まもうさちびSSログ


『こんな節分は嫌だ!(まもうさちび)』


「豆、歳の数だけ食べなさい」

業務用スーパーで買ったと言う大入りの豆の袋を持って私の前に置いて来たうさぎに、思わず耳を疑い絶句する。

「何の罰ゲームよ?」

と言うか幼児虐待だ。歳の数だけ豆を食べるなんて何の嫌がらせなんだろう。
幾らまもちゃんとの仲を邪魔しているからって、その仕打ちがこれなんて酷くない?

「罰ゲームなんかじゃないわよ!」

真面目も真面目、大まじめよとうさぎは逆ギレして来た。キレ散らかしたいのは私の方よ。

「私、900個も食べなきゃ行けないのよ?罰ゲーム以外の何物でもないわ!」
「知らないわよ。節分の豆は歳の数だけ食べる決まりに昔からなってるの」
「嘘よ!そんなの信じない!」

こっちに来て色々イベントがある事に驚いた一国のプリンセスである私、ちびうさことスモールレディ。
その中でも節分の日なんてものは初耳で。ましてや豆を歳の数だけ食べるなんて週間は無い。
うさぎの嘘だと決めつけた私は、全く信用しなかった。
そして私は、この時代で最も信用出来る人に真意を確認しようと通信機を手に取った。

「まもちゃん?」
「ちびうさ、どうした?敵でも現れたのか?」

そう、それはまもちゃんだ。まもちゃんならどんな事でも信頼出来る。頭も良いし、顔も良い。実績と信頼がある。

「ううん。聞きたいことがあって」
「何だ?」
「節分の豆を歳の数だけ食べるって本当?」
「ああ、昔からそう言い伝えられているなぁ」
「ええ、そんなぁ……」
「どうしたんだ?」
「うん。私、900個食べなきゃいけない事になるから」
「あはは、そうだったな」

まもちゃん、笑い事じゃないです。死活問題。こんなに食べたらお腹確実に下すコースだよ。
まもちゃんが言うんだから間違いないよね?どうしよう……

「ま、嫌なら無理に食べる必要は無いさ」
「でも、うさぎが業務用スーパーで大入りの豆をいっぱい買ってきたんだもん」
「なるほどなぁ。ゆっくり無理の無い範囲で食べ進めるしかないな。頑張れ」

エールを送るとそこでまもちゃんは通信機を切ってしまった。

「ね、本当だったでしょ?」
「……うん」

側で聞いていたうさぎが終話と同時に話しかけて来た。

「どうすんの?」
「ゆっくり食べます」

翌日、学校へ行くと節分の話になっていた。

「食べ足りないよねぇ……」
「豆を歳の数だけって少なすぎるよな?」
「たったの8個なんて食べた気しませんよ」
「もっと食べたいよぉ」
「ちょーMM!(マジ満足しない)」

桃ちゃん達も昨日、豆を歳の数だけ食べたらしい。
でも、みんなはまだ本の八歳。食べる数も八個と兎に角少ない。食べ盛りの子供には物足りない数だ。
片や私は900歳。900個も食べないといけない。手伝って欲しいとか思ってしまった。
昨日頑張って90個は食べたけど、それでもまだ後810個。このペースで行くと10日はかかる。まだまだ遠い道のりに、だから30世紀の未来では廃止されたのか……と無かった理由を察した。




おわり

20240203 節分の日

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