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元最強、なんだか調子が悪い

「なあ」
「ん?どうしたの、世良」
「アンタ・・・ボクに拳銃を突きつけているってわかっていたのか?あのコナンくんでさえ動かなかったのに」
「ああ。世良が珍しく反撃しなかったから脅されてるんだな、っていうのはわかったよ。まさか拳銃だとは思わなかったけど」

世良が僕に話しかけてきた。周りには誰もいない。
噓も方便。悪いけど、まだ教えないよ。

「それよりも怪我ない?世良はすぐ隠すから、先生心配だよ」
「・・・なんで、そんなに気にかけてくれるんだよ。ただの、アンタの生徒だろ?」

絞り出すように世良はそう言った。
・・・まあ、確かに他よりも気にかけてるし、事実だわ。
うーん、なんて言おうっかな。

「アンタだけだよ。ボクに『怪我ない?』って聞いてくんの」
「ハハ、誰だって怪我するときはするでしょ。人間なんだから」
「・・・真純」

当然言われたその音に驚いた。
思わず動きが止まってしまったのは仕方ない。
だって、本当に急だったから。

「アンタ、よくボクをそう呼ぼうとしているところあるよな」
「・・・そうかな?」
「さっきも、目隠し片目だけ上げてたし。・・・ボクとアンタ、もっと昔に会ったことあるのか?」

世良にとって当然の疑問だっただろう。
僕は世良の担任の先生。
世良はそれぐらいにしか思っていないんだから。

「・・・さあ?どうだろうね」
「まばたき3回だっけ?目隠しがなければわかったのにな」
「ああ、安室が言ってたやつね。あれ、聞いたときビックリしたよ。無意識って怖いね~」
「・・・そうやって、話題を逸らすことでアンタは自分を守ってきたんだろうな。アンタは守りが硬い。いつも、厚い厚い仮面を被ってる。アンタの本音はどこにあるんだよ・・・!」
「なんで世良が怒ってんの?・・・僕のことなんかで怒らなくていいんだよ」
「アンタが怒らないからだろ・・・!」

世良は優しいね・・・涙目で僕を見つめてくる世良が可愛くて仕方なかった。
でもそれは口には出さない。
だって、世良はそれを望んでいない。
僕は世良を読むことはできないけど、それでも世良の今の表情は何かを我慢しているものだから。
・・・その後、僕と世良の間には沈黙が広がった。
世良は僕から隠れるように下を俯いたから、僕も無理強いはしなかった。
世良がその場を走り去るまで、僕はその場から動かなかった。



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