トリップ/友情より/アニメ沿い/オリジナル/落ち未定
1期連載
名前変換
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だれもが一度は夢を見て、妄想した経験があるだろう。もしも、もしもこの世界に自分の好きな世界があって、そこに関わることができたらって。ふとした隙間時間に、自分だけの世界に入る。その瞬間がとても愛おしかった。
どこまでも続く青い空を背景に、浮かぶ白い雲たちが風に吹かれて流れていく。そんないつもの風景を横目に、ふとこんなことを考えていた。
空はなんで青いんだろうって。なんで雲に乗れないんだろうって。
"翼が欲しい"って歌があったけど私も欲しいよ。
「っなんでだよ畜生ぉぉぉぉお!!」
なんでこうなった。
可笑しいな。身投げした覚えなんて一塵もないのに、気が付いたら自分は青空の中を勢いよく落ちているではないか。
敢えてもう一度言おう。なんでこうなっているのか?自分でもよく分からず混乱していた。予期せぬ形で、何の心構えもなくものすごいスピードでスカイダイビングをしている私の頭は、もう真っ白である。
なんて非現実的経験でしょう!
視界の端で、過ぎ行く雲の中で雷がごろごろと音を立てている瞬間にぞっとしながらも、眠る直前に意識が落ちていくように、身体は重くて、下へ下へと落ちていった。
時間はそう、数分前に遡る。
落下中に自分は、ついさっきの出来事を走馬灯のように思い出していた──……。
そう、そうだ。今日は一週間の折り返し地点であり、最も一日が長く感じるような水曜日だった。だけど運よく今日は学校行事の振り替え午後休みと重なって、午前授業だった。
加えて今日は快晴。心地よい風に、晴れ晴れとした天気。午後に控えていた自分の苦手な教科もなかった。だが、午後からはあいにくの雨だと、天気予報のお姉さんが語っていたのを思い出す。タイミングまで完璧だ。
「今日はなんかいいことばっかだね!」と友達数人と笑い合っていた。
ちょうどお昼時。いつもならここで昼食を取り、午後の授業に備えるのだが、さっきも言ったように午前授業なので、クラスメイト達がそれぞれに席を立つ。
そのまま帰る人もいるし、仲良しのメンバーで雑談する人もいた。その中で私も友達と雑談をしていたのだ。そこで、私は職員室に用があるからといって、その友人たちと別れ、一人職員室に向かった。
部活の顧問と軽くお話をして、そして何事もなく、教室に戻ろうとしたんだ。そうだ。すべては、あの時。きゅっと上履きが音を立てて階段を上っていた。あと数段というところで、足を上げた時──
"苗字 名前"
「ん、?」
誰かに呼ばれたような気がして、思わず振り返る。
視線をずらしてしまったためか、上げた足が階段の段差を超えることなく、足場がなくなったような感覚がしたんだ。
その瞬間に「あ」と思った。
運悪く足を踏み外し、後ろに倒れていくのが分かった。まぁ、この高さから落ちたら痛いけど。怪我するの嫌だなぁ、だなんて思ってた、ん、だ…けど……。予想をしていた痛みは自分の体にはなかった。
「うげぇえ!?空気の抵抗すぅごぉぉお!!」
と。
そこまで考えて、今に至るわけだが。
声にならぬこの速度の恐怖と言えば、なんとする?まだ絶叫マシーンの方が耐えられるものだと自分で保証する。てかできる、するわ。
飛行機製造者をここまで尊敬する日がこようとは思いもしなかった。風の抵抗が強すぎて、息が苦しい。自分は何もできずに、大の字になって、ただただ落下していくだけ。
「なに、あれ……って、地面!?」
ふと、髪の毛が重力に逆らってオールバックの時に、ひゅぅっと風が切って。目を開けてみればそこに見えたのは町……
──と地面だった。
「しっ死ぬぅぅうう!!」
なんとか死ぬのだけは避けたいと、いろいろ体勢を変えてみたものの、きっと落下地点はあそこで決まりだろう。体は重力に従って落ちるだけだ。
これは、終わったな。自分の人生の終わりを感じて、瞼をゆっくりと閉じた。
ぎゅっと閉じた目は、何もかもを受け入れるかのように何も映さない。どこまでも真っ暗だった。脳裏では「こんなはずじゃなかったんだけどな、フラグ回収しちゃったじゃんばか」なんて思ってた。
あと少しであろう衝撃に耐えられるか、分からないがもう抵抗はしないさと、痛みを待つ……が、
「……?」
目を閉じたはいいとして、衝撃はいつになっても来ない。ぎゅうっと瞑った目からは何も分からず、状況を把握するために勇気を出して目を開けてみた。
そして飛び込んできたのは──
「……、うわ」
丸くて大きな夕日が差し込む川と、サッカー用のゴールが設備されたフィールド。それらを全て見下ろすことができる橋の上に自分は立っていた。
「綺麗だけど……ここどこなのさ」
ぱちくりと目を何度かさせてから、再び周りを見渡してみる。見知らぬ風景に、頭が追いつかない。自分はさっきまで学校にいたはずなのだが。そして足滑らせて落ちただけなのだが。
「……。ははぁん、気絶したのね私」
私の推測はこうだ。あの時私は足を滑らせて、階段から落ち、頭を打ったのではいか。あまり想像はしたくないが、その衝撃で意識を失っている。そう、この現実離れした状況はわたしの意識で、意識だけが外に飛び出ているのだと。
「ん、思うように動かせる」
足に力を入れて歩けるのを確認し、腕も問題なく動くことも確認した。そうして橋の手摺のようなものに手をかけて下を見る。
夢だったら、地面に打ち付けられる寸前で夢から覚めるはずだ。
「目覚めろ私!」
バッと両手を空に向けてあげてそう叫び、足で思いっきり手摺を蹴れば──
「──危ない!!」
「!?」
そのまま下に落ちるはずの体が、ぐんっと後ろに引っ張られた。もちろん体を体重に委ねていたわけだから、抗う術もなく引っ張られた方向へ倒れ込む。
どさどさどさっと何かが重なる音とともに、自分の体が地面に倒れこむ。鈍い痛みがジンジンと訴えてきた。
え、痛い?
「お前っ!」
「うぎ!?」
瞬間にガッと肩を掴まれて、思わず変な声がでた。誰だと認識する前に、肩を揺らされて視界がぶれる。
「何やってんだよお前!!何があったかは知らないけど、今死んじゃったら勿体ないだろ!?考え直せよ!なぁ!」
「(え、死ぬの私!?)」
視界全体が眩暈を起こした時のようにぐわんぐわんと回る。そろそろ吐き気が……
がっくがっく揺さぶられていたのが止まった。
「うっぷ、」
「おいっ、大丈夫か!」
ようやく解放されたと思いつつ、視界を慣らそうとして息を整える。なんか、非常に疲れたよわたし。
「はー、はーッ」
「こんなに顔青くして……やっぱり死にたくなかったんじゃないか!!」
「私最初から死ぬつもりなんて──っていうか八割君のせい!!」
肩に置かれてる腕をぶんっとはらい、ギッと人物を睨みつけた。しかし一方で、腕を振り払われた人物は、もう一度肩に手を乗せた。そしてニカリと眩しいほどの笑顔を見せる。
「なんだ、ちゃんと元気じゃないか」
「え、……?」
「君、名前は?」
「……苗字 名前、」
「そうか!苗字!!」
「よろしくな!」とまぶしいほどの笑顔を私に見せてくれる少年に、私はただただ混乱していた。ぱくぱくと金魚のように口を開閉させている私を余所に、名前を聞いてきた人物は復唱し、再びその笑顔を見せる。
あ、ほら。やっぱり。
この少年の、この笑顔。私には見覚えがある。
「どうしたんだよ、急に大人しくなって」
「え、あ、」
首をかしげる仕草に、髪型の一部であるひょいっとでた髪が動く。ずいっと顔を近づけてくる人物に、私はひどく混乱した。
だって、この人は──。
まずは心を落ちつかせようではないか、と自分に言い聞かせて、もう一度目の前にいる人物の一つ一つを見て行く。
「大分落ち着いてきたな。気分はどうだ、苗字」
とにかく髪型が特徴的で。特に頭の左右に生えている二つの毛たちとか。
「な、んとか。その、ありがとう……?」
「よかった!それにこんなの、どうってことないさ!俺の方こそ間に合ってよかったよ」
くりっとした丸い瞳に、元気なのが窺える眉毛。明るい、元気がわきそうな声。
(ま、まさか──)
極めつけの、オレンジ色のバンダナ。
そして、左肩にあるイナズマ模様の学ランに、横に置かれた白と黒の模様があるボール。
「なんだよそんなにジロジロ見て……あ、そっか!」
「俺まだ名乗ってなかったっけな!」と言いながら、彼は横に置いていたボールを手に取り、こちらを向く。
「俺、円堂守!」
ニカッと歯を見せて笑う、眩しい笑顔。
「苗字っ!サッカーやろうぜ!!」
このセリフ。
突き出されたサッカーボールがとんっと胸に押し付けられたのを最後に、頭の中がぐるぐる渦巻いて──……
「えっ、苗字!?おいっ、……おい!!」
意識がブチリと音を立てて途切れた。どうやら私の頭ではキャパシティオーバーのようだ。無理だ。処理しきれない。だってそんなこと。そんなばかな。ばななだばなな。そんなばなな。とにかく私は冷静ではいられなかったし、正気じゃなかった。
自分の好きなアニメの世界に飛んでしまったーー?なんて考えるなんて、どうかしている。
でも、でもあの少年本人が自分のことを“円堂守”だと思いっきり名乗った時点で、もう否定できないじゃんと思いながら。思考回路はショート寸前っていう曲もあったなぁなんて。
そんなことを考えて現実逃避をした私でした。
fin
(ら、雷雷軒のおじさんっ!この子助けてやってくださいっ!!今日に限って、かぁちゃん出かけてていなくって……!)
どこまでも続く青い空を背景に、浮かぶ白い雲たちが風に吹かれて流れていく。そんないつもの風景を横目に、ふとこんなことを考えていた。
空はなんで青いんだろうって。なんで雲に乗れないんだろうって。
"翼が欲しい"って歌があったけど私も欲しいよ。
「っなんでだよ畜生ぉぉぉぉお!!」
なんでこうなった。
可笑しいな。身投げした覚えなんて一塵もないのに、気が付いたら自分は青空の中を勢いよく落ちているではないか。
敢えてもう一度言おう。なんでこうなっているのか?自分でもよく分からず混乱していた。予期せぬ形で、何の心構えもなくものすごいスピードでスカイダイビングをしている私の頭は、もう真っ白である。
なんて非現実的経験でしょう!
視界の端で、過ぎ行く雲の中で雷がごろごろと音を立てている瞬間にぞっとしながらも、眠る直前に意識が落ちていくように、身体は重くて、下へ下へと落ちていった。
時間はそう、数分前に遡る。
落下中に自分は、ついさっきの出来事を走馬灯のように思い出していた──……。
そう、そうだ。今日は一週間の折り返し地点であり、最も一日が長く感じるような水曜日だった。だけど運よく今日は学校行事の振り替え午後休みと重なって、午前授業だった。
加えて今日は快晴。心地よい風に、晴れ晴れとした天気。午後に控えていた自分の苦手な教科もなかった。だが、午後からはあいにくの雨だと、天気予報のお姉さんが語っていたのを思い出す。タイミングまで完璧だ。
「今日はなんかいいことばっかだね!」と友達数人と笑い合っていた。
ちょうどお昼時。いつもならここで昼食を取り、午後の授業に備えるのだが、さっきも言ったように午前授業なので、クラスメイト達がそれぞれに席を立つ。
そのまま帰る人もいるし、仲良しのメンバーで雑談する人もいた。その中で私も友達と雑談をしていたのだ。そこで、私は職員室に用があるからといって、その友人たちと別れ、一人職員室に向かった。
部活の顧問と軽くお話をして、そして何事もなく、教室に戻ろうとしたんだ。そうだ。すべては、あの時。きゅっと上履きが音を立てて階段を上っていた。あと数段というところで、足を上げた時──
"苗字 名前"
「ん、?」
誰かに呼ばれたような気がして、思わず振り返る。
視線をずらしてしまったためか、上げた足が階段の段差を超えることなく、足場がなくなったような感覚がしたんだ。
その瞬間に「あ」と思った。
運悪く足を踏み外し、後ろに倒れていくのが分かった。まぁ、この高さから落ちたら痛いけど。怪我するの嫌だなぁ、だなんて思ってた、ん、だ…けど……。予想をしていた痛みは自分の体にはなかった。
「うげぇえ!?空気の抵抗すぅごぉぉお!!」
と。
そこまで考えて、今に至るわけだが。
声にならぬこの速度の恐怖と言えば、なんとする?まだ絶叫マシーンの方が耐えられるものだと自分で保証する。てかできる、するわ。
飛行機製造者をここまで尊敬する日がこようとは思いもしなかった。風の抵抗が強すぎて、息が苦しい。自分は何もできずに、大の字になって、ただただ落下していくだけ。
「なに、あれ……って、地面!?」
ふと、髪の毛が重力に逆らってオールバックの時に、ひゅぅっと風が切って。目を開けてみればそこに見えたのは町……
──と地面だった。
「しっ死ぬぅぅうう!!」
なんとか死ぬのだけは避けたいと、いろいろ体勢を変えてみたものの、きっと落下地点はあそこで決まりだろう。体は重力に従って落ちるだけだ。
これは、終わったな。自分の人生の終わりを感じて、瞼をゆっくりと閉じた。
ぎゅっと閉じた目は、何もかもを受け入れるかのように何も映さない。どこまでも真っ暗だった。脳裏では「こんなはずじゃなかったんだけどな、フラグ回収しちゃったじゃんばか」なんて思ってた。
あと少しであろう衝撃に耐えられるか、分からないがもう抵抗はしないさと、痛みを待つ……が、
「……?」
目を閉じたはいいとして、衝撃はいつになっても来ない。ぎゅうっと瞑った目からは何も分からず、状況を把握するために勇気を出して目を開けてみた。
そして飛び込んできたのは──
「……、うわ」
丸くて大きな夕日が差し込む川と、サッカー用のゴールが設備されたフィールド。それらを全て見下ろすことができる橋の上に自分は立っていた。
「綺麗だけど……ここどこなのさ」
ぱちくりと目を何度かさせてから、再び周りを見渡してみる。見知らぬ風景に、頭が追いつかない。自分はさっきまで学校にいたはずなのだが。そして足滑らせて落ちただけなのだが。
「……。ははぁん、気絶したのね私」
私の推測はこうだ。あの時私は足を滑らせて、階段から落ち、頭を打ったのではいか。あまり想像はしたくないが、その衝撃で意識を失っている。そう、この現実離れした状況はわたしの意識で、意識だけが外に飛び出ているのだと。
「ん、思うように動かせる」
足に力を入れて歩けるのを確認し、腕も問題なく動くことも確認した。そうして橋の手摺のようなものに手をかけて下を見る。
夢だったら、地面に打ち付けられる寸前で夢から覚めるはずだ。
「目覚めろ私!」
バッと両手を空に向けてあげてそう叫び、足で思いっきり手摺を蹴れば──
「──危ない!!」
「!?」
そのまま下に落ちるはずの体が、ぐんっと後ろに引っ張られた。もちろん体を体重に委ねていたわけだから、抗う術もなく引っ張られた方向へ倒れ込む。
どさどさどさっと何かが重なる音とともに、自分の体が地面に倒れこむ。鈍い痛みがジンジンと訴えてきた。
え、痛い?
「お前っ!」
「うぎ!?」
瞬間にガッと肩を掴まれて、思わず変な声がでた。誰だと認識する前に、肩を揺らされて視界がぶれる。
「何やってんだよお前!!何があったかは知らないけど、今死んじゃったら勿体ないだろ!?考え直せよ!なぁ!」
「(え、死ぬの私!?)」
視界全体が眩暈を起こした時のようにぐわんぐわんと回る。そろそろ吐き気が……
がっくがっく揺さぶられていたのが止まった。
「うっぷ、」
「おいっ、大丈夫か!」
ようやく解放されたと思いつつ、視界を慣らそうとして息を整える。なんか、非常に疲れたよわたし。
「はー、はーッ」
「こんなに顔青くして……やっぱり死にたくなかったんじゃないか!!」
「私最初から死ぬつもりなんて──っていうか八割君のせい!!」
肩に置かれてる腕をぶんっとはらい、ギッと人物を睨みつけた。しかし一方で、腕を振り払われた人物は、もう一度肩に手を乗せた。そしてニカリと眩しいほどの笑顔を見せる。
「なんだ、ちゃんと元気じゃないか」
「え、……?」
「君、名前は?」
「……苗字 名前、」
「そうか!苗字!!」
「よろしくな!」とまぶしいほどの笑顔を私に見せてくれる少年に、私はただただ混乱していた。ぱくぱくと金魚のように口を開閉させている私を余所に、名前を聞いてきた人物は復唱し、再びその笑顔を見せる。
あ、ほら。やっぱり。
この少年の、この笑顔。私には見覚えがある。
「どうしたんだよ、急に大人しくなって」
「え、あ、」
首をかしげる仕草に、髪型の一部であるひょいっとでた髪が動く。ずいっと顔を近づけてくる人物に、私はひどく混乱した。
だって、この人は──。
まずは心を落ちつかせようではないか、と自分に言い聞かせて、もう一度目の前にいる人物の一つ一つを見て行く。
「大分落ち着いてきたな。気分はどうだ、苗字」
とにかく髪型が特徴的で。特に頭の左右に生えている二つの毛たちとか。
「な、んとか。その、ありがとう……?」
「よかった!それにこんなの、どうってことないさ!俺の方こそ間に合ってよかったよ」
くりっとした丸い瞳に、元気なのが窺える眉毛。明るい、元気がわきそうな声。
(ま、まさか──)
極めつけの、オレンジ色のバンダナ。
そして、左肩にあるイナズマ模様の学ランに、横に置かれた白と黒の模様があるボール。
「なんだよそんなにジロジロ見て……あ、そっか!」
「俺まだ名乗ってなかったっけな!」と言いながら、彼は横に置いていたボールを手に取り、こちらを向く。
「俺、円堂守!」
ニカッと歯を見せて笑う、眩しい笑顔。
「苗字っ!サッカーやろうぜ!!」
このセリフ。
突き出されたサッカーボールがとんっと胸に押し付けられたのを最後に、頭の中がぐるぐる渦巻いて──……
「えっ、苗字!?おいっ、……おい!!」
意識がブチリと音を立てて途切れた。どうやら私の頭ではキャパシティオーバーのようだ。無理だ。処理しきれない。だってそんなこと。そんなばかな。ばななだばなな。そんなばなな。とにかく私は冷静ではいられなかったし、正気じゃなかった。
自分の好きなアニメの世界に飛んでしまったーー?なんて考えるなんて、どうかしている。
でも、でもあの少年本人が自分のことを“円堂守”だと思いっきり名乗った時点で、もう否定できないじゃんと思いながら。思考回路はショート寸前っていう曲もあったなぁなんて。
そんなことを考えて現実逃避をした私でした。
fin
(ら、雷雷軒のおじさんっ!この子助けてやってくださいっ!!今日に限って、かぁちゃん出かけてていなくって……!)