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うちの本丸

にっかりさんは聞き上手だ。何を急にと思うかもしれないが、これは歴とした事実。私の一方的な話でも相槌はもちろん、受け答えまでしてくれる、なんて優しいんだ。だからついついペラペラと喋り過ぎてしまう。現に今だって、今日の近侍がにっかりさんであることをいいことにお茶をしながらペラペラと駄弁っている。


「この間、小さい頃に流行ってたゾンビ映画を見返しんだよねー。あ、ソンビっていうのは中国で言うところの僵尸きょうしみたいなものなんだけどね?」

「へぇー、それで見た感想はどうだったんだい?」

「いやぁー、当時は怖過ぎてその映画を見ちゃったら夢に出てきてたぐらいだったんだけど、こうして大人になってある程度の免疫みたいなのが着いた状態で見たら面白かったんだよね。それに話の内容とかも当時よりもやっぱり理解しやすかったり、何より昔と今の解釈の違いみたいなのがあってそれもまた面白くてね」

「主って、怖いの苦手なのにそういう感じの映画なんかを見るのは好きだよね」

「本格的な幽霊の話とかは怖くて見たくないけど、それこそゾンビとかはあまり現実味が感じられないから平気」

「そこに違いなんてないと思うけどね」

「まぁ多分、気の持ちようだよ。幽霊だから怖いっていう固定概念が潜在意識として植え付けられてしまっているから余計に恐怖を掻き立ててるって感じする」


何を隠そう、私は幽霊とか霊的なものが苦手でその手の映画や番組なんかは見ないようにしている。よく真夏の季節になったら本当あった〜みたいな感じで幽霊番組をやったりするけどCMさえも怖がってしまう質なので、もうその時は目を逸らして目に入らないようにする。それぐらい苦手だったりするが、何故かアニメのそういう系は見れたりする。学〇の怪談とか鬼の手を持つ教師の話とかゴーストをハントする話とかは好きで偶に見返したりするぐらいなのに。現実か二次元かでこうも違うのかって感じがするけど……。やっぱり気の持ちようなんだろうなぁー。


「そこまで分かっているのに克服出来ないんだね」

「そーなんだよねぇ。やっぱり小さい頃に貞子が出てくるCM見ちゃったからそれがトラウマになってるんじゃないかな?なんか小さい頃のトラウマって根が深いってよく言うし」

「それなのに、主ってそういう手の話とか詳しいよね」


「妖怪とかは特に」と言うにっかりさん。それはアニメの知識なんだって。あのチャンチャンコと下駄を履いた幽霊族の末裔の話や友人帳の話とかぬらりひょんと孫の話とかも大好きだからそれが一番の要因だよ。


「まぁ、妖怪の話って面白いからね」

「幽霊も妖怪も大差ないと思うけどねぇ」

「大差あるよー。さっきも言ったけど、妖怪はゾンビと同じで現実味がないから平気なんだって」

「そういうものなんだね」

「それにほら、妖怪なんかよりも人間の方がよっぽど怖いからそんな人間の幽霊はそれ以上怖いってことだよ」

「……確信をついているのかいないのか分からないね」

「あははは……」


こんな会話をよくする私たち。一度だけにっかりさんに私の話について聞いてみたけど「主の話は好きだよ、興味深くてね」と言ってくれたので、何が興味深いのかは分からないけれど、迷惑がられてないならいいや!
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