第1章『お引っ越し』
[???]
「やっぱりこの地域は今からでも冷えるね…」
「うん、そうだね…」
私の名前は、雨風 千華 。
故郷の学校が廃校になってしまい、今日からこの私立貴島 高等学校のあるこの街に、弟の雨風 日向 と一緒に引っ越してきました。
プルルル…。
プルルル…。
自身のケータイの着信音が鳴る。
私はコートのポッケにしまっていたケータイを手に取り、応答ボタンをタップして電話に出た。
「もしもしお母さん?」
[???]
「千華、もうそっちには着いた?」
この人は私のお母さん、雨風 茜 だ。
私のお母さんは、自立してクールな人だ。
そして私には日向の他にもうひとり、兄弟がいる。
[???]
「千華か?母さんちょっと代わって」
[茜]
「ちょっと待ちなさい。千華、お兄ちゃんに代わるわね」
「うん」
[???]
「千華、無事か?」
兄の雨風 望夢 だ。
こちらもクールで自立した人だ。
と言うか、うちの人は日向や一応私も加え、みんなしっかりしている。
やくひとり除いては…。
「…ね、ねぇ。お父さんは?」
[望夢]
「父さんなら仕事で怪我して今入院してるよ」
「またぁ?!」
私の父、雨風 夕日 は、所謂 冒険家で、各国を旅している。
『当たって砕けろ!』的な性格で、よく怪我をする危なっかしい人だが、ある意味自立していると言えるだろう。
今回貴島校を勧めてくれたのもお父さんだ。
[茜]
「いつものことでしょっ」
(まあ…いつものことか…)
「と言うか、本当に良かったの?お金とか」
[茜]
「あー、良いの良いの。とにかく、とっても良い学校だから。ふたりとも頑張りなさいよ?」
「うん、頑張るよ。ね、日向?」
[日向]
「うん。てか凄いよね、学生寮まで備えてる学校なんて…」
「ほんとだよね。あ、もうすぐ学校着くから、そろそろ切るね」
[茜]
「うん、頑張って」
ッー…。
ッー…。
私は再びコートのポッケにケータイをしまった。
キャリーケースをガラガラと引き、裏校門から学校の敷地内に日向と一緒に入る。
「えっと…寮は……わぁ…」
[日向]
「すごっ…」
目の前に学生寮と思われる建物が建っていた。
綺麗に掃除が隅々まで行き届いており、まるで高級マンションのようである。
「ほんとに、ここなの…?日向?」
[日向]
「うん、一応ここに貴島校の学生寮って書いてあるし。間違いないと思うよ」
「へぇ…凄いものね…」
[???]
「…あの、新しい入居者さんの雨風さんですか?」
制服の上にエプロンを着て竹ほうきを持った同い年ぐらいの男の子が、私達に話しかけてきた。
どうやら私達の名前を知っているようだ。
「あ、そうです」
[如月 麗]
「大家の如月 麗 です。雨風さん達のお部屋は、それぞれこちらの書類に書かれてます」
「ありがとうございます」
[日向]
「ありがとうございます」
私達は大家さんから書類を受け取った。
[如月 麗]
「あとこちらが鍵です。とっても大事な物なので、無くさずに保管しといて下さい」
「分かりました」
私がそう言うと、大家さんはすぐに自分の仕事に戻っていった。
(あの大家さん、多分生徒だよね。生徒が大家してるってどういうことだろう?ちょっと気になるな…)
[日向]
「B棟の608 だったよ。お姉ちゃんは?」
「私はE棟の304 だった」
[日向]
「オッケー、じゃあここで一旦解散だね。また学校でねお姉ちゃん」
「うん、またね」
私は日向と別れた後、まっすぐE棟に向かった。
「あ、エレベーターがある…」
なんと、寮の中にエレベーターがあった。
だが、生憎『故障中』と貼り紙が貼られていて、使用することが出来なかった。
(使ってみたかったな…)
私は仕方無く階段を使った。
この学生寮は最高10階まであるらしい、私は三階なので階段でもそんなに疲れないから良かった。
(ああ、だからエレベーターがあったのか)
階段を上がりきり、手前から4番目のドアの前に立ち、E304の鍵を使って部屋の中に入る。
「…?」
部屋に入ってみるとそこには、そこそこの部屋の広さと、綺麗に磨かれた窓、丁寧に拭かれた木のテーブル、清潔なトイレとお風呂もあった。
「ベッドは…」
そう思うと死角にベッドがあった。
飛び込んでみようか、と思ったがそこにはもう先客がいた。
[???]
「すやぁ…」
「誰…?」
ベッドの上に、白い服を着た金髪の男の子がすやすやと気持ち良さそうに寝ていた。
(え、起こした方が良いのかな…)
そう思い、男の子に触れようと思った瞬間。
[???]
「…ふがっ!…むにゃむにゃ…」
「あ、起きた……誰、君?」
[???]
「ふわぁー……朝かぁ…」
(あくびしてる…)
[???]
「よいしょっ」
男の子はベッドから立ち上がり、身支度をし始めた。
[???]
「それじゃあ」
「え?」
男の子を部屋の窓を開けた。
そして、窓から飛び立った。
「えっ?!」
(ちょっと、落ちたんじゃないの?)
私は窓から地面を見渡す。
するとそこには誰もいない。
「あれ、おかしいな…夢でも見てるのかな」
私はとりあえず窓を閉め、頭の中で整理をした。
「も、もしかしたらさっきの彼は凄い身体能力を持っている超人なのかもしれない!」
(やっぱり、お金持ちの学校って凄いなぁー)
名前も聞けなかったが、また会えるならぜひ会ってみたい。
「やっぱりこの地域は今からでも冷えるね…」
「うん、そうだね…」
私の名前は、
故郷の学校が廃校になってしまい、今日からこの私立
プルルル…。
プルルル…。
自身のケータイの着信音が鳴る。
私はコートのポッケにしまっていたケータイを手に取り、応答ボタンをタップして電話に出た。
「もしもしお母さん?」
[???]
「千華、もうそっちには着いた?」
この人は私のお母さん、
私のお母さんは、自立してクールな人だ。
そして私には日向の他にもうひとり、兄弟がいる。
[???]
「千華か?母さんちょっと代わって」
[茜]
「ちょっと待ちなさい。千華、お兄ちゃんに代わるわね」
「うん」
[???]
「千華、無事か?」
兄の
こちらもクールで自立した人だ。
と言うか、うちの人は日向や一応私も加え、みんなしっかりしている。
やくひとり除いては…。
「…ね、ねぇ。お父さんは?」
[望夢]
「父さんなら仕事で怪我して今入院してるよ」
「またぁ?!」
私の父、
『当たって砕けろ!』的な性格で、よく怪我をする危なっかしい人だが、ある意味自立していると言えるだろう。
今回貴島校を勧めてくれたのもお父さんだ。
[茜]
「いつものことでしょっ」
(まあ…いつものことか…)
「と言うか、本当に良かったの?お金とか」
[茜]
「あー、良いの良いの。とにかく、とっても良い学校だから。ふたりとも頑張りなさいよ?」
「うん、頑張るよ。ね、日向?」
[日向]
「うん。てか凄いよね、学生寮まで備えてる学校なんて…」
「ほんとだよね。あ、もうすぐ学校着くから、そろそろ切るね」
[茜]
「うん、頑張って」
ッー…。
ッー…。
私は再びコートのポッケにケータイをしまった。
キャリーケースをガラガラと引き、裏校門から学校の敷地内に日向と一緒に入る。
「えっと…寮は……わぁ…」
[日向]
「すごっ…」
目の前に学生寮と思われる建物が建っていた。
綺麗に掃除が隅々まで行き届いており、まるで高級マンションのようである。
「ほんとに、ここなの…?日向?」
[日向]
「うん、一応ここに貴島校の学生寮って書いてあるし。間違いないと思うよ」
「へぇ…凄いものね…」
[???]
「…あの、新しい入居者さんの雨風さんですか?」
制服の上にエプロンを着て竹ほうきを持った同い年ぐらいの男の子が、私達に話しかけてきた。
どうやら私達の名前を知っているようだ。
「あ、そうです」
[如月 麗]
「大家の
「ありがとうございます」
[日向]
「ありがとうございます」
私達は大家さんから書類を受け取った。
[如月 麗]
「あとこちらが鍵です。とっても大事な物なので、無くさずに保管しといて下さい」
「分かりました」
私がそう言うと、大家さんはすぐに自分の仕事に戻っていった。
(あの大家さん、多分生徒だよね。生徒が大家してるってどういうことだろう?ちょっと気になるな…)
[日向]
「B棟の
「私はE棟の
[日向]
「オッケー、じゃあここで一旦解散だね。また学校でねお姉ちゃん」
「うん、またね」
私は日向と別れた後、まっすぐE棟に向かった。
「あ、エレベーターがある…」
なんと、寮の中にエレベーターがあった。
だが、生憎『故障中』と貼り紙が貼られていて、使用することが出来なかった。
(使ってみたかったな…)
私は仕方無く階段を使った。
この学生寮は最高10階まであるらしい、私は三階なので階段でもそんなに疲れないから良かった。
(ああ、だからエレベーターがあったのか)
階段を上がりきり、手前から4番目のドアの前に立ち、E304の鍵を使って部屋の中に入る。
「…?」
部屋に入ってみるとそこには、そこそこの部屋の広さと、綺麗に磨かれた窓、丁寧に拭かれた木のテーブル、清潔なトイレとお風呂もあった。
「ベッドは…」
そう思うと死角にベッドがあった。
飛び込んでみようか、と思ったがそこにはもう先客がいた。
[???]
「すやぁ…」
「誰…?」
ベッドの上に、白い服を着た金髪の男の子がすやすやと気持ち良さそうに寝ていた。
(え、起こした方が良いのかな…)
そう思い、男の子に触れようと思った瞬間。
[???]
「…ふがっ!…むにゃむにゃ…」
「あ、起きた……誰、君?」
[???]
「ふわぁー……朝かぁ…」
(あくびしてる…)
[???]
「よいしょっ」
男の子はベッドから立ち上がり、身支度をし始めた。
[???]
「それじゃあ」
「え?」
男の子を部屋の窓を開けた。
そして、窓から飛び立った。
「えっ?!」
(ちょっと、落ちたんじゃないの?)
私は窓から地面を見渡す。
するとそこには誰もいない。
「あれ、おかしいな…夢でも見てるのかな」
私はとりあえず窓を閉め、頭の中で整理をした。
「も、もしかしたらさっきの彼は凄い身体能力を持っている超人なのかもしれない!」
(やっぱり、お金持ちの学校って凄いなぁー)
名前も聞けなかったが、また会えるならぜひ会ってみたい。
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