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うちの本丸

ある日の本丸内、今日も今日とて通常通りの平和な日常を過ごしている。内番に勤しむものやのんびりまったり過ごすもの、書類に勤しむものと本丸内での過ごし方はそれぞれだ。私はというと書類と格闘中であと少しで終わるというところまで終わらせられることができていた。


「よーし、終わったー!」

「主ー!」


やっと書類が終わったぞーという達成感に浸りながら、長時間同じ体制で凝った肩を解していたら外から声が聞こえてきた。自室をでて声がした方へと視線を向けると、畑当番を任されなくてもやってくれている耕すの大好き桑名さんが大きく手を振りながら私を呼んでいた。桑名くんの近くには江一派が集結しており、嗚呼今日の畑当番は豊前さんと松井さんだったったけ。桑名さんに呼ばれたので近くへと行ってみると何やら収穫用の籠に江一派は集まっていたようだ。


「主、見てくれ!今日は大収穫だよ!」


そう言って桑名さんは収穫用の籠を私に見せてくれたのだけれどその中に入っていたのは収穫されたばかりであろう芋だった。そっか、今は芋が旬な時期だから沢山収穫出来たんだね。話を聞くとこの収穫用の籠はほんの一部らしく、まだ収穫出来た作物はあるみたいで嬉しそうな顔をして報告してくれた桑名さんをみて私も嬉しくなってしまう。


「おー!凄い、凄い!桑名さん、豊前さん、松井さん、篭手切江くん!ありがとうね」


そう言うとみんな照れくさそうにしながら、だけど嬉しそうに「たまには畑仕事も悪くない」と零していた。江一派はこの収穫物を燭台切さんの元へ届けるために運ぶらしい。私も手伝おうと申し出、一緒に燭台切さんがいるであろう厨へと向かう。厨には外へと通ずる裏口のようなドアがあるのでそこへと収穫物を持っていく。厨につくと燭台切さんは夕餉の下ごしらえをしていたようで、桑名さんたちが収穫物を燭台切さんに渡していた。


「今日は沢山収穫出来たんだね」

「桑名さんたちが頑張ってくれたんだよ。ねぇねぇ、燭台切さん。今日の夕餉は桑名さんたちが収穫した芋を使ったポテトサラダにして!あ、ポテトだけのポテトサラダね」

「はいはい。主って変なところにこだわりがあるよね」

「え、そうかな?」

「確かに言われてみれば……」


そう言って私のこだわっていると言われている箇所を上げられるがそんなことないけどなーと思いながら仲良く談笑した。その日の夕餉は私のリクエスト通り桑名さんたち江一派が収穫した芋を使ったポテトサラダが出た。いつも美味しい燭台切さんの料理だけとなんだか今日はいつも以上に美味しく感じる気がする。私が思っている以上に桑名さんたちが嬉しそうに収穫物を見せてくれたことが嬉しかったのかもしれない。それから何故かうちの本丸では収穫物を主に見せるという習慣が出来たのだった。
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