Welcome to the Villains' world
name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
学園長に連れられて赴きがあるという寮へとやって来たのだがこれ……
「趣きがありすぎる……」
「そうでしょう、そうでしょう。さあ中へどうぞ」
何がそうでしょう、そうでしょうだ。お世辞にも赴きとは言い難い、正しくオンボロという言葉がピッタリなほど錆びえた寮だ。正門と思わしき鉄の門は傾いており、敷地内を取り囲んでいる鉄の柵もほとんどが歪んでいる。木の枝には蜘蛛の巣が至るところに張り巡らされており、寮の建物も色褪せ窓という窓がベニヤ板で補強されている。玄関も蜘蛛の巣と埃だらけでとても汚い。寮の中へと入ってみるが、外観に負けず劣らずの酷い有様だ。そこら中に蜘蛛の巣、蜘蛛の巣、蜘蛛の巣。更には埃だらけでだいぶかび臭い。談話室にやってくると暖炉には当たり前のように蜘蛛の巣があり、椅子や窓、上へと続く階段にすら張り巡らされている。壁紙も剥がれかけており、本も乱雑にばら撒かれている始末。ソファーは穴が空いていたり、黒いシミのようなものが浮かんでいる。ハッキリと言おう、途轍もなく汚い。よくここまで放っておいたなと思うレベルの有り様だ。
「ここであれば取り敢えず雨風は凌げるはすです。私は調べ物に戻りますので、適当に過ごしていてください。学園内はウロウロしないように!では!」
そう言って学園長はそそくさとこの談話室から出て行った。何が取り敢えずなのか意味が分からない。しかしながら宿を貸してもらっている手前文句を言ってられない。けれど王宮暮しが長いお陰でこの場所がとても汚く思えてしまう。先ずはこの談話室をなんとかしなければならない。そう思い自分は透明魔法をかけていた杖の呪文を解除しする。自分の杖は自身の背丈ほどある杖なので持っていると目立ったりするのだ。自分は再度杖を握り締め杖を振る。そうすると汚れていたソファーは綺麗になり、埃は愚か蜘蛛の巣まで綺麗になる。更には乱雑に置かれていた本は側にあった本棚へと戻っていく。剥がれかけていた壁紙もすっかり元に戻り、かけられていたお飾りとは言い難い絵画も新品のように綺麗に飾られている。ひっくり返っていた机や椅子、絨毯もあるべき場所へ戻された。あ、これは非常に不味い……
「しまった、やり過ぎた……」
余りの汚さに徹底的に掃除をしてしまった。こんな短時間でこんなに、しかも新品のような佇まいの家具たちや綺麗な壁や床、階段。これを学園長が見たら魔法でやったとバレてしまう。別にバレても全然構いはしないのだけれど、今バレると厄介なことになりそうだな……。しかし元に戻すのもとても忍びないというか、戻したくないのが本心である。バレたらバレたでそれまでだ、そう思うようにして自分は綺麗になったソファーで休むことにした。
ソファーでゆっくりしながら本を読んで時間を潰していると、どうやら雨が降ってきたみたいだ。窓の外からは雨音が聞こえ、談話室の外である廊下からはポツリポツリと雨漏りしている音が聞こえてくる。うっそ、どんだけオンボロなんだこの寮……。談話室だけでも魔法で綺麗にして良かったと心底思う羽目になるとはね。
「ぎえー!急にひでぇ雨だゾ!」
すると突然とても聞き覚えのある、というよりも聞きたくない声が聞こえてきた。こんな甲高い可愛らしい声をしているのは自分が知る中で1人、いや1匹しかいない。
「ぎゃっはっはっ!ってこの談話室、綺麗過ぎるんだゾ?!なんでこの談話室だけ綺麗なんだゾ!廊下も外観もあんなにオンボロだったのに……」
「なんだ、その鳩が豆鉄砲でも食らったような反応は……」
ドヤ顔して登場かと思い気や、グリムは面食らった顔をして驚いていた。本当に鳩が豆鉄砲を食らったよう、もしくは吸血鬼が銀の弾丸を食らったような驚きっぷりである。まさかこんなに驚かれるとは少し愉快だな。しかしグリムはとても諦めが悪いと見えた、まさかあれほどこてんぱんに返り討ちにあっておきながら、ふんぞり返って戻ってくるとは中々神経が図太いらしい。
「お前、諦めが悪いんじゃないか?」
「ふ、ふん!ちょっと外に放り出したぐらいで、オレ様が入学を諦めると思ったら大間違いなんだゾ!」
「なんでそんなに大魔法士とやらになりたいんだ?」
「は?そんなのオレ様が大魔法士になるべくして生を受けた天才だからなんだゾ!」
「へぇー、天才ねぇ……」
「な、なんなんだゾ!その目は!」と言いながらこちらを威嚇してくるグリムは本当に猫にしか見えない。そんな背中の毛をおっ立てて警戒しなくたって良いじゃないか。けれどグリムはとてもおめでたい猫だということが分かった。彼にその大魔法士という素質はないし何よりあの式典にいた上級生の誰よりも魔力は下だろう。彼が大魔法士に慣れるのであれば、この世の中大魔法士だらけだ。それぐらい彼と式典にいた上級生たちとでは、悪言い方をすれば月とすっぽんほどの差があった。その差は歴然で、グリムはそこを理解出来ていないんだろう。
「オ、オレ様はなぁ!いつか黒い馬車が迎えに来るのをずっとずっと待ってた。なのに……なのに……ふ、ふん!闇の鏡も見る目がねーんだゾ。だからオレ様のほうから来てやったってわけだ。オレ様を入学させないなんてこの世界の損失だってのに、ニンゲンどもは分かってねーんだゾ」
いやお前の妄言もそこまでいくとおめでたいな、というのはそっと心の奥底にしまっておく。闇の鏡は見る目は見る目は確かだと思うがな、自分の役には立ってくれなかったわけだが。あの鏡は少なからず自分の能力について何かしら掴んでいるだろう。この世界の住人はルフというものの存在自体知らないはずだ、だからこそあの鏡が自分の力を見抜いたことについては見る目があるとは思うけどね。
「ふーん、そこまで自分を過大評価できるなんておめでたいな」
「な、なんだと!?オマエなんて魔法が使えないくせに!使えねえヤツが強がり言ったって……」
「は?」
「ひっ……」
あー、イライラする。なんなんだこいつ、言いたい放題にもほどがあるだろう。自分が使えないだなんて、自分が一番知ってるんだ。それをこんな猫に言われるだなんてむかっ腹が立つ。このイライラを鎮めるため、そして自分が独りになりたいがために談話室を出た。
ふぅー……大分頭が冷えて来た気がする。はぁグリムが言った通り自分が魔法を使えない、いや創世の魔法使いだなんて大層な肩書きなんて無かったらどれほど良かったか……。グリムに今日一日で巻き込まれてまくったお陰でフラストレーションが溜まっていたのだ。……というか雨漏りの量がえげつない気がするな。直そうとするとガタン!っと物音が聞こえてきた。それと同時になにかの笑い声も。
「ひひひひ……イッヒヒヒヒ……久しぶりのお客様だあ〜……」
「腕が鳴るぜぇ〜イーッヒッヒッヒ!」
「何、君たち」
「なんかすっごい物音がしたん……ギャーーーーー!!!おおお……お化けええええええ!!!」
うっるさ、うるさ過ぎなんだけど。グリムは大きな物音がしたので廊下の様子を見にきたようだが、ゴーストたちを見た瞬間に女の子みたいな悲鳴を上げて自分の足元に震えながら隠れる。お前モンスターのくせしてお化けが怖いのか、余り変わりはないだろうと思いつつも涙目で今にも泣き叫びそうなグリムを無下には出来ずゴーストたちの盾になってあげる。
「ここに住んでた奴らは俺たちを怖がってみーんな出ていっちまった」
「俺たちずっと新しいゴースト仲間を探してたんだ。お前さん、どうだい?」
「は?嫌だけど。なんで君たちの仲間にならないとダメなわけ?自分が君たちに何か迷惑をかけたか?それならば謝るが君たちの迷惑になるようなことをした覚えは全くと言っていいほどないし、何より自分はここの談話室を掃除したにも関わらずこんな歓迎の仕方は野暮じゃないか?これが君たちの歓迎の仕方だと言うのであれば、とてもありがた迷惑だ。押し付けがましいにもほどがあるな。こんなやり方で喜ぶと思っているんだったら出直しこい。ほら見ろ、痛いけな小動物だってこんなに怖がってるんだぞ!」
「ひぃ!!す、すみません」
少しイライラしていたので、少々キツく言ってしまったがゴーストたちは自分の気迫に負けたのか怯えてしまった。何故だか少し遠い突き当たりの角の壁を盾にして、こちらの様子を伺っている。何やってるんだ、そんなに脅えることはないだろう。
「オ、オマエって意外とズケズケと言うよな……」
グリムにだけは言われたくないな。そもそも、お前は遠慮というものが無さすぎだと自分は思うけどな。グリムは自分にそう言いつつも、まだ怖いの涙目で震えながら自分の足元に隠れていた。これで本当に大魔法士とやらになれるのか?
「趣きがありすぎる……」
「そうでしょう、そうでしょう。さあ中へどうぞ」
何がそうでしょう、そうでしょうだ。お世辞にも赴きとは言い難い、正しくオンボロという言葉がピッタリなほど錆びえた寮だ。正門と思わしき鉄の門は傾いており、敷地内を取り囲んでいる鉄の柵もほとんどが歪んでいる。木の枝には蜘蛛の巣が至るところに張り巡らされており、寮の建物も色褪せ窓という窓がベニヤ板で補強されている。玄関も蜘蛛の巣と埃だらけでとても汚い。寮の中へと入ってみるが、外観に負けず劣らずの酷い有様だ。そこら中に蜘蛛の巣、蜘蛛の巣、蜘蛛の巣。更には埃だらけでだいぶかび臭い。談話室にやってくると暖炉には当たり前のように蜘蛛の巣があり、椅子や窓、上へと続く階段にすら張り巡らされている。壁紙も剥がれかけており、本も乱雑にばら撒かれている始末。ソファーは穴が空いていたり、黒いシミのようなものが浮かんでいる。ハッキリと言おう、途轍もなく汚い。よくここまで放っておいたなと思うレベルの有り様だ。
「ここであれば取り敢えず雨風は凌げるはすです。私は調べ物に戻りますので、適当に過ごしていてください。学園内はウロウロしないように!では!」
そう言って学園長はそそくさとこの談話室から出て行った。何が取り敢えずなのか意味が分からない。しかしながら宿を貸してもらっている手前文句を言ってられない。けれど王宮暮しが長いお陰でこの場所がとても汚く思えてしまう。先ずはこの談話室をなんとかしなければならない。そう思い自分は透明魔法をかけていた杖の呪文を解除しする。自分の杖は自身の背丈ほどある杖なので持っていると目立ったりするのだ。自分は再度杖を握り締め杖を振る。そうすると汚れていたソファーは綺麗になり、埃は愚か蜘蛛の巣まで綺麗になる。更には乱雑に置かれていた本は側にあった本棚へと戻っていく。剥がれかけていた壁紙もすっかり元に戻り、かけられていたお飾りとは言い難い絵画も新品のように綺麗に飾られている。ひっくり返っていた机や椅子、絨毯もあるべき場所へ戻された。あ、これは非常に不味い……
「しまった、やり過ぎた……」
余りの汚さに徹底的に掃除をしてしまった。こんな短時間でこんなに、しかも新品のような佇まいの家具たちや綺麗な壁や床、階段。これを学園長が見たら魔法でやったとバレてしまう。別にバレても全然構いはしないのだけれど、今バレると厄介なことになりそうだな……。しかし元に戻すのもとても忍びないというか、戻したくないのが本心である。バレたらバレたでそれまでだ、そう思うようにして自分は綺麗になったソファーで休むことにした。
ソファーでゆっくりしながら本を読んで時間を潰していると、どうやら雨が降ってきたみたいだ。窓の外からは雨音が聞こえ、談話室の外である廊下からはポツリポツリと雨漏りしている音が聞こえてくる。うっそ、どんだけオンボロなんだこの寮……。談話室だけでも魔法で綺麗にして良かったと心底思う羽目になるとはね。
「ぎえー!急にひでぇ雨だゾ!」
すると突然とても聞き覚えのある、というよりも聞きたくない声が聞こえてきた。こんな甲高い可愛らしい声をしているのは自分が知る中で1人、いや1匹しかいない。
「ぎゃっはっはっ!ってこの談話室、綺麗過ぎるんだゾ?!なんでこの談話室だけ綺麗なんだゾ!廊下も外観もあんなにオンボロだったのに……」
「なんだ、その鳩が豆鉄砲でも食らったような反応は……」
ドヤ顔して登場かと思い気や、グリムは面食らった顔をして驚いていた。本当に鳩が豆鉄砲を食らったよう、もしくは吸血鬼が銀の弾丸を食らったような驚きっぷりである。まさかこんなに驚かれるとは少し愉快だな。しかしグリムはとても諦めが悪いと見えた、まさかあれほどこてんぱんに返り討ちにあっておきながら、ふんぞり返って戻ってくるとは中々神経が図太いらしい。
「お前、諦めが悪いんじゃないか?」
「ふ、ふん!ちょっと外に放り出したぐらいで、オレ様が入学を諦めると思ったら大間違いなんだゾ!」
「なんでそんなに大魔法士とやらになりたいんだ?」
「は?そんなのオレ様が大魔法士になるべくして生を受けた天才だからなんだゾ!」
「へぇー、天才ねぇ……」
「な、なんなんだゾ!その目は!」と言いながらこちらを威嚇してくるグリムは本当に猫にしか見えない。そんな背中の毛をおっ立てて警戒しなくたって良いじゃないか。けれどグリムはとてもおめでたい猫だということが分かった。彼にその大魔法士という素質はないし何よりあの式典にいた上級生の誰よりも魔力は下だろう。彼が大魔法士に慣れるのであれば、この世の中大魔法士だらけだ。それぐらい彼と式典にいた上級生たちとでは、悪言い方をすれば月とすっぽんほどの差があった。その差は歴然で、グリムはそこを理解出来ていないんだろう。
「オ、オレ様はなぁ!いつか黒い馬車が迎えに来るのをずっとずっと待ってた。なのに……なのに……ふ、ふん!闇の鏡も見る目がねーんだゾ。だからオレ様のほうから来てやったってわけだ。オレ様を入学させないなんてこの世界の損失だってのに、ニンゲンどもは分かってねーんだゾ」
いやお前の妄言もそこまでいくとおめでたいな、というのはそっと心の奥底にしまっておく。闇の鏡は見る目は見る目は確かだと思うがな、自分の役には立ってくれなかったわけだが。あの鏡は少なからず自分の能力について何かしら掴んでいるだろう。この世界の住人はルフというものの存在自体知らないはずだ、だからこそあの鏡が自分の力を見抜いたことについては見る目があるとは思うけどね。
「ふーん、そこまで自分を過大評価できるなんておめでたいな」
「な、なんだと!?オマエなんて魔法が使えないくせに!使えねえヤツが強がり言ったって……」
「は?」
「ひっ……」
あー、イライラする。なんなんだこいつ、言いたい放題にもほどがあるだろう。自分が使えないだなんて、自分が一番知ってるんだ。それをこんな猫に言われるだなんてむかっ腹が立つ。このイライラを鎮めるため、そして自分が独りになりたいがために談話室を出た。
ふぅー……大分頭が冷えて来た気がする。はぁグリムが言った通り自分が魔法を使えない、いや創世の魔法使いだなんて大層な肩書きなんて無かったらどれほど良かったか……。グリムに今日一日で巻き込まれてまくったお陰でフラストレーションが溜まっていたのだ。……というか雨漏りの量がえげつない気がするな。直そうとするとガタン!っと物音が聞こえてきた。それと同時になにかの笑い声も。
「ひひひひ……イッヒヒヒヒ……久しぶりのお客様だあ〜……」
「腕が鳴るぜぇ〜イーッヒッヒッヒ!」
「何、君たち」
「なんかすっごい物音がしたん……ギャーーーーー!!!おおお……お化けええええええ!!!」
うっるさ、うるさ過ぎなんだけど。グリムは大きな物音がしたので廊下の様子を見にきたようだが、ゴーストたちを見た瞬間に女の子みたいな悲鳴を上げて自分の足元に震えながら隠れる。お前モンスターのくせしてお化けが怖いのか、余り変わりはないだろうと思いつつも涙目で今にも泣き叫びそうなグリムを無下には出来ずゴーストたちの盾になってあげる。
「ここに住んでた奴らは俺たちを怖がってみーんな出ていっちまった」
「俺たちずっと新しいゴースト仲間を探してたんだ。お前さん、どうだい?」
「は?嫌だけど。なんで君たちの仲間にならないとダメなわけ?自分が君たちに何か迷惑をかけたか?それならば謝るが君たちの迷惑になるようなことをした覚えは全くと言っていいほどないし、何より自分はここの談話室を掃除したにも関わらずこんな歓迎の仕方は野暮じゃないか?これが君たちの歓迎の仕方だと言うのであれば、とてもありがた迷惑だ。押し付けがましいにもほどがあるな。こんなやり方で喜ぶと思っているんだったら出直しこい。ほら見ろ、痛いけな小動物だってこんなに怖がってるんだぞ!」
「ひぃ!!す、すみません」
少しイライラしていたので、少々キツく言ってしまったがゴーストたちは自分の気迫に負けたのか怯えてしまった。何故だか少し遠い突き当たりの角の壁を盾にして、こちらの様子を伺っている。何やってるんだ、そんなに脅えることはないだろう。
「オ、オマエって意外とズケズケと言うよな……」
グリムにだけは言われたくないな。そもそも、お前は遠慮というものが無さすぎだと自分は思うけどな。グリムは自分にそう言いつつも、まだ怖いの涙目で震えながら自分の足元に隠れていた。これで本当に大魔法士とやらになれるのか?