軌跡
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"昨日の月、すごく真っ赤だったんだよ!あと、私人生で初めてふっとんだんだ!すっごいリアルでね、"
"うたの夢の話めっちゃSF!!"
──全て夢だったらいいのに
目が覚めたら、そこには怒ってる先生と笑ってる友人達と…知らないふりをしている友人がいるはずだった
02、それは嘘みたいな日だったかな
ポタリ、ぽたりと水滴が髪の毛から落ちていく。落ちて行った水滴は、床にシミをつくった
『ゲホッ、ガホッ!』
「目が覚めましたか?」
『………』
水を吸って重くなってしまった頭を、ゆっくり、ゆっくりと動かし、声のした方に動かす。ぼやける視界には、縦に並ぶ黒い鉄の塊の奥に……淡い銀色が見えた
『ぁ……』
「夢見はどうでしたか」
幸せな夢だったのに。なぜ、なぜこんな目に。体にしみこんでいく水分が現実だと訴えてくる。悔しくて、ギリッと歯を食い縛った
『さ、いあく……です』
「そうですか」
そう言うと、彼はニコリと笑う
……ここに連れて来られるまでの経緯を忘れたわけじゃない。いつの間にかあの場所にいて、吹っ飛んで、そして私は犯罪者となりここに押し込められた
その記憶は新しい
彼の手には空っぽになったバケツらしきものがあった。きっと、その中身を私にかけたのだろう。……寝ていたから。彼は手に持っていたものからぱっと手を放した
ガシャンッと響く音が耳を刺激する
『ッ』
恐怖が全身に走った
夢ならば、早く覚めて、覚めてよと悲願する
「……まるで自分が被害者のように立ち振る舞われるのですね。お上手ですよ」
『そ、な』
「そうやって我が王に取り入ろうという魂胆なのでしょう?」
淡々と、あくまでも私はどこかの間者であることが前提で話していく彼
この言葉たちが私の心を突き刺していった
『……わが、おう?』
「ッ──本当にお上手ですね」
一体何人を騙してきたんです?と言われ、スッと細められた瞳に、ゾワッと背中に寒気が走った
知らない、知らない、私は何も知らない
我が王、は誰なの
私はいったい何をしたの?
何の話なの?
分からない、誰か、教えてよ
『ここは、どこ…』
ぼろっと出てしまった言葉に返ってくるものはなく、ただただ自分への非難を浴びさせられる結果を招いただけだった
「口を慎みなさい。いつ、何が貴方の最後になるかわかりませんよ」
するり、と出されたものには見覚えがある。それは、かなり前に芸人のにしおかさんがフル活用していた物。所詮鞭、というもの
ビッと張られたそのゴム製に息ができなくなる
「いかしかたなし、か。……素直に吐いてしまえばいいものを」
彼の瞳に映った自分は、絶望的な目をしていた
「……貴方は一体何者なんです?」
『一般人、ですよ』
へらり、と勝手に笑みが漏れた
ジャラリ、と音を立てて繋げられている鎖を引っ張られ、地面に引きつけられる。ズリッと頬が擦れた。じんわりと痛みが伝わってくる
そういえば、私の服は何処に行ったんだろう
こんな服着ていたっけか?
制服は無事かなぁ
今は、うっすい布きれで作られたノースリーブのワンピースのみだった
尋問されてる時の私は恐ろしい程に冷静だった
ふと視線を外せば、唯一柵の外に立っている一人の見張りと目があった。すると彼は、ふぃっと顔をそらした
耳から入る音が、こんなにも怖いなんて思ってもみなかったんだ。そして時折、険しい顔をする銀髪の彼を見ては、見ていないフリをして目を閉じたりしていた
Fin