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うちの本丸

「主は「主」と「主くん」どっちがいい?」


ポカポカと丁度いい暖かさが広がるお昼過ぎ。居間で海外ドラマを見ていたら燭台切さんが突然そう言ってきた。え?いきなりどうした燭台切さんよ。そう思いながら、私は見ていたドラマを一時停止して、燭台切さんの方へと身体ごと向ける。


「え、いきなり何?」

「ほら、昨日演練で他所の本丸の僕が居たじゃない?その時に偶然聞いちゃったんだよね。他所の本丸の僕が主を「主くん」って呼んでいるのを。だから気になって聞いてみただけなんだけど」

「さいですか」


あー、そう言えば昨日は久しぶりに演練へと参加した。燭台切さんが言うように、演練の御相手の部隊に燭台切さんがいらっしゃって「おお!うちと一緒だ!!」とちょっとだけ興奮と親近感が湧いたのを思い出す。それにあの審神者さん可愛らしい人だったなぁー。


「だから主はどっちがいい?」

「それは燭台切さんの好きなようにすればいいと思うし、何より無理矢理他の本丸の燭台切さんに合わせなくてもいいんじゃない?そんな事してたら燭台切さんが疲れちゃうだけでしょ?同じ燭台切さんだと個体差ってあるだろうし、みんな違ってみんないいとか十人十色っていう言葉もあるんだから燭台切さんはありのままの燭台切さんで私はいいと思うよ?」

「主……」


自分を偽って生きていくというか、期待に応えようとして頑張り過ぎるのって凄く大変だし、何より疲れちゃうと思うんだよね。自分が楽天的な思考回路をしてるからか余計にそう思ってしまう。燭台切さんも含めたみんなにはそういったことはして欲しくないっていうと少し語弊があるんだけど、みんなにはこれ以上辛いを思いをして欲しくないし、背負わせたくない。多々でさえ前の主のことだったり、自分のことで辛い思いをしている人が多いのに。

私が言った言葉を聞いた燭台切さんは、口に手袋を填めた両手で口を覆い隠して何やら感動しているみたいだ。え、さっきの言葉で感動する要素あった?いやぁー、ないと思うけどなぁー。


「え、どうしたの?」

「うちの主が格好良すぎて辛い」

「え?!」


何を言っているんですか燭台切さん!?そんな推しがイケメンすぎて辛いみたいな発言してるの?!私のどこがカッコイイのか理解不能なんだけど?私の思いは燭台切さんには届かなかったみたいで、30分ほど両手で口を覆い隠したまま身動きしなかった。
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