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元最強、ある組織のある幹部とは特別な事情がある

「彼女なら僕が預かりますよ?」
「・・・」

真純を横抱きにして廊下を歩いていた一人の男性。
思わず殴りそうになったけど、その人の中を読んでやめた。

「あ、僕その子の担任の先生なんです。なんかあなた、急いでいるみたいですし・・・安心してください、彼女なら僕が責任を持って元の部屋まで運びますから!」
「・・・そうでしたか。ならお願いしても?」
「はい!では、いってらっしゃい!」

あ、ちょっと突っ込みすぎたかな?
もしかしたら警戒されるかも。
でも、僕の最優先は今腕の中にいるこの子だから。
横抱きにして元の部屋のソファーに寝かせる。
まったく・・・スタンガンで気絶させるとか、ベル姉にあとで文句でも言おう。
多分、真純がジークンドーをやっているからなんだろうけどさ。それでも、ふつふつと怒りはある。

「しゅう、にい・・・」

死んだ兄を呼ぶその声は、弱々しく迷子そのものだった。
震えている左手を握った。
僕の手と比べると、すごく小さな手。
成長が嬉しい分、死に急ぐような言動には思わず頭を抱える。
起きないように、本当にそっと手の甲に唇を寄せる。触れるか触れないかの瀬戸際にその手を離した。

「お前は俺が必ず守るよ、真純」

まだ会ってあげない。
早く、だと気づいて・・・真純。


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Good!