Welcome to the Villains' world
name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「──『首をはねろ 』!!!」
赤毛の上級生がそう言うとグリムの首にはハートの形をした首輪のような、枷のようなものが出現した。多分これは彼の魔法なのだろうということは明白。この世界の魔法はとてもユニークだな……。
「ふぎゃっ!?なんじゃこりゃ!?」
「ハートの女王の法律・第23条『祭典の場に猫を連れ込んでばならない』……猫であるキミの乱入は重大な法律 違反だ。即刻退場してもらおうか」
「オレ様は猫でもねぇ〜っ!!こんな首輪すぐに燃やして……あ、あれ?炎が出ねぇんだゾ!」
「ふん!ボクがその首輪を外すまでキミは魔法を使えない。ただの猫同然さ」
悪い顔をして言い放った赤毛の上級生。彼の魔法は私が先程グリムに使用した『力場停止 』と似た作用があるようだ。魔法を封じ込めると言った点だけなのだけれど。しかし彼はハートの女王と言っていたが、彼女と彼はなんの関係があるのだろうか、それともただの偶然か……。けれど闇の鏡だって白雪姫に登場する魔法の鏡だし、これは何か関わりがありそうだな。だが今の私に取っては関係のないことだ、早く帰りたい。
「にゃ、にゃにー!?オレ様はペットじゃねーんだゾ!」
「心配しなくてもキミみたいなペット、こっちから願い下げだ。ま、学園から摘み出される頃には外れているよ」
「いや〜、相変わらず素晴らしいですね。どんな魔法でも封じてしまう、リドルさんのユニーク魔法。絶対に欲しい……じゃなくて。僕なら絶対にかけられたくありません」
眼鏡の上級生の本音が漏れていたような……。しかし、彼は赤毛の上級生の魔法をユニーク魔法と言っていたが、まさに文字通りユニークな魔法だ。そのままな気がしてならないがツッコまいでおこう。
「どうにかしてください!貴方の使い魔でしょう!?しっかり躾を!」
「え、自分のじゃないですけど……」
「……え?貴方のじゃない?」
「自分、一度も使い魔だなんて言ってませんよ。学園長が勝手に決めつけて、勝手に話を進めたんじゃないですか」
そう、自分は一度もグリムを使い魔だと肯定した覚えはない。学園長が勝手にそう思って話を進めていただけだ。それをここまで理不尽に言われてしまうとは、少しは人の話をちゃんと聞いて欲しいものだ。
「……そ、そうでしたっけ?……ごほん!では、学園外に放り出しておきましょう。鍋にしたりはしません。私、優しいので。誰かお願いします」
学園長の言葉でグリムはズルズル外へと追いやられてしまった。なんだか可愛そうだなという同情はあれど、彼の所為で自分は巻き込まれたので決して止めたりはしない。グリムは声を荒らげ最後には「大魔法士になる!」と言い残して連れてかれる。何故グリムはそこまでして大魔法士になりたがるのか、自分には到底理解出来なかった。
「少々予定外のトラブルはありましたが、入学式はこれにて閉会です。各寮長は新入生を連れて寮へ戻ってください……ん?そういえば、ディアソムニア寮、寮長のドラコニアくんの姿が見えないようですが……」
「アイツが居ないのはいつものことだろ?」
「あれ?もしかして誰も式のこと伝えてないのか?」
「そんなに言うならアンタが伝えてやれば良かったじゃない」
「うーん。でもオレ、アイツのことあんま知らないんだよなー」
ドラコニアって誰だ……。何やら新入生たちはそのドラコニアという人物を知っているようだが、如何せん自分はこの世界の人間ではないので分かるはずもない。だがドラコニアという名が出てきた途端、ルフたちも騒ぎ始めたところを見ると何やらただ者ではないということは理解することが出来た。謎のドラコニアという人物のことについて考えに耽っていると、上級生と思わしき人物がやってきた。
「──おお、やはり。もしやと思って来てみたが、マレウスは来ておらなんだか。 ‘’また‘’ 式典の知らせが届いていなかったとみてる」
マレウスとはドラコニアという人物の名前だろうか?この華奢な身体つきをした、愛らしい顔をしている少々老人口調な彼はドラコニアという人物と親しいのだろうと見受けられた。誰も式典があるということをドラコニアという人物に対して伝えなかったことを見越して様子に見に来たという彼の素振りから、ドラコニアという人物は普段から蚊帳の外状態なのだろう。
「申し訳ありません。決して仲間外れにしたわけじゃないんですよ」
「どうも彼には声をかけずらいオーラがあるんだよね」
「まぁよい。ディアソムニア寮のものはわしに付いてくるがいい。……あやつ、拗ねていなければいいが……」
老人口調の上級生はそう言うと、彼の所属している寮生たちを率いて鏡の間へと出ていく。それを気に他の生徒たちも各々の寮長に連れられて、寮へと戻って行ったようだ。そして自分と学園長の2人だけ鏡の間へと取り残された状況へとなり、最初に口を開いたのは学園長だった。
「──さて、ユウさん。大変残念なことですが……貴方には、この学園から出て行ってもらわねばなりません。魔法の力を持たない者をこの学園へ入学させるわけにはいかない。心配はいりません、闇の鏡がすぐに故郷へと送り返してくれるでしょう」
学園長はそう言って一安心だ、早く帰りたい。魔法の力がないというのは間違いではあるものの、自分は早くシンドリアに帰りたいので口を紡ぐ。自分が魔法を使ったこともバレてはいないようだし何より闇の鏡が言っていた『秘めた力』もスルーされているようなので好都合だ。
「さあ、扉の中へ。強く故郷のことを念じて……さあ闇の鏡よ!この者をあるべき場所へ導きたまえ!」
『……』
「ゴ、ゴホン……もう一度。闇の鏡よ!この者を……」
『どこにもない……』
「え?」という声が学園長と重なった。ちょっと待てちょっと待て、どういうことだ。自分はここに連れてこられたんだぞ?それにも関わらず帰るべき場所、あるべき場所がないだって?それならば一体自分はどうして、どうやって連れて来られたっていうんだ?張り倒すぞ、くそ鏡。自分のイライラが少しずつ溜まっているのを感じるものの、闇の鏡が言った次の言葉で納得がいった。
『この者のあるべき場所は、この世界のどこにもない……無である』
「なんですって?そんなことは有り得ない!ああ、もう今日は有り得ないのオンパレードです」
なるほど、この世界のどこにもない。そう闇の鏡は言った、ということはだ。闇の鏡があるべき場所へと送り届けられるのはこの世界にある場所だけということになる。そしてそれは逆もしかりということだ、迎えの黒き馬車が迎えに来れるのもこの世界にある場所だけということになるのだ。ということはつまり自らの手、もしくは何かの力が働いてこの世界へと連れてこられた、言わばトリップしたという状況になる。とすればだ、前者の自らの手でこの世界にトリップしたというのは考え難いだろう、ならば後者である何かの力が働いてこの世界へ連れてこられたということが可能性として大きいだろう。なんてことだ、自分は元の世界へとシンドリアには帰れないというわけか?可愛らしい弟のアラジンにももう会えないということなのだろうか……。自分が落胆していると学園長は口を開いた。
「私が学園長になってから、こんなことは初めてでどうしていいか……。そもそも貴方どこの国から来たんです?」
「……自分はシンドリア王国という国からやって来ました」
「……聞いたことのない地名ですね。私は世界中からやってきた生徒の出身地は全て把握していますが、そんな地名聞いたことがない。一度図書館で調べてみましょう」
この世界の国名でもない、それを図書館で見つけられるだろうか?いや百歩譲ったとしても見つからないだろう。しかしそれでもこの学園長の気使いは嬉しかった。そんなことを考えながら自分たちは図書館へと向かった。
赤毛の上級生がそう言うとグリムの首にはハートの形をした首輪のような、枷のようなものが出現した。多分これは彼の魔法なのだろうということは明白。この世界の魔法はとてもユニークだな……。
「ふぎゃっ!?なんじゃこりゃ!?」
「ハートの女王の法律・第23条『祭典の場に猫を連れ込んでばならない』……猫であるキミの乱入は重大な
「オレ様は猫でもねぇ〜っ!!こんな首輪すぐに燃やして……あ、あれ?炎が出ねぇんだゾ!」
「ふん!ボクがその首輪を外すまでキミは魔法を使えない。ただの猫同然さ」
悪い顔をして言い放った赤毛の上級生。彼の魔法は私が先程グリムに使用した『
「にゃ、にゃにー!?オレ様はペットじゃねーんだゾ!」
「心配しなくてもキミみたいなペット、こっちから願い下げだ。ま、学園から摘み出される頃には外れているよ」
「いや〜、相変わらず素晴らしいですね。どんな魔法でも封じてしまう、リドルさんのユニーク魔法。絶対に欲しい……じゃなくて。僕なら絶対にかけられたくありません」
眼鏡の上級生の本音が漏れていたような……。しかし、彼は赤毛の上級生の魔法をユニーク魔法と言っていたが、まさに文字通りユニークな魔法だ。そのままな気がしてならないがツッコまいでおこう。
「どうにかしてください!貴方の使い魔でしょう!?しっかり躾を!」
「え、自分のじゃないですけど……」
「……え?貴方のじゃない?」
「自分、一度も使い魔だなんて言ってませんよ。学園長が勝手に決めつけて、勝手に話を進めたんじゃないですか」
そう、自分は一度もグリムを使い魔だと肯定した覚えはない。学園長が勝手にそう思って話を進めていただけだ。それをここまで理不尽に言われてしまうとは、少しは人の話をちゃんと聞いて欲しいものだ。
「……そ、そうでしたっけ?……ごほん!では、学園外に放り出しておきましょう。鍋にしたりはしません。私、優しいので。誰かお願いします」
学園長の言葉でグリムはズルズル外へと追いやられてしまった。なんだか可愛そうだなという同情はあれど、彼の所為で自分は巻き込まれたので決して止めたりはしない。グリムは声を荒らげ最後には「大魔法士になる!」と言い残して連れてかれる。何故グリムはそこまでして大魔法士になりたがるのか、自分には到底理解出来なかった。
「少々予定外のトラブルはありましたが、入学式はこれにて閉会です。各寮長は新入生を連れて寮へ戻ってください……ん?そういえば、ディアソムニア寮、寮長のドラコニアくんの姿が見えないようですが……」
「アイツが居ないのはいつものことだろ?」
「あれ?もしかして誰も式のこと伝えてないのか?」
「そんなに言うならアンタが伝えてやれば良かったじゃない」
「うーん。でもオレ、アイツのことあんま知らないんだよなー」
ドラコニアって誰だ……。何やら新入生たちはそのドラコニアという人物を知っているようだが、如何せん自分はこの世界の人間ではないので分かるはずもない。だがドラコニアという名が出てきた途端、ルフたちも騒ぎ始めたところを見ると何やらただ者ではないということは理解することが出来た。謎のドラコニアという人物のことについて考えに耽っていると、上級生と思わしき人物がやってきた。
「──おお、やはり。もしやと思って来てみたが、マレウスは来ておらなんだか。 ‘’また‘’ 式典の知らせが届いていなかったとみてる」
マレウスとはドラコニアという人物の名前だろうか?この華奢な身体つきをした、愛らしい顔をしている少々老人口調な彼はドラコニアという人物と親しいのだろうと見受けられた。誰も式典があるということをドラコニアという人物に対して伝えなかったことを見越して様子に見に来たという彼の素振りから、ドラコニアという人物は普段から蚊帳の外状態なのだろう。
「申し訳ありません。決して仲間外れにしたわけじゃないんですよ」
「どうも彼には声をかけずらいオーラがあるんだよね」
「まぁよい。ディアソムニア寮のものはわしに付いてくるがいい。……あやつ、拗ねていなければいいが……」
老人口調の上級生はそう言うと、彼の所属している寮生たちを率いて鏡の間へと出ていく。それを気に他の生徒たちも各々の寮長に連れられて、寮へと戻って行ったようだ。そして自分と学園長の2人だけ鏡の間へと取り残された状況へとなり、最初に口を開いたのは学園長だった。
「──さて、ユウさん。大変残念なことですが……貴方には、この学園から出て行ってもらわねばなりません。魔法の力を持たない者をこの学園へ入学させるわけにはいかない。心配はいりません、闇の鏡がすぐに故郷へと送り返してくれるでしょう」
学園長はそう言って一安心だ、早く帰りたい。魔法の力がないというのは間違いではあるものの、自分は早くシンドリアに帰りたいので口を紡ぐ。自分が魔法を使ったこともバレてはいないようだし何より闇の鏡が言っていた『秘めた力』もスルーされているようなので好都合だ。
「さあ、扉の中へ。強く故郷のことを念じて……さあ闇の鏡よ!この者をあるべき場所へ導きたまえ!」
『……』
「ゴ、ゴホン……もう一度。闇の鏡よ!この者を……」
『どこにもない……』
「え?」という声が学園長と重なった。ちょっと待てちょっと待て、どういうことだ。自分はここに連れてこられたんだぞ?それにも関わらず帰るべき場所、あるべき場所がないだって?それならば一体自分はどうして、どうやって連れて来られたっていうんだ?張り倒すぞ、くそ鏡。自分のイライラが少しずつ溜まっているのを感じるものの、闇の鏡が言った次の言葉で納得がいった。
『この者のあるべき場所は、この世界のどこにもない……無である』
「なんですって?そんなことは有り得ない!ああ、もう今日は有り得ないのオンパレードです」
なるほど、この世界のどこにもない。そう闇の鏡は言った、ということはだ。闇の鏡があるべき場所へと送り届けられるのはこの世界にある場所だけということになる。そしてそれは逆もしかりということだ、迎えの黒き馬車が迎えに来れるのもこの世界にある場所だけということになるのだ。ということはつまり自らの手、もしくは何かの力が働いてこの世界へと連れてこられた、言わばトリップしたという状況になる。とすればだ、前者の自らの手でこの世界にトリップしたというのは考え難いだろう、ならば後者である何かの力が働いてこの世界へ連れてこられたということが可能性として大きいだろう。なんてことだ、自分は元の世界へとシンドリアには帰れないというわけか?可愛らしい弟のアラジンにももう会えないということなのだろうか……。自分が落胆していると学園長は口を開いた。
「私が学園長になってから、こんなことは初めてでどうしていいか……。そもそも貴方どこの国から来たんです?」
「……自分はシンドリア王国という国からやって来ました」
「……聞いたことのない地名ですね。私は世界中からやってきた生徒の出身地は全て把握していますが、そんな地名聞いたことがない。一度図書館で調べてみましょう」
この世界の国名でもない、それを図書館で見つけられるだろうか?いや百歩譲ったとしても見つからないだろう。しかしそれでもこの学園長の気使いは嬉しかった。そんなことを考えながら自分たちは図書館へと向かった。