青春白書
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目覚めの良い朝は、なんて気分がいいんだろう。清々しくて「あぁ、なんだか今日はいい日になりそう」だなんて思ったりして
春休みを終えて、ついに4月
今日は新入生の記念すべき入学の日でもある
「私も、ついに2年生かぁ…」
ようやく実感がわいてきた
カシャリ、とブラインドを開けてみれば晴れているのに周りには雲もあって中途半端な天気だった。ふと枕元に置いていた携帯のバイブ音がなった。手にとってディスプレイ画面を見ればそこには「雪村君」の文字が出た。
ちゃんと昨日は比較的早く寝たはずだから、説教を受けることはないだろう。そう信じて通話ボタンを押した
「もしゃもしゃもやしです、雪村君」
『……は、もやし?おい、まだ寝ぼけてるんじゃないか?』
「──これでもボケたんですが」
『つまり寝ぼけてるんだな』
「違います、我ながら面白いかな、と……」
『は?』
人がせっかく、ボケてみたのに「は?」は無いんじゃないかな
もしもしともやしをかけてもしゃもしゃと言う、………我ながら地味だ
『……アンタがボケると面白くない』
「地味に傷つきました。それ」
『本当のことだろ』
「つか、地味になのか」と笑う幼馴染のモーニングコールはとっても単純なもので、もう習慣になってしまったのだ
ピ、と通話終了ボタンを押して一息つく
北海道にいる彼は、小さいころに何もできなかった私に“サッカー”を教えてくれた。私でもできることがあるんだと、教えてくれたんだ
──そしてサッカー部の皆に出会えた
改めて思うと、そうとう自分は雪村君を含め、2軍の皆が大好きなんだなぁと思い、にやける。そんな記憶を思い出しながら、制服に着替えて玄関を出た。
「(第二グランド、でしたよね。確か)」
向かう足を速めた
******
「なに、これ」
目の前に広がる第二グランドには一乃達を含めるサッカー部がいた。彼らは何かを見ていた。視線をたどってみると、そこには二人の少年がいた
全体的に黒い少年と、少年とが向き合っていて。サッカーボールをコントロールする黒い少年の前に遊ばれている茶色の少年──楽しそうとはいえない雰囲気だった
なにか、おかしい。
走っていた足が止まる
ドカッと爆発音見たいな音がして、ギョッとしていると第二グランドに砂煙が立ち込め始めた。砂煙が晴れると、そこには地面に倒れている、学ランの少年と目があった
「──君危ない!!」
「へ、?」
──あれ、なんかこっちに向かってなにか飛んできてませんか?うん、気のせいじゃないです。
私の目が可笑しいわけじゃないみたいですね。目の前にすごくギュルギュルと回転してるボールだった。
「ッ!」
気がつけば反射的にそのボールを蹴り返していた。
「あのボールを!?……すごい!」
「(誰だ、あいつ)」
もともとの威力が強いから、ボールの威力は更に増して第二グランドへ戻っていった。学ランを着崩した男の子はそのボールを自分の足で受け止めると、そのまま地面に叩きつけた
しん、と静まり返る第二グランド。坂の下から睨み返してくる少年に、私はゾッとした。少年の目があまりにも、探って来るような警戒心が込められた目だったのだ。あまりの居心地の悪さに、その視線から逃げるように周りを見渡した。視界には見知った顔があった
「監督に……春奈先生まで、」
唖然として、フィールドにいる一乃達を見る。2軍の全員が負傷しているらしく、白いユニホームは土が付き、汚れてしまっていた
ザァァと坂を滑り下りて、少年たちの前に行く
「はッ、みなさん、一体何が……」
「ゆうび後ろ!」
「え──」
「おい」
ドクン
息が止まった
ザッと背後から聞こえた声に、振り返る勇気はなく。代わりに舌打ちが返ってきた。
「何モンだ、お前」
「──あ、ぅ」
「答えろ」
──答えなきゃ。
頭でわかっていても声が出なかった。そんな私を察してか、わらびの少年は鼻で笑い、サッカーボールを拾った。攻撃される、と反射的に構えると一乃が声を張り上げた
「ッこいつは関係ない……!」
驚いて一乃君を見れば、一乃は必死に相手に威嚇をしているようだった
その様子を見たわらび少年がまた鼻で笑う
「……ハッ、なんだ戦力にもならない選手か」
「──!!」
「一乃落ち着け!!」
"戦力にもならない選手"
その言葉を耳にして、動けなくなった
「お前らも大変だな?たかが一人のために……。ああ、お前らも戦力外なのか。新入生一人に倒されるなんてよ」
「くっ……!」
「本当に存在価値なんてねぇよなぁ」
悔しそうに、本当に悔しそうに拳を作る一乃君。私のせいで、私のせいで彼らがけなされた
"価値なんてない?"そんなことないのに
「ふざ、けないで……」
「あ?」
「!よせゆうび!!ッ、そいつは、強い!」
「何の目的で、こんなことをするんですか」
「ゆうびちゃん……」
「フン、」
「価値がないなんいて、言わないでください」
壊される──この少年に、全部壊されてしまう気がしてならなかった。
「皆のことを、バカにするな……!!」
「……そういうのマジうぜぇんだよ」
心底嫌そうな顔をして、足元にあったボールを蹴る体制に入るわらび少年
「えぇ!?」
隣にいたもう一人の少年が声を上げて、動けずにいた
「ちょっと!話が違うじゃない!!」
春奈先生の訴えにそんなの聴く耳を持たずで、わらび少年は勢いよくボールを蹴った。敵意むき出しのボールの軌道は当然のごとく、私と茶色の少年に向かっていた
とっさに茶色の少年をかばうように前に出たが──
どこからかボールが飛んできて、そのボールの軌道を変えた
「「ッ──!!」」
私と茶色の少年の顔のぎりぎりを、風を切りながら飛んでいく
間一髪。まさにこれだ。あまりのことに、咄嗟に私と少年は抱き合った。
「危ないじゃないですか…!」
「び、びっくりした……!!」
「お前たち!サッカー部の神聖なグランドで何を騒いでいる!」
目の前の少年の蹴りの威力に驚いている暇もなく、坂の上から声が降ってくる
そろり、と視線を動かすと、そこには我らがキャプテン。1軍のキャプテンである神童さんがいた
「あの人は……」
「神童さん、」
「え、」
「ふん、やっとお出ましか」
ピンチに駆けつけてくれたのは、1軍のみなさんだった
fin.
(──なんであいつら抱き合ってんだ)
(知らね)
春休みを終えて、ついに4月
今日は新入生の記念すべき入学の日でもある
「私も、ついに2年生かぁ…」
ようやく実感がわいてきた
カシャリ、とブラインドを開けてみれば晴れているのに周りには雲もあって中途半端な天気だった。ふと枕元に置いていた携帯のバイブ音がなった。手にとってディスプレイ画面を見ればそこには「雪村君」の文字が出た。
ちゃんと昨日は比較的早く寝たはずだから、説教を受けることはないだろう。そう信じて通話ボタンを押した
「もしゃもしゃもやしです、雪村君」
『……は、もやし?おい、まだ寝ぼけてるんじゃないか?』
「──これでもボケたんですが」
『つまり寝ぼけてるんだな』
「違います、我ながら面白いかな、と……」
『は?』
人がせっかく、ボケてみたのに「は?」は無いんじゃないかな
もしもしともやしをかけてもしゃもしゃと言う、………我ながら地味だ
『……アンタがボケると面白くない』
「地味に傷つきました。それ」
『本当のことだろ』
「つか、地味になのか」と笑う幼馴染のモーニングコールはとっても単純なもので、もう習慣になってしまったのだ
ピ、と通話終了ボタンを押して一息つく
北海道にいる彼は、小さいころに何もできなかった私に“サッカー”を教えてくれた。私でもできることがあるんだと、教えてくれたんだ
──そしてサッカー部の皆に出会えた
改めて思うと、そうとう自分は雪村君を含め、2軍の皆が大好きなんだなぁと思い、にやける。そんな記憶を思い出しながら、制服に着替えて玄関を出た。
「(第二グランド、でしたよね。確か)」
向かう足を速めた
******
「なに、これ」
目の前に広がる第二グランドには一乃達を含めるサッカー部がいた。彼らは何かを見ていた。視線をたどってみると、そこには二人の少年がいた
全体的に黒い少年と、少年とが向き合っていて。サッカーボールをコントロールする黒い少年の前に遊ばれている茶色の少年──楽しそうとはいえない雰囲気だった
なにか、おかしい。
走っていた足が止まる
ドカッと爆発音見たいな音がして、ギョッとしていると第二グランドに砂煙が立ち込め始めた。砂煙が晴れると、そこには地面に倒れている、学ランの少年と目があった
「──君危ない!!」
「へ、?」
──あれ、なんかこっちに向かってなにか飛んできてませんか?うん、気のせいじゃないです。
私の目が可笑しいわけじゃないみたいですね。目の前にすごくギュルギュルと回転してるボールだった。
「ッ!」
気がつけば反射的にそのボールを蹴り返していた。
「あのボールを!?……すごい!」
「(誰だ、あいつ)」
もともとの威力が強いから、ボールの威力は更に増して第二グランドへ戻っていった。学ランを着崩した男の子はそのボールを自分の足で受け止めると、そのまま地面に叩きつけた
しん、と静まり返る第二グランド。坂の下から睨み返してくる少年に、私はゾッとした。少年の目があまりにも、探って来るような警戒心が込められた目だったのだ。あまりの居心地の悪さに、その視線から逃げるように周りを見渡した。視界には見知った顔があった
「監督に……春奈先生まで、」
唖然として、フィールドにいる一乃達を見る。2軍の全員が負傷しているらしく、白いユニホームは土が付き、汚れてしまっていた
ザァァと坂を滑り下りて、少年たちの前に行く
「はッ、みなさん、一体何が……」
「ゆうび後ろ!」
「え──」
「おい」
ドクン
息が止まった
ザッと背後から聞こえた声に、振り返る勇気はなく。代わりに舌打ちが返ってきた。
「何モンだ、お前」
「──あ、ぅ」
「答えろ」
──答えなきゃ。
頭でわかっていても声が出なかった。そんな私を察してか、わらびの少年は鼻で笑い、サッカーボールを拾った。攻撃される、と反射的に構えると一乃が声を張り上げた
「ッこいつは関係ない……!」
驚いて一乃君を見れば、一乃は必死に相手に威嚇をしているようだった
その様子を見たわらび少年がまた鼻で笑う
「……ハッ、なんだ戦力にもならない選手か」
「──!!」
「一乃落ち着け!!」
"戦力にもならない選手"
その言葉を耳にして、動けなくなった
「お前らも大変だな?たかが一人のために……。ああ、お前らも戦力外なのか。新入生一人に倒されるなんてよ」
「くっ……!」
「本当に存在価値なんてねぇよなぁ」
悔しそうに、本当に悔しそうに拳を作る一乃君。私のせいで、私のせいで彼らがけなされた
"価値なんてない?"そんなことないのに
「ふざ、けないで……」
「あ?」
「!よせゆうび!!ッ、そいつは、強い!」
「何の目的で、こんなことをするんですか」
「ゆうびちゃん……」
「フン、」
「価値がないなんいて、言わないでください」
壊される──この少年に、全部壊されてしまう気がしてならなかった。
「皆のことを、バカにするな……!!」
「……そういうのマジうぜぇんだよ」
心底嫌そうな顔をして、足元にあったボールを蹴る体制に入るわらび少年
「えぇ!?」
隣にいたもう一人の少年が声を上げて、動けずにいた
「ちょっと!話が違うじゃない!!」
春奈先生の訴えにそんなの聴く耳を持たずで、わらび少年は勢いよくボールを蹴った。敵意むき出しのボールの軌道は当然のごとく、私と茶色の少年に向かっていた
とっさに茶色の少年をかばうように前に出たが──
どこからかボールが飛んできて、そのボールの軌道を変えた
「「ッ──!!」」
私と茶色の少年の顔のぎりぎりを、風を切りながら飛んでいく
間一髪。まさにこれだ。あまりのことに、咄嗟に私と少年は抱き合った。
「危ないじゃないですか…!」
「び、びっくりした……!!」
「お前たち!サッカー部の神聖なグランドで何を騒いでいる!」
目の前の少年の蹴りの威力に驚いている暇もなく、坂の上から声が降ってくる
そろり、と視線を動かすと、そこには我らがキャプテン。1軍のキャプテンである神童さんがいた
「あの人は……」
「神童さん、」
「え、」
「ふん、やっとお出ましか」
ピンチに駆けつけてくれたのは、1軍のみなさんだった
fin.
(──なんであいつら抱き合ってんだ)
(知らね)