元最強、たまには表舞台に出てみる
で、その日は珍しく夢を見た。
昔から夢の中では使い物にならないこの眼。
今日もいつもと一緒で、なんの情報もない、いつ終わるかもわからない夢だった。
悟、と優しく俺を呼ぶその人。
幼い俺はその人に強く抱きついた。
前世では裏切られた親友、今世では殺されてしまった父親。
『父さん!』
『おっと・・・悟は元気だね』
いつも大きなその手で頭を撫でてくれた。
俺と同じ髪と眼の色。俺は昔から父さんの目に、父さんと瓜二つの俺が映りこむのが好きだった。
『・・・悟、私からのお願いだ。どうか、お前だけは・・・その力に潰されないでおくれ』
『?うん!』
まだその頃の俺は父さんから受け継いだ力を詳しく知らなかった。
どうせ、大丈夫。
それぐらいにしか気にしていなかった。
父さんは幼いころから悪い大人たちに無理を強いられていたらしい。
その頃の傷痕として、父さんの右目の視力は失われていた。残された左目もかなり弱い視力だった。
それでも父さんの力は強かった。明確に教えてもらったことはなかったけれど、多分、今の僕ですら勝てない。
だって、父さんは確実性のある未来を手にすることができた。
いや、正確には父さんが叶えられる範囲内で未来を見ることができた、といった方がいいのかな。
その力をもってしても母さんの死は覆せなかった。そして、自分自身の死も。
その翌日、父さんは誰かによって殺されてしまった。
昔から夢の中では使い物にならないこの眼。
今日もいつもと一緒で、なんの情報もない、いつ終わるかもわからない夢だった。
悟、と優しく俺を呼ぶその人。
幼い俺はその人に強く抱きついた。
前世では裏切られた親友、今世では殺されてしまった父親。
『父さん!』
『おっと・・・悟は元気だね』
いつも大きなその手で頭を撫でてくれた。
俺と同じ髪と眼の色。俺は昔から父さんの目に、父さんと瓜二つの俺が映りこむのが好きだった。
『・・・悟、私からのお願いだ。どうか、お前だけは・・・その力に潰されないでおくれ』
『?うん!』
まだその頃の俺は父さんから受け継いだ力を詳しく知らなかった。
どうせ、大丈夫。
それぐらいにしか気にしていなかった。
父さんは幼いころから悪い大人たちに無理を強いられていたらしい。
その頃の傷痕として、父さんの右目の視力は失われていた。残された左目もかなり弱い視力だった。
それでも父さんの力は強かった。明確に教えてもらったことはなかったけれど、多分、今の僕ですら勝てない。
だって、父さんは確実性のある未来を手にすることができた。
いや、正確には父さんが叶えられる範囲内で未来を見ることができた、といった方がいいのかな。
その力をもってしても母さんの死は覆せなかった。そして、自分自身の死も。
その翌日、父さんは誰かによって殺されてしまった。