うちの本丸

世の中はそろそろクリスマスが近いので、クリスマスムードに包まれている。テレビで流れるニュースやらCMやらはクリスマスに因んだものばかり。先日万屋に赴いたら万屋までもがクリスマスの飾り付けやら何やらが施されていた。万屋でもクリスマスに肖ってるとこあるんだなぁと思ったり。


『親父さんとの面会のあとは、いつも悲しそうな子どもの顔だな』

『そんなことない!……家族みんなでクリスマスを迎えたいって』


しかも今居間で見ている海外ドラマも何の因果かクリスマスの話をしている。何故こんなにも私の周りはクリスマス、クリスマス、クリスマスなのか。クリスマス推しすぎだってばよ。


「クリスマスかぁー……」

「……主、クリスマスって何?」

「嗚呼、それは僕も気になりますね」


ボソッと呟いた言葉が居間に居た小夜ちゃんと宗三さんに聞こえたのか、不思議そうに問い掛けてきた。首を傾げるその様はとても愛らしいもので、小夜ちゃんは勿論のことではあるが宗三さんも小夜ちゃん同様可愛い。二人同時にしかも同じ様に首を傾げていたから、そういう所は流石は兄弟だなと実感する。


「クリスマスっていうのはイエス・キリストの降誕祭で12月25日に行う、まぁ祭りみたいなものなんだけどね?降誕祭って称してるけどあくまで誕生を祝う日であって、イエス・キリストの本当の誕生日ではないみたいだけどねぇー」

「そうなんですか」

「その祭りって何するの?」

「友達や家族、恋人とか親しい人とパーティー、えーと……宴みたいなものを催したり、プレゼントというか贈り物をしたりして祝ったり、後はみんなが寝静まったクリスマスの夜には赤い鼻のトナカイが引く空飛ぶソリに乗って子どもたちのためにプレゼントを配り回るサンタクロースっておじいさんが居るらしいんだ」

「サンタクロース……」

「らしいってのが引っ掛かりますね」


oh......宗三さん、痛い所を指摘してくるじゃありませんか。サンタクロースは由来になった人はいれど、赤い鼻のトナカイが引く空飛ぶソリに乗って子どもたちのためにプレゼントを配るサンタクロースは実在しないのだ。大抵は親か保護者なんかがサンタクロースの正体だったりするからなぁー。私にもサンタさんを信じていた年頃はあれど、小2の頃に友達から「サンタさんの正体はお父さんだった!」発言を気にその後ある程度の年齢を重ねて親から打ち明けられる前にサンタの正体を知っていて、それなのにサンタクロースは実在して信じている子どものフリをしていたっけ。


「さっき言った、赤い鼻のトナカイが引く空を飛ぶソリに乗って子どもたちにプレゼントを配り回るサンタクロースっておじさんは実際問題存在しないんだけど、公認サンタクロースってのは居てね。グリーンランド国際サンタクロース協会ってのがサンタクロースの公認を行ってるんだよ。因みに日本人からもこの公認サンタクロースが誕生してたりする」

「……何で貴女はそんなに知っているんですか」

「嗚呼、昔テレビでやってたんだよねぇー」

「主、凄い……!」


キラキラとした目で私を見詰める小夜ちゃん。そんなに凄いことでは無いんだけどなぁ。ただの豆知識というか、トリビアというか、おばあちゃんの知恵袋というかそんな感じだ。でもまぁ、あの小夜ちゃんがこんなにもクリスマスに興味を持ってくれたことは嬉しいことで、こんなに興味津々なのであればみんなでクリスマスパーティーをやろうじゃないか!よしそうしよう!

ということで、私の発言からクリスマスパーティーが行われることになった。パーティーは盛大に行われ、みんなは勿論のこと宗三さんも小夜ちゃんも楽しんでくれているみたいで安心安心。小夜ちゃんはまた来年もクリスマスパーティーをしたいと言っていて、その時の小夜ちゃんの表情は本当に嬉しそうで幸せそうだった。そんな小夜ちゃんの様子を見ていた江雪さんと宗三さんには何故かお礼を言われ、困惑しました。
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