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うちの本丸

今年もそろそろ終わりを迎えるという11月下旬頃、政府から予定表が配布された。12月に入ると景趣・軽装イベントやら秘宝の里からの新刀剣男士実装、更には毎年恒例の連隊戦からの新刀剣男士実装と記載されていた。まぁ何とも秘宝の里からの連隊戦を開催するのが好きだなぁと呑気に考えてしまうが、それ所ではなかったりする。何故ならば秘宝の里、連隊戦共に去年同様新刀剣男士が実装されるのだ。これは必ず周回してねという政府からの遠回しなお達しなのではないだろうかと錯覚してしまうほどのスケジュール。それでも参加してしまうのが審神者の性なのか。この2年間と11ヶ月ぐらいで見事に審神者業も板に付いてきたようだと我ながら感心する。そんな感傷に浸りながら、予定表を眺めていると本日の近侍である白山くんが声をかけてきた。


「政府からの、予定表ですか?」

「うん。今年もハードスケジュールだよー」


「お疲れ様です」と労いの言葉をかけてくれる白山くん。嗚呼、なんて優しい子なのだろうか。しかもお茶まで出してくれるなんて、うちの子は優しくて尚且つ気が利くいい子だ。なんて親バカを発動してしまう。いやぁー、でもでも今から新刀剣男士って凄く気になって気になって、ソワソワしちゃうなぁ。秘宝の里は江一族が来ると思うけど、もうそろそろ倶利伽羅江を実装してもいいんじゃないでしょうかね?周りは映画限定刀剣男士なんじゃない?って言ってたりするけど、私は諦めていない。倶利伽羅江実装して欲しい!だってもう映画が公開されて1年が経ちそうだっていうのに、今倶利伽羅江を実装しなくていつ倶利伽羅江を実装するの?!倶利伽羅江!倶利伽羅江!と私の中では倶利伽羅江の実装を心待ちにしていたが、それは直ぐに打ち砕かれることになる。

数日後、秘宝の里実装の新刀剣男士が一部だけシルエット公開された。シルエットを見る限り、映画で登場した倶利伽羅江ではないということは直ぐに理解出来た。なんてことだ、倶利伽羅江ではない、だと……?シルエットを見た感じだと某あくまで執事に登場するWチャールズの片割れのような感じだ。うん、そうなると兼さんだねこれ。もうこれで中の人が兼さんだったら私はチャールズって呼ぶことにするからね。と変な決心をする私を余所にその予想も瞬く間に裏切られることになる。

愈々、新刀剣男士の発表当日。何故それが予想出来るのかというのは、明日で天保江戸が終了してしまうからその前日である今日が妥当だと思ったからである。この予想は的中したみたいで、政府から新刀剣男士の情報が公開された。中の人はとても見覚えのある名前で、髪型にも若干類似している点があったので、私は何かを悟ってしまう。いやもうこれ、某劇団員を育成ゲームに出てくる夏組の中学生じゃないか?中の人は同じで、しかも髪型にまで少し類似するところがある。分け目とか長さは若干違うものの、本質的な髪型は似ているので、それもあるのか私はもうそうとしか思えなくなってしまう。性格は全然違うみたいだけれど。


「新刀剣男士はどうでしたか!?」

「あ、篭手切江くん。うん、ちゃんと江だったよ」

「おお!これで粟田口に負けないようなあいどるゆにっとが着実に作れて行けていますね!」


篭手切江くんの言葉に「そうだね」と遠い目をしながら答える私。Wチャールズの片割れ説は粉々に打ち砕かれたものの、もしもこれで夏組の中学生の様な刀剣男士だったとするならばうちの大包平と気が合いそうだなと思う。何せうちの大包平は本丸の手芸係を担っているので、大包平と仲良くして欲しいなぁなんて淡い期待を抱いて秘宝の里に挑む。
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