A美奈SSログ


「a boy~ずっと忘れない~」

今でも時々思い出す。
セーラーVをやっていたあの時の事を。
あの時代があったからこそ今がある。
単純にそう思える。
たった一人、敵と戦っていたけど怖い物なんて無かった。
あの頃は使命や大切なもの、自分が何者であるかなんて分かってなくて。
前世なんてものも当然知らなくて。
それでもガムシャラに、楽しく戦っていた。
アイドルになりたいと言う夢、彼氏が欲しいと言う願望。
戦士をしながらでも叶えられるって信じてた。
だけど夢を全てなんて結局欲張りな事は無理なんだと憤りを感じて虚しくなった。

結局はセーラーVが楽しくて気づけば好きな人には振られ続けて彼氏は出来ず、アイドルの道も後一歩のところでおジャン。
戦う事に生き甲斐を感じてた。
ただただ楽しく戦っていた。
強くなっていくのを確かに感じていて、それが嬉しくて。
前世の記憶を蘇って、使命や大切な人たちの存在を思い出した事で、より一層戦士としてリーダーとしてみんなを引っ張って行かなきゃ行けなくて。
プリンセスを守る事が私にとってかけがえのない人生の生き甲斐で。
だけど、思えばずっと青春時代はずっと戦士として過ごしてきたから、不意にこれでいいのかって怖くなる事がある。
そんな時に思い出すのがAに言われたあの言葉。

「君の恋は永遠に叶うことは無い。恋か使命か、この究極の選択にもう頭を悩ます必要無く生きていけるんだぜ。戦い続けろって運命なのさ」

この言葉のおかげで救われている部分は多い。
良くも悪くも原動力になってる。
戦士をする上で確実に私の支えになってる。
私の人生はこれでいいんだって、間違ってないんだって、そう思える。
戦士としてプリンセスを守る為に強く生きていける。

前世での自分を追い求める事もあるけど、セーラーVの時も今のセーラーヴィーナスも私で。
今の私らしくプリンセスを、うさぎを守って行けたらって、そう思う。

争いも何も無く、ただただ平和で楽しく幸せだった前世。
プリンセスには禁断の恋や好奇心旺盛な行動で悩まされていたけど、充実した日々だった。
この幸せがいつまでも続けばいい、続いてくれると信じてやまなかった。
でも、意図も簡単に終わってしまった。
それが悔しかったんだと思う。
だからみんなより先にリーダーである私はアルテミスからセーラーVとして目覚めさせられて、経験を積むことになった。
注目されてアイドル戦士として楽しく経験詰めて気持ちよかったなぁ。

みんなより先に戦士になったリーダーとしてのプライド、こう見えても持ち合わせてたりする。
だからみんなより強くいなきゃと思ってるし、戦って行く中で強くなってると確信も持てていた。
だけど、現実は結局厳しくて……
強くなった分だけ敵も強くなって来て、まだまだだと思い知らされる。
みんなのお手本にならなきゃ、強くいなきゃって思って余裕をなくしたりする事もあった。

時が過ぎてもあの笑顔が脳裏に焼き付いてる。
死ぬ直前に見せたあのAの寂しそうな、それでいてどこか満足そうなあの笑顔。
いつも助けてくれたから、味方なんだと思ってたのに。
前世は同じ星の出身で、ずっと見てくれてたのに、どうして?
どこでボタンをかけ違えちゃったの?
敵として、本当は殺したくなんか無かった。
だけど、敵だから仕方ない。これが私たちの運命だから。土に還るのがAの運命だったんだって思う。

Aの事が本当に好きだったって自覚すればするほど、切なさが募って
もう二度と会えないって分かってはいるけど
どうしようもなく寂しくなったり、挫けそうになったらAの歌を聴いて前を向くの

Aのあの時のあの言葉があったから私は今も真っ直ぐに、ブレずに強くセーラーヴィーナスとしてやって行けてる
それに前世もセーラーVの時も、今もずっと相棒の白猫アルテミスが傍で支えてくれてるし、それも結構、いや、かなり?心強い!
だから私はこれからもプリンセスを、うさぎを、仲間の力を借りながら一緒にずっと守っていくの!
勿論、アイドルを目指しながらね?

END

2021.11.11

GLAY/a Boy~ずっと忘れない~
発売25周年記念の日に寄せて

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