈴木が毛利に対して何か言っていて、しかも毛利が申し訳ないよ、って言ってるから気になってしまった。
あのね、と鈴木が言うには・・・
「これとこれだったら?」
「鈴木ならこっち、もう片方は毛利の方が似合いそう」
「・・・これ着るときの下のボトムスって・・・」
「こういう色味とか持ってくるといいんじゃないかな」
「なるほど!ありがとうございます」
なんかちょっとお高いレストランで食事会をするんだそうだ。
ドレスコードはないとはいえ、少しは綺麗目な格好をしたいとここに買い物に来たんだという。
そこで、大人の男性目線としての意見が聞きたいのだそうだ。
鈴木ぐらいのお嬢様ならそういう場は慣れていそうなもんだけど・・・そう思っていたら候補がありすぎて困っている、というのだから僕も少しだけ尽力することにした。
「・・・で、世良は?」
「さっきからいろいろ、これはどう?、って聞いてるんですけどどこかピンとこないみたいで・・・」
「ボクはいつもの格好でいいよ」
「せっかくだから世良さんもオシャレしようよ!」
「・・・世良はスカートとか履かないの?」
「ボクなんかには似合わないから・・・」
世良からは相変わらず何も
それでも、その表情からこの前の『女の子』扱いをされたくないことから多分ここが線引きなんだと読み取ることができた。
「・・・じゃあこれとかは?」
「わあ・・・!」
「これだとぱっと見スカートだけど実際はズボンだし、世良は足が長いからこういうの似合うよ。より大人っぽく見える」
「素敵じゃない、これにしたら?世良ちゃん」
「う、うん・・・!」
よかった、気に入ったみたいだ。
ひとまず世良の強張っていた顔が緩んで、僕も肩の力を抜けた。
ふと携帯で時間を見ると、自分で思っていたよりも時間が経っていたみたいだ。
「・・・っと、僕もう時間だから行くね。また学校でね」
「先生、ありがとう!今度、おいしいお菓子あげます」
「お、それは楽しみにしておくよ、鈴木」
「五条先生、アドバイスありがとうございます!先生、すごいですね。まさかそんなにセンスあるとは思っていませんでした」
「こら毛利、僕をなんだと思ってるの?・・・世良のトップス、ノースリーブならよりいいんじゃないかな。まあ僕の意見だけどね」
「!・・・先生、さすが」
去り際に毛利の耳元でそう囁くと、毛利が力強く頷いた。
きっと、彼女たちの買い物はまだ終わらないだろう。
・・・プレゼントはできないけど、これぐらいはしてもいいかな。
ちょっとした独占欲が混じった言葉は僕しか知らない。
後日、毛利にこっそりと食事会の時の世良の写真を見せてもらったが、僕の見立て通り可愛らしい彼女が笑っていた。