現世クン美奈SSログ


ある日、美奈子が昔ばなしを始めてきた。

と言っても前世の話ではない。

戦士になりたてのセーラーV時代の話だ。

さも当然の様に話を進める美奈子だが、知らない俺は置いてきぼりを食らっていた。

「ちょっと待て!セーラーVって何だ?」

「あれ?知らなかったっけ?」

なんで知らないんだと言わんばかりの顔で話し続ける。

知らない方が悪いみたいじゃないか。

美奈子の話によれば、セーラーヴィーナスの前進でプリンセスを守るリーダーである彼女は責任感の強さゆえ、皆より早く戦士として目覚め、リーダーとして頼れるよう修行したいと前世のクイーンに頼んだそうだ。

その願いが形になったのがセーラーVだと言う。

戦闘服もヴィーナスの時のそれとはまた違うコスチュームで、前世の記憶もなくやっていたからそれはそれで楽しかったらしい。

ヴィーナスの姿しか知らない俺は、違うコスチュームで戦うセーラーVに不覚にも興味を覚えてしまい、勢いのあまり変な質問をしてしまった。

「どんな戦闘服だったんだ?」

「あら、興味持っちゃった感じ?写真とかは無いけど、ゲームやアニメにもなって同じコスチュームだから興味あるならゲームセンタークラウン行けばゲーム置いてあるわよ。勉強ばっかしてあんまり遊ばないから世間から置いてかれるのよ~」

見透かしたように色々アドバイスをくれた。

色々メディアミックス化されているくらい有名だったとは知らなかった。

美奈子がセーラーVとして活動していた時、勉強で忙しくしていたわけでは無かった。

ベリルに洗脳され、ダークキングダ厶の幹部として働かされていた。

だが、セーラーVとは関わり合いの無い管轄だった。

言い訳では無いが、知らなくて当然だ。

美奈子の言う通り気になってたのも事実で、癪だがゲーセンへ行って見てみる事にした。

せっかくなので実際にゲームをやってみた。

ゲームは中々上手く出来ていて、戦闘の勉強にもなり頭脳も鍛えられる仕組みに不覚にものめり込んでしまった。

ストーリー性もありセーラーVについてもよく知れた。

ただ、前世からの相棒である白猫のアイツも出てるのは若干気に食わないが…。

セーラーVはヴィーナスの前進だけあり、戦闘服の色は誰とも被らない濃紺で、招待を知られたくないのかマスクを付け、おまけにプリンセスと同じで額に三日月マークが浮かび上がっていた。

なるほど、仮の姿としてはこの上ない程完璧だな。

相変わらずのミニスカート姿なのはどうかと思うが…。

額の三日月マークに金髪と言う共通点、これでプリンセスの影武者を思い付いたんだな。

セーラーV、色々興味深い戦士だった。



おわり

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