青春白書
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動く廊下を使用しながら、長い道を移動中の私たち。学校にこんなにハイテクな廊下があるところなんてひとつだ。……そう私たちはまた帝国学園へお邪魔していた
円堂監督がとある扉の前まで行くと、パシュンッと機械音とともに、扉が開いた。そして中から顔を出したのは……眼帯の人と、
「雅野君」
「どうも、昨日ぶりですね」
バチリと視線が合うと、彼はにこりときれいな笑みを浮かべてくれた。つられて、私も笑う。昨日の敵だったというのに、もうギスギスした雰囲気はない
「……あいつ、雅野と知り合いだったのか」
「さ、さぁ?」
「ちゅーか、何気に人脈広いよね~。ゆうびって」
「皆には話しておきたいことがある」
「?」
「あのあと、帝国の鬼道と話をしたんだ。ゆうびが上げた4人が結果的にシードだった」
一度ざわめぎが起こるが、時期に静かになった。実は、あの試合で違和感を感じた4人が全員シードだったのだ。しかも、帝国の監督は彼らを炙り出すために、雷門との試合をしていたらしい……よくわからない
「!」
ぽんっと肩におかれた手に、びくりと肩がはねる。不思議そうに顔を上げれば、円堂監督はニカッと笑う
「そうか、君が色羽君か」
「!」
雅野君ではない、眼帯をした男性が声をかけてくる。意外すぎて目を開いたまま、彼を見上げる
「雅野から話は聞いているよ。話は後程しよう。……さて、ここからは他言無用だ」
そう言って、眼帯の人はみんなの方を見てどこかへと私たちを案内した。……美人さんが笑うと絵になるなぁ
23."ジョーカー"
帝国学園の地下へ移動している途中で、彼らは"レジスタンス"の存在を露わにした。つまり、フィフスセクターへの反乱軍ということだ。反乱軍……つまり、今のフィフスセクターへ革命を起こす組織だそうだ
エレベーターの扉が開き、私たちを出迎えてくれたのは
「久遠監督!!」
「!」
「久しぶりだな」
「監督!?」
「じゃ、じゃあレジスタンスの中心人物って……」
忘れるわけがない、あの久遠監督だった。話の流れから行けば、彼がレジスタンスの中心人物……だと思われたがそうではないらしい
天馬と西園君が監督に声をかけられて、嬉しそうに笑っている。そのほのぼのとした雰囲気に、私の口元も緩んだ
「……それからゆうび。特訓を続けているそうだな」
「ッ!」
ドキリ、と心臓が飛び跳ねる
そしてみんなも動きを止めた。久遠監督はしっていたのだ、あの河川敷の特訓を。そして、必殺技が完成体に近づいていることを
しんっ…とした静寂がその場に流れた
なんて苦しい状況だろうか。訳が分からない。なら、なんで試合に出してくれないのだ、と言いたげな雰囲気だ
今にも倉間がとびかかりそうなほど、久遠監督に睨んでいる。それを速水君が必死で止めていた
ピリッとした雰囲気の中、神童さんが一歩前に出た。一斉に視線が神童さんへ集まる。隣には霧野さんがいた
「監督」
「なんだ」
「質問してもいいですか」
「ああ」
「……どうしてゆうびを試合に出さないんですか」
「!」
「ほ、本当に聞きやがった!」
「い、命知らずだド!」
衝撃がイレブンに走った
「その質問、俺が答えてもいいですか」
「………」
その言葉を聞いて、円堂監督は久遠監督を見る。久遠監督はしばらく黙っていたが、溜息を吐くと、無言でうなずいた。円堂監督も、それを見て頷き、こちらを見据えた
「ゆうびは……"ジョーカー"だからだ」
そこにいた大人が、なんだか懐かしそうに遠くを見つめていたが、言われた本人たちは唖然としていた。………どういう意味だろう
そんな時だ。ぱしゅんっとタイミングよく、久遠監督の後ろにそびえていた扉があいた。薄暗い一室が浮かび上がってくる
「!響木監督」
レジスタンスの中心人物、響木正剛がそこに座っていた
彼だけではなく、ほかに3人ほど。その中には帝国の総帥こと、鬼道もいた
彼らからレジスタンスの目的と、今後雷門イレブンは勝ち続けなければいけないことを聞かされる。難しいことはよくわからないが、とにかくいつものように全力でプレーをしていればいいようだ
「雷門には勝ち続けてもらわなければならない。……そのために、色羽 ゆうびの力が必要なんだ」
「……」
「神童、そう睨むな」
「ッ、」
「……神童、少し話をしようか」
「円堂監督……」
円堂監督が、眼帯の人にアイコンタクトをとると、眼帯の人は雅野とゆうびと、そして鬼道を連れて、少し離れたところへ行った
********
「君の監督から聞いたが、前半終了の時点でシードに気が付いたというのは本当なのか?」
「え、あ……はい」
「ふむ、その理由を聞いても?」
「………」
理由、と少し考えて、言葉をつなぐ
「この試合の勝敗指示はありませんでした。雷門も勝つつもりで、彼らに挑んでました。でも……」
「!」
「4人だけが、攻められるたびに焦っていたような感じが、したからです」
確信はなかったんですけどね、と付け加えて笑えば、眼帯の人はひどく驚いたようで、絶句していた。それは総帥さんにも言えたことらしく、よく顔は見えないが口が少しあいていた。……この人が、雅野君の言っていた総帥、
「ね、コーチ。言った通りでしょう?」
「あ、ああ……。まさかここまでとは、」
「?」
「ああ。ゆうびサン、さっきのことは気にしないでください。彼らは、ゆうびサンの努力を認めてくれたんですよ!」
ぽんぽんと話が続いていく彼らに、一瞬頭の整理が追い付かなくなる。雅野君は先ほどの殺伐とした雰囲気だったときのことをフォローしてくれているのだとわかる。……相変わらず優しい、雅野君
「"ジョーカー"、か」
「総帥?」
「いや、なに。少し昔を思い出しただけだ。……すまないな、もう少しだけ耐えてくれ」
「……、」
もう少し、か。
無意識に下がっていく視線を、上げる気にはならずそのまま地面を見つめていた。ゴミひとつない、きれいな床を、見つめていた
fin