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最強、転生する

それからの僕(中身は28歳)は赤子として過ごしていた。
いやー、最悪よ?抱っこならまだしも、哺乳瓶でミルク飲むとか何をするにも本能が勝って泣くし。
まあ、でももう慣れたかな。転生したってわかったから。

僕は前世(28歳の僕をそう呼ぶことにする)と同じ名前でも家庭環境は大きく違っていた。
両親である硝子と傑も前世では考えられないほど変わっていた。
しかもなんとこの世界には呪霊がいない。ということは必然的に呪術師もいないということになる。
両親が寝付いている間に自分の身体を調べてみたけど、呪力がかなり少なくないに等しい状態だった。つまり術式は必然的に発動しない。

なのに、容姿は一緒。この前、鏡に映った父親と僕は瓜二つだった。前世の僕そのまま。
なんだけど前世とは違っていることも起きている。
まず視界が何が何だかわからないものが宙に浮いている。
それは漢字だったりひらがなだったり数字だったり様々。だけどそれがなんと読むのかわからない。
何が何だかわからなくて、赤子このからだ・・・まあギャン泣きした。
硝子(母の力って偉大なんだな。赤子って母親に抱っこされるとすぐ泣き止めるもん)に抱っこされてもその時は泣き止むことができない。
だって涙に濡れても目を閉じてもそれは見えるんだもの。怖いったらありゃしない。僕、元最強なのにね。

「悟。おめめをつぶろうか」

傑は慣れたように僕のまぶたに片手を当てた。するとあら不思議。さっきより文字が薄くなっていくのだ。まあ見えてるのはかわらないけど。
ようやく泣き止めた僕に、傑は泣いてた。これは父親である傑の能力を受け継いでしまったのだと、硝子と傑の会話からわかった。
ごめん、ごめん、と何度も涙を流しながら謝る傑に硝子はその度に、大丈夫だ、と慰めていた。

次に、僕の名字が『五条』ではないこと。
今世の僕の名前は『菅原悟』。あれ?すがわら、ってすごく関連しているような・・・
なんか知らないけど菅原は菅原でも位の高い家らしい。で、あまりにも家が醜悪で両親は命からがら逃げだしたらしい。
悟は何も縛られず、のびのびと生きてほしい、それが両親の願い。

僕の六眼(今世でもそう言うのかはわからないけど)は教えてくれる。
体の弱い母の寿命がすぐそこまで迫っていること。
父もあまり長生きできないこと。
・・・これからの僕はどうなるんだろう。


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Good!