Twitterまとめ
その時マレウス・ドラコニアは、自身のお目付け役と共に移動教室で植物園の前を通っていた。
「マレウス、どうしたのじゃ」
「リリアすまない、先に行っててくれ。僕は少し用ができた」
突如足を止めたマレウスに首を傾げながらもリリアは声を掛けるが、相変わらず予測のつかない次期王はそう言い残すと制止の言葉を待たずに姿を消した。
暖かく降りそそぐ陽の光をいっぱいに受けて咲き誇る花々がそよそよと風に揺れる下で、地面に散らばる艶やかなブルネットもまた緩やかに靡いていた。
愛らしい獣の耳が時折ぴくぴくと動くだけで、褐色の体は規則正しい寝息のままに上下している。
「ふっ……良く寝ているなキングスカラー」
たん、と小さな靴音を鳴らして降り立ったマレウスは自分の片腕を枕にして横たわる男の名を呼ぶ。
しかしながら、呼ばれた当人であるレオナ・キングスカラーは心地良さげにすよすよ眠ったまま、返事の代わりに長い尻尾の先でぱたん、ぱたん、と地面を叩いた。
「それで返事をしているつもりなのか」
再びぱたん、と地を叩く尻尾。
主と同じく気概が皆無の尻尾に対し、片膝をついてレオナの隣に座り込んだマレウスは、この反応に半ば呆れつつも柔らかく笑う。
遠くに聞こえる授業開始のチャイムなど気にも留めず、そのまましばらくレオナの寝顔を眺めてから、長い睫毛に絡まる邪魔そうな前髪を避けてその褐色の額に軽く口付けを落とした。
「全く……昼寝も程々にしておけ」
余程深く寝入っているのか全く起きる気配の無いレオナにそう呟くとマレウスは立ち上がる。
彼の本来の目的地であった教室へ今更ながら向かおうと踏み出した、その足首にしゅるり、と絡まる細い尾。
「もう行っちまうのかよ」
低く甘い声が誘うように呼び止める。
髪色と同じ焦茶の睫毛を持ち上げてぱちりと開いた美しいペリドットの瞳が、振り返ったマレウスを捉えた。
「授業なんか出たって退屈だろ?たまにはお前も一緒にサボろうぜ」
ペリドットの瞳を細め口元に薄く笑みを浮かべたレオナは、尾を絡めたマレウスの足首を煽るようにくい、と引き寄せる。
「なるほど、それは悪くない提案だ」
世界の何よりも愛しい恋人からのあまりにも魅惑的な提案に、それを断るだけの理由も理性も残念ながら持ち合わせていなかったドラゴンは、踵を返すと手始めに薄く潤んだ唇に喰らいつくようなキスをした。
「マレウス、どうしたのじゃ」
「リリアすまない、先に行っててくれ。僕は少し用ができた」
突如足を止めたマレウスに首を傾げながらもリリアは声を掛けるが、相変わらず予測のつかない次期王はそう言い残すと制止の言葉を待たずに姿を消した。
暖かく降りそそぐ陽の光をいっぱいに受けて咲き誇る花々がそよそよと風に揺れる下で、地面に散らばる艶やかなブルネットもまた緩やかに靡いていた。
愛らしい獣の耳が時折ぴくぴくと動くだけで、褐色の体は規則正しい寝息のままに上下している。
「ふっ……良く寝ているなキングスカラー」
たん、と小さな靴音を鳴らして降り立ったマレウスは自分の片腕を枕にして横たわる男の名を呼ぶ。
しかしながら、呼ばれた当人であるレオナ・キングスカラーは心地良さげにすよすよ眠ったまま、返事の代わりに長い尻尾の先でぱたん、ぱたん、と地面を叩いた。
「それで返事をしているつもりなのか」
再びぱたん、と地を叩く尻尾。
主と同じく気概が皆無の尻尾に対し、片膝をついてレオナの隣に座り込んだマレウスは、この反応に半ば呆れつつも柔らかく笑う。
遠くに聞こえる授業開始のチャイムなど気にも留めず、そのまましばらくレオナの寝顔を眺めてから、長い睫毛に絡まる邪魔そうな前髪を避けてその褐色の額に軽く口付けを落とした。
「全く……昼寝も程々にしておけ」
余程深く寝入っているのか全く起きる気配の無いレオナにそう呟くとマレウスは立ち上がる。
彼の本来の目的地であった教室へ今更ながら向かおうと踏み出した、その足首にしゅるり、と絡まる細い尾。
「もう行っちまうのかよ」
低く甘い声が誘うように呼び止める。
髪色と同じ焦茶の睫毛を持ち上げてぱちりと開いた美しいペリドットの瞳が、振り返ったマレウスを捉えた。
「授業なんか出たって退屈だろ?たまにはお前も一緒にサボろうぜ」
ペリドットの瞳を細め口元に薄く笑みを浮かべたレオナは、尾を絡めたマレウスの足首を煽るようにくい、と引き寄せる。
「なるほど、それは悪くない提案だ」
世界の何よりも愛しい恋人からのあまりにも魅惑的な提案に、それを断るだけの理由も理性も残念ながら持ち合わせていなかったドラゴンは、踵を返すと手始めに薄く潤んだ唇に喰らいつくようなキスをした。
1/1ページ