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うちの本丸

ある日の昼下がり、のんびり気侭に大広間で海外ドラマを見ている。シーズン2まで見たのだけれど、何とも精神的に来るものがある内容だ。何が、というか全体的に暗いし、何よりカニバリズム的表現があり、肉を調理し食すという何とも悍ましいシーンがあるからだろう。


『心臓には無駄がない、これぞ命を象徴する臓器だ。そして人間らしさを生む。善と悪、愛と痛み……』

『心を串刺しにしてる』

『意味深な料理だね、私の心の現れだ……』


今は丁度調理シーンだが、これは多分豚等の家畜の肉だろうと思いたいが、如何せん分からないのだ。これが豚等の肉だと明確に分かるときもあれど、分からないときもあるしその逆もまた然りで、人肉だと明確に分かるときだってある。そんな中、大広間に歌仙さんがやってきた。「お疲れさま」と内番終わりの歌仙さんを労うと「ありがとう」と帰ってくる。


「主、今回はどんな物を見ているんだい?」

「ん?えーと……精神科医で人喰い殺人鬼の博士が退屈しのぎとスリルのためにFBIの捜査に協力しながら、自分の都合のいいように人々を動かしつつ料理も楽しむ、お料理番組?」

「意味が分からないんだけど?しかも何故疑問形なんだい?」

「うーん、でも簡潔に言い表すとこんな感じだよ。結構な頻度でその博士の料理シーンがあるからね。でもまぁ、すっごい精神的にくるものがあるけど、それでも面白いよ」


私が歌仙さんに説明すると、歌仙さんは興味を持ったのか、見てみたいと言ったので、最初から見ることにした。始まると直ぐに真剣な表情で見入る歌仙さんを横目で観察してみる。偶に「おお……」とか「ふむふむ」とか「なるほど」とか聞こてくるが、直ぐに歌仙さんがこのドラマにハマったということが分かった。1話を見終わると歌仙さんは少々興奮気味で感想を私に伝えてくれた。


「博士の殺人はとても芸術的だ!殺しをここまで美しく魅力的に表現出来るなんて素晴らしい!しかし、人を食すということは理解出来ないがね……」

「あ、やっぱりそこは理解出来ないんだね……」

「当たり前だろう?」


そんなやり取りをしながらその後、歌仙さんが予想内にもどハマりしたので、一気に全ての話数を徹夜で見ることになった。あのオカンな歌仙さんが徹夜を許すなんて、大般若さんのイベント以来だろう。それだけ歌仙さん的に面白かったんだなと思う反面、自分が紹介して面白いと言ってくれたのは嬉しかったのだ。誰かと一緒に見るって楽しいね!
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