青春白書
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「よし、ディフェンス!」
「「はいっ」」
「そこ!遠慮するな!!切り込め!」
「「おうっ」」
「いいぞ!FW、そこでシュートだ!」
お早うございます、こんにちはこんばんは。色羽 ゆうびです
今日もいい天気ですね。なんて言いたくなるような日差しの下で私たちは今日も試合形式で互いのフォーメーションを確認しています
指示を出しているのは一乃七助くん。一乃君は次期キャプテンに抜擢されました。一年生だというのに、そのプレーを認められたんです
ゲームメイクをしている一乃君は、本当にかっこいいです。迷いがなく、まっすぐで。みんなのプレーを把握してなければならないフィールドの中で、間違った指示は出さない
本当にすごい人です
え、何のことだって?
ああ、すみません。私たちはサッカー部なんです
01.2軍ですが何か?
今現在はホーリーロードといわれるものが終わり、今日もレベルアップの為私たち2軍はグランドで走り回っていた。とはいってもホーリーロードに参加していたのは1軍のみんなだ。私たちは出ていない。しかし、応援席にぐらいは顔をだした
雷門イレブンが名を上げたのは、もう10年も前のこと──最初は弱小だった雷門はある日を境に力をつけて行った
そしてその年のFFは優勝し、日本一に。そしてその後に行われたFFI(フットボールフロンティアインターナショナル)でも、雷門中出身の選手が何人か選抜され、見事優勝した。
そしてサッカーが与えた影響はものすごく、いつの日かサッカーの強さが人の価値を決める時代ができて行った。
「一旦休憩をはさむか……」
「「「はいっ」」」
サッカー部へは入部希望の人数が多かったから、レベル分けテストをして1軍と2軍に分かれた。一緒に入った人たちが1軍へ行ってしまったときは悔しく、また羨ましかった。
私たちは2軍だ。1軍にはまだまだレベルが足りないのである。それでも、サッカーが好きだから、サッカーを続けた人がいる、そんな2軍だ。仲間おもいで、一緒に撮った写真をみんなは大事そうに持っている。レベルは違えど、何度か一緒にプレーをした仲間には変わりない
休憩をはさみ、マネージャーからタオルやドリンクをもらう。皆が輪になって呼吸を整えているときに、チームメイトのであり、クラスメイトの青山君が声をかけてきた
「ゆうび、練習中に一乃のこと見すぎ」
こそっと耳打ちするものだから何事かと思えば、そんなことだった
「見すぎ……、ゲームメイカーの姿を確認してただけですよ?」
「……無意識って、はぁ」
「何言ってんだ。いつもの事だろ、青山」
「もう慣れたけどさぁ……」
「俺も少し気になった」
「やっぱ向坂も?」
「みなさんそろって……なんですか?」
「何でもねーよ」
「わ、」
「ったく、一年は若いな。やっぱ」
2軍の皆は、青山を憐れむように頷く。そして3年の先輩はわしゃわしゃとゆうびの頭を撫でる。ちなみに一乃はいまコーチに呼ばれたからいない
「あれで一乃も気が付かないって……」
「いや一乃は気づいてるよ」
「は」
「──本当かよ向坂!」
「休憩は終わりだ。練習に戻れ」
「「「!!」」」
ドッキーンと心臓が鷲掴みされたような緊張が走った。てっきり一乃が戻ってきたのかと思いきや、まさかの久遠監督だったのだ
無駄に驚いてしまったみんなは心臓を押さえながら練習に戻った
「まさか久遠監督がいるってことは……」
「ッ俺ら昇格できるかもしれないのか!」
「やべっ緊張してきた……!」
まだフィフスセクターの監視サッカーに気が付いていなかった時期。みんながサッカーに夢中になり、2軍のメンバーは1軍に上がることを目標にして、頑張っていた
──青山君や、一乃君。そして私が一年生の時のお話
そしてその時はついに訪れた
「なっ、勝敗指示!?」
「そんな……、こんなのって……!」
今でも鮮明に覚えています。みんなの絶望した顔、萎えてしまった顔が
初めて目にした、勝敗指示が出された試合。フィフスセクターからの、管理サッカーを知らなかった私たちは、その日、試合で全力を出すことなく"負け"を指示された1軍の先輩たちを目にした
管理サッカーの根は強く、強く。南沢さんや車田先輩、天城先輩、三国さんは「仕方ない」という顔をしていた
その日は、雨が降っていました
雨に打ちひしがれる彼らの顔は……それはそれは絶望した顔でした
(それでも、練習中はみんな楽しそうだった。でも試合中は……別人だった)
2軍の3年生だった先輩が卒業し、春休みが訪れる
「春奈先生、DVDありがとうございました」
「え、もういいの?」
「はいっ」
「……そう、また見たかったら言ってね」
「じゃあ次の試合のお願いしたいです。あ、あとできれば土門さんが出てる試合が……」
「え、土門さん、?」
「はい」
「……わかったわ」
フィフスセクターの、管理サッカーがあっても、私たちは自分たちのサッカーを楽しんでいた
練習だけは、自由だった
試合には一軍が出る。二軍は、フィフスセクターの視界にすら入っていなかったのだ─だから私はこのまま、一生2軍のままでいい。と、心のどこかで思っていた。
そうして、一軍に昇格できた二人が二軍から抜け……月日は流れた。
fin.
(明日は入学式だな)
(はは、もう一年たつのか)