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うちの本丸

花見の季節。審神者となって初めての春がやってきた。この本丸にはとても立派な桜の御神木が佇んでおり、その御神木にも満開の桜が咲き乱れている。その姿は何とも神秘的で風流だ。私の執務室兼寝床にはその御神木が見えるので、見る度に立派だなぁと思っていたりする。


「風流だ……」

「歌仙さん?いきなりどうしたの?」


今日の近侍である歌仙さんがいきなりさっきまで私が思っていたことを呟くもんだから吃驚した。歌仙さん、読心術なんてものを持ち合わせていたのか?!なーんてそんな分けないだろうけどね。でも某七つボールを集めて願いを叶えるあれでは地球の神様って心読めなかった?だから付喪神である歌仙さんも必然的に読心術を身に付けているのでは?うわー、それだったら滅茶苦茶恥ずかしい。私が思っていたくだらない考えがみんなには筒抜けってことでしょ?何それ超恥ずかしい。


「満開の桜が咲いている御神木を見て風流だと思ったのさ。それに主の部屋からだとこの御神木はよく見えるから余計にね」

「あ、そうだったんですね」


なんだ良かったー……。読心術を使って私の心を読んだのかと思った。でもまぁ、冷静に考えれば読心術なんて使えてたらもっと前から発覚してそうだから今更感はある。


「本当にこの御神木は美しい」


そうですね、頑張るあなたは美しいですね。……ゴホン。そんなことよりも歌仙さんの言う通り、この御神木は本当に力強く美しい。折角満開の桜が咲いているのだからお花見を催すのはどうだろうか?お酒大好きの次郎さんがいの一番に喜びそうではあるけれど私自身美味しい物を堪能したいし、何より短刀たちは大喜びしそう。それに燭台切さんも腕によりをかけて料理を作ってくれそうだしね。


「それじゃあ花見をしよう」


私の一言で花見を行うことになった我が本丸。みんなに報告するとみんな、主に短刀たちが大喜びだった。次郎さんなんかは「お酒〜お酒〜」と予想よりも嬉しそうだったので、こんなに喜んでもらえると言い出しっぺの私も喜びを隠せない。いえーい、燭台切さんのいつもより腕によりをかけた料理が食べられる!嬉しくて短刀たちとはしゃいでいたら、清光くんは私の考えが分かったのか「主は花より団子だね」って微笑ましそうに笑われた、何故?!

そんなこんなで花見が決行された。案の定どんちゃん騒ぎではあるものの、騒がしいだなんて一切思わない。それに燭台切さんが腕によりをかけて作ってくれた料理はどれも美味しそう。おかず物は、ほたるいかのからし酢味噌和え、ゆでたけのことふきみそ、うどの皮のきんぴら、長芋の浅漬け、スペイン風オムレツ、カナッペ、鶏の唐揚げなどその他おつまみやサラダの数々。そしてご飯物はちらし寿司は勿論のこといなり寿司、サンドイッチ、手まり寿司も用意してくれていた。「張り切って作り過ぎちゃった」と苦笑いで零してた燭台切さんだったけど、見る見るうちにみんなのお腹の中へと消えていく。流石我が本丸のシェフ光忠、どの料理も大変美味しく頂くことが出来ました。


「こうやって本丸のみんなで桜を見ながら飲み食いするのも悪くない」

「そうだね。また来年も再来年もみんなで花見をやろう!」


清酒を仰ぎながら零す歌仙さん。それに同調するように花見をまたやろうと私は言った。うちの本丸での恒例行事が一つ増えました。
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