闇の鏡が放つ眩い光に包まれ瞑っていた目を開けるとそこは見覚えがあるような、だけど廃れた一軒家と木々が広がる森だった。ここが学園長が言っていたドワーフ鉱山がある森なのだろう。ひっそりと佇むあの一軒の家に自分はとても見覚えがあった。それはとあるゲームを遊んだことがあるからなのだけれど、なんだか完全にドワーフ・ウッドランドを模したこの森に少し困惑した。普通はドワーフ・ウッドランドがこの森を模したが正解なんだろうけれど。


「ここがドワーフ鉱山……一昔前は魔法石の採掘で栄えてたらしいが……」

「うぅ……なんか出そうなんだゾ……」

「あ、奥の方に家がある。話聞きにいってみよーぜ」


エースの一言で自分たちはその家へと向かった。ノックをしても飯能はなく勝手ながらお邪魔させて頂いたが家はもぬけの殻、家は長いこと誰も住んでいなかったと思われるほど埃と蜘蛛の巣だらけで寂れていた。家具が全体的に小さいし何より鉱山の近くにあると思われるこの家、そしてなんだか見覚えのある佇まい、恐らくここは7人の小人が住んでいた家なのだろう。何があったのだろうか、女王を倒したドワーフたちは姫の葬儀中に現れた王子が白雪姫のあまりの美しさにキスをしてしまうが、結果そのキスで目覚めることができた白雪姫を嫁にと娶った王子と幸せかどうかは知らないが暮らしていたはずだが……。まぁ白雪姫もとても胡散臭い話ではあるがな。葬儀中に通りかかったその王子は美しい若い娘だからと仮死状態といえど死体を国に持ち帰ろうとしていたのだから。


「こんばんは……って、空き家か。荒れ放題だ」

「ぷわっ！顔に蜘蛛の巣が…ぺぺっ！」

「なんか机とか椅子とか全部小さくねえ？子供用か？いち、に……7人！多っ！」

「ここはドワーフ、つまり小人。7人の小人が住んでいた家だ。白雪姫……いや君たちにはグレート・セブンの世界一美しいと呼ばれた女王と行った方が分かりやすいかな？その女王が治めていた国だろう」

「は？！なんでそんなこと分かるんだよ！」

「なんだ、ドワーフ鉱山で分からなかったのか？ドワーフってついているだろ」

「それだけかよ？！」


ドワーフ鉱山という名前で分かったのはドワーフがついていたからではないんだがな。本当にグレート・セブンの話を詳しく知らないんだなコイツら。ただ大まかな話しか聞かされていないんだろうか、それともグレート・セブンがそうさせたのか真意は謎だがな。


「まぁドワーフ鉱山が栄えていた頃は、さぞ賑やかな家だったんだろうな」

「ここでこうしててもしゃーない。魔法石があるとすれば炭鉱の中だよね。とりあえず、行ってみよーぜ」


エースの言う通りだ、ここで道草をくっていては時間に間に合わなくなってしまう。自分たちはドワーフ鉱山へと急いだ。移動中に周りを観察していたが、やはり自分が知っているドワーフ鉱山とは趣が違っていた。穏やかだったはずの森は寂れていて静寂に充ちている、鳥はおろか動物たちの声すら聞こえてこない。本当にここで何があったんだ？鉱山の入口へと到着したがグリムが今更怖気付いたことを言いだした。お前本当にそれでもモンスターなのか……。


「こ、この真っ暗の中に入るのか！？」

「ビビってんのかよ、だっせー」

「なぬっ！？ビ、ビビッてなんかねーんだゾ！オレ様が隊長だ！オマエらついてくるんだゾ！」


エースに挑発されたグリムは負けじと自身が先頭になって進むと言いだした。怖いなら怖いって言えばいいのに、変に痩せ我慢するのは逆にもっとカッコ悪いぞーグリム。自分の心の声は聞こえるはずもなく、グリムは宣言通り先頭をきって鉱山の中に入っていった。少し鉱山の中を進んでいくとデュースが何やら気付いたらしい。はぁ、何か起こるとは思っていたが面倒だな……。


「！？待て！」

「んだよ」

「なにか……いる！」

「ぴゃっ！？」


自分たちの目の前に現れたのはゴーストたちだった。この世界はゴーストが随分と好きらしいな。ゴーストの登場する率高くないか？しかし元の世界ではゴースト、つまり幽霊の存在はないに等しいからか物珍しかったりはするんだけど。


「ヒーッヒッヒ！10年ぶりのお客様だあ！」

「ゆっくりしていきなよ、永遠にね！」

「ゴーストってのはなんでそんなに仲間を増やしたがるんだ？寂しいのか？だからって全く関係のない人間を巻き込むなよ、とても迷惑極まりない。もしそれが君たちの歓迎なのであれば、その歓迎の仕方はとても不愉快だ」

「ひぃ！ごめんなさ〜い！！！」


そう言ってゴーストたちは消えていった。シャンデリアの件で相当フラストレーションが溜まりに溜まっているので、いつもよりもキツめな言い方になっしまったが生命を狙われたわけだし、正当防衛ということでいいか。