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元最強、自覚する

・・・肝が冷えた。
真純が夜の海に投げ出されたことも、それも犯人に包丁で刺されてそのまま。
周りが止めるのも構わず、俺は後を追って飛び込んだ。
目隠しなんかいらない。
今は邪魔だ、とにかく真純が最優先。
・・・見つけた!
でも、真純が諦めたように目を閉じているのが気に食わない。
なに、ここで死ぬ気なの?
・・・そんなの、僕が許さない。
真純、諦めないで。
俺を置いていかないで。
俺を一人にしないで。
その思いが届いたのか、真純が目を開けてくれた。
・・・ああ、お前の目には今の俺はどんな風に映っているんだろう。
すると、真純が手を伸ばしてくれた。
俺はその手をしっかりと握って、そのままその体を抱き込んで水面に向かって泳いだ。

「ぷはっ!・・・真純!おい、真純!!しっかりしろ・・・!!」

その声は僕にしてはあまりにも感情的だった。
だいぶ水を飲みこんでしまったのか、真純は咳きこみながらなんとか酸素を取り込もうとしている。
その背中をさすりながら陸に上がる。
コナンくんたちが心配そうにこっちに走り寄ってくるのが見えた。
・・・今のうちに目隠しをしておこう。
そう思った時に、真純に顔を掴まれた。

「!・・・真純?」
「さとる、おにいちゃん・・・」
「!?」

・・・やっぱり気づいたか。
今の僕は目隠しを外しているから、普段逆立っている髪の毛は下りているし、目も隠していない。

「・・・心配した。俺を一人にしないで、真純」

気を失った真純に聞こえたかどうかはわからないけど、真純の冷えた体を強く抱きしめる。
本当に、心臓が止まるかと思った。
俺が言えた話じゃないけどさ。生きる意味ならいくらでもあげるから、生きるのを諦めないで。
・・・お前が好きだよ、真純。
本当に、愛おしくて愛おしくて・・・幸せでいてほしい。

『悟・・・その力は命を削る。あんまり、むやみやたらに使ってはいけないよ』

・・・父さんの言葉を思い出す。
僕は、この子を残して死んでしまうのか。
ーーーー死にたくないな。
前世では絶対思えなかった言葉を心の中で呟いた。

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Good!