うちの本丸の朝餉は決まった時間に全員揃って食べるというのが何故か暗黙の了解となっている。多分そうなってしまった原因を作ったのは私なのだろうけど、この決まりみたいなものが出来てから何も言われないので深く追求はしないでいる。すれば絶対にお母さんズ(燭台切さんと歌仙さん)のお説教コースなので聞いていないだけでもあるのだけれど。そしてうちの本丸は大半が主食は米派、パン派は少数だったりする。私はどちらとも好きではあるものの、どっちがいいと聞かれれば「パン」と答えるぐらいだ。何故パンなのかと問われれば、自他ともに認める少食な私が朝から米はキツいという理由だったりする。そんな理由もあり、私の朝餉は他のみんなとは違った。


「今日も主は違うんだね」

「これで十分過ぎるぐらいだからね」


本日の私の朝餉を見て言った清光くんの言葉は羨ましいとかではなくて、ただ自分たちと同じ量の朝ごはんを食べて欲しいという心配からの言葉だ。私の朝餉は基本的にクロワッサン等のパン一つにデザートのフルーツ少々、そしてスープといったメニューが定番で、どうしても食べれない時はフルーツのみの場合もあるが殆どは定番メニューが多いのだ。食い意地は張っているのに食べれないという身体と思いは時に交わらないということを痛感させられる。因みに他のみんなの今日の朝ごはんはご飯とお味噌汁はもちろんのことだし巻き玉子、焼き魚、牛肉のしぐれ煮、野菜の煮物、寄せ豆腐、デザートにフルーツヨーグルトと旅館などで出される朝餉のような感じだ。


「主は食べなさ過ぎるんだよ。だからそんなに細っこいし身長だって……」

「いや身長は平均的、むしろ大きい方なんだけど？」

「せやけんど、主はほんに少食じゃきみんな心配しちょるんじゃ」


側にいた兼さんとむっちゃんも心配しているようだ。しかしながらこれでも食べるようになった方で、着任当初は一日一食なんてざらだった。なのでその点を踏まえると食べるようになったなぁと自負していたりする。そんなことを考えていると安定くんが牛肉のしぐれ煮を食べている所が視界に入る。あ、牛肉のしぐれ煮美味しそうだなぁー。夕餉に出してもらえるよう燭台切に言ってみようなんて、今日の昼餉や夕餉の献立は何なのか胸をときめかせる。そう、こういう所で食い意地が貼ってしまうのだ。だけれど仕方ない、燭台切さんの料理は途轍もなく美味しいのだから。自身の胃袋と気持ちが矛盾しているのを恨めしく思う今日この頃。