旧作まもうさSSログ


「月が綺麗だな、うさこ」
「本当だね、まもちゃん」
「うさこは可愛いな♪」
「やだ、もう!まもちゃんったら!」
俺は、自宅のベランダでうさこと月見をしていた。
夏目漱石の言葉を引用してうさこに愛の言葉を伝えたのだが。やはりうさこには伝わらなかったようだ。
月を守護に持つ戦士の宿命を背負って生まれてきたうさこ。こんなに最高な愛の告白は無いと思ったのだけど、無知な彼女には伝わらなくて。良かったような、ガッカリというか……。
「うさこの事が好きって意味だよ」
天然な彼女にはストレートに言うのが一番だと思った。
「まもちゃん///私も大好き♪」
自然と顔が近づき、唇が触れる。
うさこと過ごせる幸せを、こうして愛を確かめられることを噛み締める。
……癪だが、俺の分身だと言う月影の騎士のおかげだと感謝していた。
うさことのキスを終え、再び月を見上げるとこちらに人影が近づいてくる。
「今宵は月を愛でるに相応しい」
「んな!?月影の……(最後まで意地でも絶対言いたくない)」
「月影の騎士様!」
何故この男がまた現れたんだ?
今はうさことラブラブなのに……。
「何故現れた?」
「私は月影の騎士だからな?中秋の名月にのみ自由になれる」
何だよそれ?俺の分身なら空気読んでくれ。
「それにあれからちゃんと愛し合ってるかと思って気になってな」
それは絶対嘘だな。何せ俺が潜在的にうさこを思う心の塊だと言っていたんだ。
今はうさこへの愛を爆発しているんだから、わざわざ現れる必要なんて無いのだから。
概ね、うさこの顔を見たかったとかそんなんだろ?
「はい、お陰様でラブラブです♪」
「うさぎ、君は相変わらず可愛いな」
「そんな、可愛いだなんて!」
やはり本音を表したな!うさこも、いちいち照れなくていい!
「衞、あれからどれだけの時が経った?」
「1ヶ月ほどだな」
「そうか、ラブラブで安心したよ」
「ホッとしたならもういいだろ?」
この前とは違い、やましい事など何も無い俺は強気に出た。
「望み通り消えるとしよう。君たちの 愛の継続 ありがとう アデュー」
そう言い残し、月影の騎士は月夜に消えていった。
それにしても毎回俳句言って去らないといけないのだろうか?
変な格好をして、変な事を言う。相変わらず変な奴だ。

END
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