うちの本丸

ある日突然政府から伝令が入った。なんでも本丸調査が入るという知らせで、その本丸調査をする調査員がこんのすけの黒ver.名前をくろのすけというらしい。本丸調査といっても何をするのだろうか?うちの本丸は特にこれといって問題な点などはないはずだ。


「どうしたのですか、主?」

「古今さん。いやね本丸調査が明日入るんだって、でも本丸調査って具体的になるするんだろうと思って考えてたんだ」

「また急な話ですね……わたくしは政府にいたときもありましたが珍しいですね。本丸調査などなかったはずなのに……」


今日の近侍は古今さんだ。その古今さんの言う通りだ、何故これまでやっていなかった本丸調査をいきなり行おうというのか、政府の考えが全くもって読めないのである。


「しかし主が悩んでおられるなら、わたくしも力を貸しましょう。あなたには救われた恩もあります、遠慮なくわたくしに申し付けてください」

「あ、う、うん。ありがとう古今さん」


私の手を取って握り締めながら言った古今さんだが特命調査以来、つまり彼がこの本丸に顕現された以来ずっとこの調子なのである。なんでも特命調査で主に救われたとしきりに言って、こうして私の力になろうと申し出てくれるのだ(※特命調査・慶長熊本を参照)。それはとても有難いのだけれどこんなあからさまに態度を変えられると正直戸惑うというか、私はそんな大層なことをした覚えもない。だからなのか戸惑ってもいるし困惑もしている。


「それにしても本丸調査とは何をすればよいのか……」

「そうだよねー。本丸内の掃除とかは毎日の内番で組み込まれているから正直なにもやることがない……」


そう、本丸内掃除は内番で振り分けていたりするので定期的に行っていたりする。全刀剣男士が揃っている状態のうちの本丸は日課についても気合いを入れて勤しんでいるというわけでもないが、そつ無くこなしてもいるし何より書類整理に関しても長谷部さんが手伝ってくれるので提出期限を過ぎたことはないのだ。自分でいうのは難だが模範的な本丸ではないだろうか?これ以上悩んで仕方がないので、明日の本丸調査もいつも通りに過ごそうということになった。

次の日、今日は本丸調査の日だ。緊張は不思議としておらずいつもと変わらず普通だ。今日の近侍は地蔵くんで、2人でくろのすけが来るのをのんびりと待っていた。


「お昼回っちゃったけど、意外と来るの遅いね」

「そうだな、いつ頃来るぐらい知らせて欲しかった」


地蔵くんの言う通りでもあるが、基本的に政府は日にちは教えてくれても時間までは教えてくれなかったりする。彼らも忙しい身だということは十分理解しているつもりなのであまり深くツッコまないでおく。私たちはくろのすけがくるまで気長に待っていた。

くろのすけがやってきた、話してた30分後ぐらいに。噂をすればなんとやらというが本当にそんな感じだ。くろのすけは私と地蔵くんを見ると少し驚いた素振りを見せつつも直ぐに表情を戻した。


「ごほん。わたくしはくろのすけ、この度あなた様の本丸調査をおうせつかりました」

「はじめまして、この本丸で審神者させて頂いている者です」

「あなた様の本丸の資料などは頂いており、拝見させて頂きましたがとても模範的。しかしわたくしは厳しいです、この本丸に所属しているこんのすけよりも!」

「え、そうですか……あ、油揚げでも食べます?」

「わたくしがそんな安い手に引っかかるとでも?わたくしは本丸調査に選ばれたくろのすけでございます。厳しくあなた様方を査定しなくては……油揚げ頂きます!」


なんかくせのある調査員さんのようだ。しかしやはり管狐、油揚げは大好物のようでとても美味しそうに食べている。まぁこの調査員さんの言い方からして責任感がとても強いように感じる。この仕事に誇りを持っているのだろう。その後、油揚げを食べ終わったくろのすけが本丸調査を始めたが、結果問題はなく評価優を頂いた。その評価の仕方政府の間で流行ってるのか?と思ったがその感想は心の奥へしまい込んだ。
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