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元最強、ある組織のある幹部とは特別な事情がある

仕事終わりのこと。

「どうやら、一応の信頼は得られたようだけど・・・私との約束は守ってくれるわよね?バーボン?」
『、・・・』
「なら良かったわ。じゃあ気取られないように注意することね。・・・ええ、また」

陸橋のところにいた美貌な女性に僕は近づく。
悪戯心が芽生えて、ちょっと気配を消して後ろから彼女の目を覆い隠した。

「だーれだ?」
「きゃ・・・!・・・ちょっと、気配を消して近づかないでほしいっていつも言ってるでしょ」
「えー?ベル姉が油断してるのが悪いでしょ」
「はぁ・・・私に気取られないって相当よ?これでも気配に敏感だって自負しているのだけど」

彼女の名前は数多くある。
でも、今の彼女はある組織の幹部・ベルモット。
『美しい花には棘がある』・・・とはよく言ったもんだよね。世の男たちはこの人の美しさに目が眩むんじゃない?まあ僕には全然効かないけど。
あ、ちなみに今まで何度もこの人の無茶ぶりに巻き込まれた。すーぐ僕のことを使うんだから、困ったもんだよね。
僕の勤務する学校に来たときは、マジか!、って思ったよね。
だから今度は僕がベル姉にお願いしたの。

「それよりも、これでいいんでしょ?ボウヤ・・・」
「ありがと、ベル姉。でもボウヤは恥ずかしいな。これでも僕アラサーだよ?」
「私にとってはどんなに大きくなってってボウヤはボウヤよ」

今回のことは想定外のことだった。
まさか世良がコナンくんを助けようと思って、行動を起こすなんてね。
ベル姉は組織のこともあるみたいだし、僕は組織には関わらないようにしてるから僕が勝手についてきた。
なんかコナンくんはモテモテみたいだよ?

「まさか犯人をバイクで吹っ飛ばすなんて。おてんば娘もいいところよ?」
「ハハッ、後でよく言い聞かせないと」
「そんなこと言って、まだあの子と馴れ馴れしくするつもりはないんでしょ?」
「まあね・・・まだ時期尚早かなって思ってね」
「まあ、安心したわ。ここ数年で一番楽しそうだから」

彼女の表情はまさに慈愛に満ちたもので・・・これが彼女の素顔なのだと僕は知っている。
ここまでくれば長年の付き合い、だよね。
彼女が少しでも僕の前で心休まればいい。
少しでも息抜きできたら・・・この人はいろいろ抱え込みすぎだから。

「・・・ベル姉は、なんだかんだ楽しい?」
「人を殺すのは楽しいわよ?あとは人が驚いた顔なんか素敵ね。でもあなたがいるから。私は安心して好きなことができる」
「そうだね、安心してよ。ベル姉の最期は僕が見届けるよ」
「・・・ありがとう、ボウヤ」

そう言って彼女は僕の頬にキスを落としてからバイクに跨り、その場を去っていった。

「だから『ボウヤ』はやめろって・・・」

グイっとキスされたところを服の袖で拭う。

僕の幼少時代を知っている、唯一の人。
あの人は僕を実の子供のように可愛がっているところがある。
実際、あの人の助けがなければ、今の僕はいなかった。
彼女には感謝してもしきれない。
それでも彼女の死を止めることは僕にはできない。
それは彼女の望んでいる最期ではないから。彼女の唯一の願いを叶える・・・それが僕にできる唯一の恩返し。

『ボウヤの力・・・それは危険だわ。そうね、誰にも奪われないように私が守ってあげる。その代わり、・・・・・・』

まだあの約束は今も生きているーーーー


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