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元最強、ある組織のある幹部とは特別な事情がある

「あれぇ?世良?一人でどうしたの?」
「・・・アンタか」

ある日の放課後。今は倉庫と化している準備室にある資料が欲しくて中に入ったら、まさかの世良がいた。
どうやら授業中で寝てしまってそのペナルティらしい。
っていうか、ペナルティでここの掃除を今日中に終わらすって・・・そんなの。

「無理じゃね?ここ、ものすごく汚いし」
「・・・なんであの先生そんなペナルティ押し付けてきたんだろ」
「適当だろうね、そんなの。いいよ、棚の水拭きをさーってやっておけば。どうせここ倉庫だし。あんまり人来ないし。っていうか珍しいね、世良が授業中に居眠りなんて」
「・・・睡眠時間があんまりとれなかっただけ」
「え、それ大丈夫?」

思わず彼女の額に手を伸ばしてしまった。
探偵の仕事でもしていたんだろうか。
熱はないね、と確認して言うと、触るな、と手を払われてしまった。

「あ、ごめんごめん。でも顔色悪いよ?」
「全然余裕」

うーん、でも本当に顔色が青いんだよな。
昼休みとか、その授業で寝てたんだろうけど深い眠りはできなかっただろうし。

「わっ!」

そんなことを思っていたら、世良が視界の隅で急に体のバランスを崩した。
危ない、と思って彼女の腕を引っ張ると棚から落ちてくる本が背中にもろに当たった。

「!五条先生?」
「ケホ、けむいね。どんだけここ掃除してないんだよ。世良、怪我ない?」
「それは大丈夫だけど・・・あ、先生血が・・・」
「ん?・・・あ、ほんとだ」

どうやら重たい本が手の皮膚を傷つけたらしい。
ごめんなさい、と謝る世良に、だいじょーぶかすり傷だよ、と言って服の袖で拭う。

「ちょ、そんなことしたら・・・!」
「だいじょーぶだって。ほら、血がにじんでるだけでしょ?」
「でも・・・!」
「それよりも、この体勢なら怒らないんだね?さっき額に触った時よりも接触率高くない?離れなくていいの?」

ハッとようやく自分がどういう体勢なのか気づいた世良。
ちなみに、その体勢というのは僕が世良を抱きしめているような感じ。もれなく世良の背中には僕の右腕が回ってるし、顔も僕がしゃがんでいるからいつもよりも近い。
世良はその瞬間、ものすごい勢いで僕から離れた。
えー、そんなに勢いづかなくても。

「ボク帰る・・・!」
「え、ペナルティはー?・・・って、行っちゃった。まあいいか。体調悪そうだったんで帰らせました、ってあの先生に言っておこ」

それよりも・・・ちゃっかり世良のこと離さなくてよかった。
え?性格悪い?やだなー、ちゃんと『離れなくていいの?』って聞いたでしょ。

「顔真っ赤にしちゃって、可愛かったなぁ♡」

その頃、世良は自分に言い聞かせながら家(ホテル)に帰って母に心配されたとさ。



(忘れろ、忘れろ、忘れろ、忘れるんだ・・・!///)


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Good!