軌跡
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前回までのあらすじ──少女が気絶しました。ですがそのあと意識を取り戻りた彼女を連れてヤムライハとピスティが、お風呂場へと連れて行きましたとさ。
「シン、あの、これは、どういう」
「シッ、聞こえるだろ」
「なにか、道を踏み外しているような気がするのですが……」
聞き耳を立てる彼らに、中の3人のうち二人は気が付いていた。が、今は仕方がないこと。見張りだと言い聞かせているため、素直に受け入れてくれた。当の対象人物である少女は、気が付いていない。
「茶化さないでください」と言う話声が壁の向こうから聞こえてきた。ちょっと焦ったような、甲高い声に思わず唾液を飲み込む始末。
……集中、集中。
******
「ほらほらぁ!!おねえさんが脱がしてあげるよ!!さぁさぁ」
「あ、いえ、そのっ……お気持ちは嬉しいのですが……!!」
「恥ずかしいのかしら~?」
「ヤムライハさんまでっ……!」
あくまでも抵抗する少女だったが、入らない力では抵抗できずに一枚一枚同性の手によって脱がされた。
「ッ、」
「あ──」
さっきまではキャイキャイと楽しそうな声がしたのだが、どうしたものかと聞き耳を立てる。その場は、嘘のように静まり返っていた。不思議に思った王とその政務官はお互いに顔を見合わせて、全神経を壁の向こうに注ぎ込んだ。
「ごめんね、うたちゃん。これ、見られたくなかった、わよね」
「……、い、え、その、ッ!?」
「ちょ、ピスティ!?」
「っ、い、」
「……痛かったよねきっと。すごく、すごく」
「──」
ああ、そうか。きっと傷が残ってしまっているのだろうな。と聞き耳を立てている二人は、中の状況を悟る。静かに、布の擦れる音が響く。
「いたかった、です」
静かな部屋に、少女の声はよく聞こえた。そしてその言葉は自然とナイフに変わり果てた。
「でも。これが、現実なんだなって。そう思ったらどんな傷だってもう、」
「何言ってるの!!女の子なんだから……、ここは大事にしなきゃだめだよ!!うたちゃん、お肌綺麗なのに、なんで、こんな……」
「ピスティ……」
「すみません……だけどわたしが悪いんです。全部、全部。ピスティさん、そんな顔しないでくださいな」
「ッ、ばかだよ。うたちゃん」
「わ、私たち何も言えないけど……、その、」
「ほんとに気にしないでください。それに、いま優しくされると、」
"戻れなくなりそうだ"とこぼれた言葉を拾ったものはどこにもいなかった。いつの間にか聞き耳を立てていた者たちの姿はなくなっていた。
「すがって、しまいそう」
その後のお風呂場では、それは静かな時間が。だけど使用している人はいて。最低限の話し声しかしなかった。
「突き放されて、しまいました」
「いたしかたありません。……ヤムライハ、ピスティの方はどうです」
「……相変わらず、です」
「そうですか」
最初に突き放したのはこちら側。だけどこんなにも胸が痛く、突き放されたことにショックを受けるだなんて……ずいぶんと都合のいい話だ。
「負荷はこちら側か……」
政務官はそう言った。
fin