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うちの本丸

審神者となってから1ヶ月ほどが経過していた。冬も真っ只中の季節。本丸の庭は一面雪景色で、御神木にも降った雪が所々積もっていた。こんのすけから他の本丸を題材とした花丸というアニメがあることを聞きつけた私はそれを居間で一気見しようと思い、寒い廊下をそそくさと駆け抜けて居間まで来ていた。ゲーム機とテレビの電源を付けて、Hu○uで花丸を視聴することにする。


「主君、どうしたんですか?」


すると、テレビの前でゲーム機を弄っている私を見て気になったのか、秋田くんが声をかけてくれた。秋田くんは座っている私の隣にしゃがみながら不思議そうな顔でこちらを見ている。


「実は今から、こんのすけに教えて貰った他の本丸が舞台となっているアニメを見ようと思ってね」


私がそう言うと秋田くんの瞳は段々と期待と好奇心でキラキラと輝いている。私が「一緒に見る?」と聞くと元気よく「はい!」と返ってきた。けれど先刻まで嬉しそうだったはずなのに何やら難しく考え込んでしまう秋田くん。え?どうしたどうした秋田くんや。そんなに眉間にしわ寄せて難しい顔をしていたら、折角の可愛らしいお顔が台無しだよ?気になるので直接秋田くんに聞いてみることにした。


「どうしたの?」

「主君……薬研兄さんたちも呼んで一緒に見てもいいですか?僕だけ見るのは、何だか気が引けてしまって」


あ、なるほどそういうことね。難しい顔で考え込んでいたから何事かと思っていたけれど、それぐらいの事だったら寧ろ大歓迎なんだけどな〜。


「私は大丈夫!寧ろ大歓迎だよ」

「あ、ありがとうございます!直ぐに薬研兄さんたちを呼んできますね!」


秋田くんはそう言って走り去ってしまった。タッタッタッという効果音が似合いそうな感じだった、かわいい。少々秋田くんの可愛さにやられていると、軽やかに廊下を走る音が近づいてくる。秋田くんかな?いやでも、早くない?みんな粟田口の部屋、通称粟田部屋に居たのかな?なんて当たり障りのない予想を立てていると、その足音の主はやはり秋田くんだった。どうやら私の予想は的中していたらしく、みんな粟田部屋に居たようだ。私探偵にでもなれるんじゃない?と馬鹿なことを考えたけど、私は薬の飲まされて身体が小学生まで縮んだ高校生名探偵の彼と違って好奇心旺盛でもなければ、あんな鋭い推力もない。


「他の本丸の俺たちの記録を今から見るんだよな!楽しみだぜ」

「他の本丸ってどんな感じなんでしょうか?」

「楽しみ、です」

「うん」


秋田くんを筆頭に思い思いのことを言いながら次々と居間へと入ってくる粟田口の面々。やっぱり他の本丸ってどんな感じか気になっちゃうよねー、分かるわぁ。私までわくわくしてきた。よし、粟田口のみんなも揃ったので他の本丸が舞台となっているアニメ、花丸と言うらしいがそれをみんなでレッツ視聴。

6話まで話が進むころには、本丸のみんなが居間に集まっていた。騒ぎを聞きつけて、というのは少々語弊がある言い方ではあるけれど強ち間違ってもおらず、そんな感じでみんなが集まったというわけだ。人が人を呼ぶとは正にこのことだろうなと思いながら、次の話である7話を続けて視聴することに。7話は粟田口に着目した話のようで、内容はまだ見ぬ彼等の兄、一期一振が顕現されないこと待ち侘びている。そんな中、念願の一期一振が顕現されて、ハッピーエンドと言った感じだった。エンディングはAWT48という粟田口でのみ結成されたアイドル?の曲で、満開の桜をバックに踊り歌う姿は何とも華やかだ。うちの本丸もAWT48やってくれないかな?あ、でもまだいち兄居ないから出来ないわ。これは粟田口のためにも早くお迎えせねば……!だって見てくださいよ、粟田口のこのちょっと悲しそうな寂しそうな顔!証拠に前田くんが「いち兄」とポツリ呟いている。今のこのいち兄がいない状態が花丸自分たちとリンクする所があるんだろう。待っててね、私頑張るから!


「待っててね、必ずいち兄をお迎えするから!」


そう意気込む私を見て粟田口の面々の期待の眼差しを浴びる。そんなに期待されるとは思わなかったけど、それだけいち兄を待ち侘びているってことなんだろうと思うと、さっきよりも一層頑張らないといけないと思う。だけど、いち兄と言えばレア太刀と呼ばれる部類に入るし、入手困難とも噂されている。そんないち兄を何時お迎え出来るのか、苦労するんだろうなぁーと呑気に考えていた。そう、そんな時期が私にもあった。

いち兄を早くお迎えするぞ!と意気込んでから5ヶ月余りが経過した頃。今は丁度戦力拡充というイベント真っ最中。池田屋攻略のため、市中演習をぐるぐると周回していると不動行光くんが来てくれた。同じ織田さんの刀である長谷部や宗三さんはもちろん、薬研くんも喜んでいた。そのタイミングで蛍丸くんも鍛刀でお迎え出来て、この期間中一気に二振りも迎え入れることが出来て私自身満足していた。だけど、追い打ちをかけるが如く、な、なんといち兄と蜻蛉切が市中演習周回中にお迎えすることが出来たのだ。これにはみんな驚いていた。私もすっごい吃驚した。思ったよりも早くいち兄をお迎え出来て、粟田口の面々も驚きと興奮が入り交じったような感じだった。槍は御手杵しか居なかったので、同じ刀種で同じ三名槍と名高い蜻蛉切が来てくれたことにより、御手杵はめっちゃ喜んでいた。その姿がどえらく可愛かったです。
しかしながら、ほんとに戦力拡充凄いなと圧巻してしまうほど、戦力拡充に感謝してもしきれない。嗚呼、ありがとう戦力拡充。

後日、いち兄にこのことを話してみた。


「はっはっはっ。それほどまでに切望されていたとは驚きですな」


なんて言って爆笑しながら喜ばれた。貴方を切望している審神者さんは沢山いらっしゃいますよと思ったのは内に秘めておく。
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