「うわっ！」
「来るな！来たらこいつを刺すぞ！！」
「世良ちゃん！」

うわ・・・犯人が逆上して世良に刃物を向けて人質にした。
人質って・・・呪霊と変わんないじゃん。
でも、この場にはコナンくんがいるし、きっと・・・
いや、待て！

「このっ・・・！」

世良が抵抗をやめた・・・？どうしてだ？
世良の実力なら何も問題なく、犯人を一掃できるはず。しかし、それを敢えてしないってことは・・・

「・・・しょうがない」

目隠しを片目だけ上げて、見る。
そして、世良の背中に突きつけられているものを見て納得した。
・・・あれじゃ、動けないよな。
でも、ここで誰かが動けば世良の背中に突きつけられた銃が発砲する。
さて、どうするか・・・コナンくんも世良の無抵抗に疑問に思っているみたいで動かない。
あんまり喋りは得意じゃないんだけど。

「ねえ、キミさあ」
「あぁ？！」
「娘さんの敵討ちだったんでしょ？でも、娘さん悲しむんじゃないかな・・・自分の敵だけじゃなくて、何の罪のない人を傷つけるなんて」
「・・・黙れ！うるさい、うるさい！」
「もうやめなよ・・・娘さんに嫌われるよ？」
「うるせぇって言ってんだろ！」

僕と犯人の距離はここにいる奴らの中で一番遠い。
だから犯人が取る行動は一つに絞られる・・・その拳銃で僕を黙らせること。

「ボクを忘れちゃいけない、な！」
「がはっ！！！」

そうなったら世良を縛るものはなくなる。
持ち前のジークンドーで終わり。
犯人は世良の一撃で再起不能となった。そして、そのまま警察に連行されていった。