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JK探偵、過去を振り返る

ママにようやく会えて、抱きついて泣いた。
そして、ママに話した。楽しかったこと、でも辛かったこと・・・全てを話した。

『ママ・・・私、女の子やめる』
『真純・・・』
『私は、   ・・・お兄ちゃんに褒められたかっただけ。女の子なんて、もう嫌。でも、ボクの性別は女だから。   ・・・お兄ちゃんにまた会えたら、ボクは『女性』になるよ』
『・・・わかった。真純が言うなら、そうしよう』
『・・・ありがとう、ママ』
『そうだ。真純、ジークンドーをやらないか?』
『ジークンドー・・・?』
『ああ。自分の身を守る術として。もう二度と、こんなことにならないためにも』
『強くなれる?』
『もちろん。・・・しばらく休もう。秀一にでも会いに、アメリカに行くか』

せっかく伸ばしていた髪の毛はまたショートカットに、服も男の子と変わらないものを選んで。
可愛いものはすべて捨てた。

秀兄と吉兄にはボクからは何も話さなかった。
でも、ママから聞いたのか二人ともすごく心配してくれて・・・『弟』のように接してくれた。
『妹』も『弟』も何も変わらないけど。でも、『女の子なんだから』とは言わなくなった。

優しい吉兄は戸惑っていたみたいだけど、ボクの意思を尊重してくれて嬉しかった。
誰かに触れられるのも一時期は全然ダメで、それでも吉兄はいつも、大丈夫だ、と言ってくれた。

秀兄は忙しい合間を縫って、電話をくれた。
秀兄の低い声に安心して、眠ってしまったこともあった。

『・・・真純』
『はぁ・・・はぁ・・・なに?秀兄』
『真純は一人じゃない。必ず、誰かを頼れ。・・・いいな?』
『・・・うん!』

・・・そんなことも言ってくれたっけ。

ママは一番ボクを心配してくれて、一時期は同じベッドで寝ていた。悪夢を見たボクを抱きしめてくれた。

家族はボクのわがままにいつも応えてくれた。
だから、いつかちゃんと恩返しがしたい。
また、家族一緒に笑いあって、幸せに満ち溢れた時間を一緒に・・・
そう思っていたのに、秀兄が死んじゃったんだからもうその願いは叶わない。

今でも思うんだ。
こうして、夢から覚めたらまたあの部屋に閉じ込められているんじゃないか、って。
全部、全部ボクの妄想で、弱っちい『私』のままなんじゃないか、って。
・・・あれ?   ・・・お兄ちゃんの声ってどんな声だったっけ。
顔は?

『真純、・・・およめ、ってくれ、?』

・・・思い出せない、あんなに大事な大事な約束だったのに。
そもそも迎えに来てくれるんだっけ?ボクが迎えに行くだっけ?
・・・何もわからない、それがとてつもなく怖くて。
綺麗な綺麗な青、あの海は確かにボクにとって特別だった。

『真純、日本に行こう。そして、お前の大事な魔法使いにも旦那にも会いに行こう』

もう限界だったボクにママはそう言ってくれた。
ボクは二つ返事で頷いた。


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Good!