第1章『お引っ越し』
「あの、先生…」
[担任の先生]
「ん?何だ?」
「あの…さっきの舵野君って…?」
[担任の先生]
「あー、舵野 海蟹 な」
(み、みかに?す、凄い名前…)
なんだか語感から珍しい名前だ。
[担任の先生]
「何だよー、雨風も舵野にゾッコンかぁー?全くー、あいつどんだけモテんだよー」
(あっ、やっぱモテるんだ…)
「ち、違います…。ただ…どんな人かなぁって思って…」
[担任の先生]
「まぁあいつのことで語ることは多いんだが…まず、学校生活はいたって真面目で、成績優秀!おまけに堅苦しい風紀委員副委員長に、放送委員をやってもらってるんだ。運動も、割りと得意な方だな。おかげで女子からモッテモテだ」
「す、凄い…」
凄い高スペックだ。
私なんかとはとても不釣り合いだ。
[担任の先生]
「まぁ、まだまだ語りきれないが、後は仲良くなってから教えてもらえ!」
「えっ!?…無理無理!私には無理ですー!」
私がそんな高スペックな人にお近づきになるなんて身のほど知らずだろう。
それに周りの女子達が黙ってなさそうだ。
[担任の先生]
「あはははは!雨風はネガティブだなー」
「もー…」
[担任の先生]
「よし、ここが図書室だ」
(図書室…!広い…!)
私が通っていた小学校や中学校の図書室と比べると何倍も広い。
これは本を探すのも大変そうだし、掃除も大変そうだ。
私はとんでもない委員会を選んでしまったかもしれない。
[担任の先生]
「うぃーす」
(うぃ、うぃーす…)
[???]
「…?」
カウンターの向こうに年上っぽい男の子が座っている。
多分3年生だろう。
明るい茶髪に紫の瞳をしている、美形の男の子。
[担任の先生]
「今日から図書委員をしてもらうことになった2年の雨風千華だ。今日転校してきたばっかりでな、ちょっと優しくしてくれ」
[???]
「……雨風千華さん…」
その人はゆっくりとこっちに視線を移した。
ちょっと艶 かしいほどに。
「あっ、はい?」
[??? 真壱]
「図書委員長の真壱 です。よろしく」
「…よ、よろしくお願いします…!」
(真壱?下の名前だよね?)
何故この人は下の名前しか教えてくれないのだろうか…。
(あっ…カウンターの上に札が…)
そこには、保波 真壱 と書いてあった。
どうやら保波というのはこの人の名字なようだ。
「えっと…保波先輩?」
[保波 真壱]
「あれ?何でボクの名字を?ボクは下の名前しか教えてないのに…」
「そ、その札に名前が…」
[保波 真壱]
「札…?」
「カウンターのとこです…」
[保波 真壱]
「カウンター…?」
そう言って保波先輩は、また艶かしく視線をゆっくりカウンターの方へ下ろす。
[保波 真壱]
「あ、この札を見たのね。そっか」
(なんだか…不思議…今まで出会ったことが無いようなタイプ…)
[担任の先生]
「ははっ、うーん、ちょっと愉快な奴だが、仕事はバリバリに出来る頼もしい先輩だからな!色々教えてもらえ。じゃ、俺は先に戻ってるぞ」
「あ…」
先生は図書室から出ていった。
(ちょっと出ていってほしくなかった…保波先輩ってなんだか独特の雰囲気が…あるし…)
[保波 真壱]
「…」
(あ、こっちめっちゃ見てる…)
「あの、私のお仕事はいつからですか?」
[保波 真壱]
「…お仕事?」
「あの、委員会の…」
なんだか保波先輩と話してると話のテンポが悪い。
[保波 真壱]
「ん?明日からで良いよ?」
「あ、そうなんですか…」
(ほ、ほんとにこの人が委員長なの…(汗))
「…」
私が困って黙り込んでいると。
[保波 真壱]
「…どうしたの?」
「え?」
[保波 真壱]
「…?」
「あ、あの…保波先輩?」
「ん?」
なんとか話を引き出さないと…。
「…」
[保波 真壱]
「…あ、その保波先輩って呼び方だけど…」
「は、はい?」
[保波 真壱]
「実はボク、2つ下の弟がいてね…そっちとごっちゃになるから、出来れば名前で呼んでほしいなって」
さっきの自己紹介はそういうことか、なんとも分かりにくい。
「あ、弟さんがいるんですね」
[保波 真壱]
「真次 君って言うんだ。で、名前で呼んでもらえる?」
「あ、えーっと…」
(いきなり名前呼びはちょっと…でも先輩のお願いだし…)
「じゃあ…真壱先輩…」
[保波 真壱]
「うん、ありがとう。それでお願いね」
「はい…分かりました…」
やっぱり不思議な人だ。
どういう対応をしたら良いのか分からないし、こちらのペースを崩される。
「…」
[保波 真壱]
「…明日のお昼にまたここに来てくれるかな、図書委員の仕事について説明するから」
「お、お昼ですね。分かりました」
[保波 真壱]
「…うん」
「…」
[保波 真壱]
「…どうしたの?早く戻らないと遅れちゃうよ?」
「あ…」
時計を見ると、結構時間が過ぎていた。
「あ、急いで戻らないと…!そ、それでは失礼します…」
[保波 真壱]
「…うん」
私は図書室から出た後、急いで教室まで戻った。
[保波 真壱]
「……あの子なら、真次君のこと任せられるかも」
[担任の先生]
「ん?何だ?」
「あの…さっきの舵野君って…?」
[担任の先生]
「あー、
(み、みかに?す、凄い名前…)
なんだか語感から珍しい名前だ。
[担任の先生]
「何だよー、雨風も舵野にゾッコンかぁー?全くー、あいつどんだけモテんだよー」
(あっ、やっぱモテるんだ…)
「ち、違います…。ただ…どんな人かなぁって思って…」
[担任の先生]
「まぁあいつのことで語ることは多いんだが…まず、学校生活はいたって真面目で、成績優秀!おまけに堅苦しい風紀委員副委員長に、放送委員をやってもらってるんだ。運動も、割りと得意な方だな。おかげで女子からモッテモテだ」
「す、凄い…」
凄い高スペックだ。
私なんかとはとても不釣り合いだ。
[担任の先生]
「まぁ、まだまだ語りきれないが、後は仲良くなってから教えてもらえ!」
「えっ!?…無理無理!私には無理ですー!」
私がそんな高スペックな人にお近づきになるなんて身のほど知らずだろう。
それに周りの女子達が黙ってなさそうだ。
[担任の先生]
「あはははは!雨風はネガティブだなー」
「もー…」
[担任の先生]
「よし、ここが図書室だ」
(図書室…!広い…!)
私が通っていた小学校や中学校の図書室と比べると何倍も広い。
これは本を探すのも大変そうだし、掃除も大変そうだ。
私はとんでもない委員会を選んでしまったかもしれない。
[担任の先生]
「うぃーす」
(うぃ、うぃーす…)
[???]
「…?」
カウンターの向こうに年上っぽい男の子が座っている。
多分3年生だろう。
明るい茶髪に紫の瞳をしている、美形の男の子。
[担任の先生]
「今日から図書委員をしてもらうことになった2年の雨風千華だ。今日転校してきたばっかりでな、ちょっと優しくしてくれ」
[???]
「……雨風千華さん…」
その人はゆっくりとこっちに視線を移した。
ちょっと
「あっ、はい?」
[??? 真壱]
「図書委員長の
「…よ、よろしくお願いします…!」
(真壱?下の名前だよね?)
何故この人は下の名前しか教えてくれないのだろうか…。
(あっ…カウンターの上に札が…)
そこには、
どうやら保波というのはこの人の名字なようだ。
「えっと…保波先輩?」
[保波 真壱]
「あれ?何でボクの名字を?ボクは下の名前しか教えてないのに…」
「そ、その札に名前が…」
[保波 真壱]
「札…?」
「カウンターのとこです…」
[保波 真壱]
「カウンター…?」
そう言って保波先輩は、また艶かしく視線をゆっくりカウンターの方へ下ろす。
[保波 真壱]
「あ、この札を見たのね。そっか」
(なんだか…不思議…今まで出会ったことが無いようなタイプ…)
[担任の先生]
「ははっ、うーん、ちょっと愉快な奴だが、仕事はバリバリに出来る頼もしい先輩だからな!色々教えてもらえ。じゃ、俺は先に戻ってるぞ」
「あ…」
先生は図書室から出ていった。
(ちょっと出ていってほしくなかった…保波先輩ってなんだか独特の雰囲気が…あるし…)
[保波 真壱]
「…」
(あ、こっちめっちゃ見てる…)
「あの、私のお仕事はいつからですか?」
[保波 真壱]
「…お仕事?」
「あの、委員会の…」
なんだか保波先輩と話してると話のテンポが悪い。
[保波 真壱]
「ん?明日からで良いよ?」
「あ、そうなんですか…」
(ほ、ほんとにこの人が委員長なの…(汗))
「…」
私が困って黙り込んでいると。
[保波 真壱]
「…どうしたの?」
「え?」
[保波 真壱]
「…?」
「あ、あの…保波先輩?」
「ん?」
なんとか話を引き出さないと…。
「…」
[保波 真壱]
「…あ、その保波先輩って呼び方だけど…」
「は、はい?」
[保波 真壱]
「実はボク、2つ下の弟がいてね…そっちとごっちゃになるから、出来れば名前で呼んでほしいなって」
さっきの自己紹介はそういうことか、なんとも分かりにくい。
「あ、弟さんがいるんですね」
[保波 真壱]
「
「あ、えーっと…」
(いきなり名前呼びはちょっと…でも先輩のお願いだし…)
「じゃあ…真壱先輩…」
[保波 真壱]
「うん、ありがとう。それでお願いね」
「はい…分かりました…」
やっぱり不思議な人だ。
どういう対応をしたら良いのか分からないし、こちらのペースを崩される。
「…」
[保波 真壱]
「…明日のお昼にまたここに来てくれるかな、図書委員の仕事について説明するから」
「お、お昼ですね。分かりました」
[保波 真壱]
「…うん」
「…」
[保波 真壱]
「…どうしたの?早く戻らないと遅れちゃうよ?」
「あ…」
時計を見ると、結構時間が過ぎていた。
「あ、急いで戻らないと…!そ、それでは失礼します…」
[保波 真壱]
「…うん」
私は図書室から出た後、急いで教室まで戻った。
[保波 真壱]
「……あの子なら、真次君のこと任せられるかも」
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