旧作まもうさSSログ



『心の支え!秘密のコレクション』



初めての戦いで助けてくれたタキシード仮面と名乗る素敵な人。
何も分からない謎の紳士。唯一の手がかりは赤い薔薇。地面に刺さった一輪の薔薇、咄嗟に持って帰っちゃった。
地面に刺さる程なのに、そこら辺の薔薇と変わらない。どうしてだろう?不思議だな。

「愛の力、だったりして。……なぁんちゃって、キャッ♡」

って言うのはまぁ冗談として、持って帰った薔薇をどうしようかって話。
一輪だけだし、取り敢えずは花瓶に入れて部屋の机に置こう。
ママに何か言われるかもしれないけど、一輪だけなら怪しくないよね?

「タキシード仮面、また会えるかな?」

会いたいな。
でも、会うとなるとまた変な妖魔とか言うのと戦う場所になる、んだよね?
また助けてくれるとは限らないし、不安。怖い。でも、会いたい。

「はぁ……」

恋する乙女の心は複雑。
妖魔っていうよく分かんない怖いやつはごめんだけど、また会えたらいいなと思いながら私はタキシード仮面を思いながら日々を過ごす事になった。

そしてそれから数日後、また敵が現れて敵地に行く事になった。やっぱり怖くて、ピンチに陥っていた私。
そこにまた赤い薔薇が一輪飛んできた。
タキシード仮面が助けに来てくれたんだって私は確信した。
薔薇が飛んで来た方向に顔を向けると、そこにはやっぱりタキシード仮面がいた。心強い。
助けてくれたらさっさと帰ってしまうからまた何も聞けない謎のまま。その謎がまた良いのよね。知りたい!って強く思っちゃうの。

「タキシード仮面、やっぱりかっこいい♡」

唯一の手がかりである薔薇、また持って帰る事にした。今度はどう保存しよう?
前のがまだ枯れていないから、花瓶に入れよう。

それからも何度も敵が現れてはピンチになって、その度にタキシード仮面は薔薇を一輪投げて助けてくれてはすぐに帰って行くを繰り返された。

その内仲間も増え、タキシード仮面が来ない時もたまにあったし、その時は寂しかったけれど、薔薇をその度に持ち帰っては眺めていたから大丈夫だった。

時間が経って分かったこと。タキシード仮面様の薔薇は全く枯れないの。凄くない?
やっぱり特殊な花なのかな?硬い地面にぶっ刺さってるし、枯れないって。
彼自体も特殊な人なのかもしれない。
ほとんど喋ることもないから、タキシード仮面様を詳しく知り得ないし。だからこそ益々ミステリアスで気になっちゃう。どんどん好きになっていくの。

戦いがあるに連れて薔薇が増えていく。
花瓶じゃ追いつかないから戦いの後に癒されたくて薔薇風呂にして入ることにしてみた。

「うふふ、薔薇風呂贅沢〜」

正に文字通り癒される。それだけじゃなくて、戦いの最中負った傷が治った。治癒力もこの薔薇にあるみたい。本当に凄い。
定期的に薔薇風呂決定だわ!

「形としても残しておきたいなぁ〜」

どうしようかと無い頭で考える。

「押し花、とか良いかな?あと何があるかな?」

こうして私はタキシード仮面様の薔薇を持ち歩けるコレクションにしようと色々作り始めた。

その内タキシード仮面様は敵の手に落ち、敵となって現れたと思ったらいつもの赤い薔薇は黒に変えてしまった。
それでも生きてくれている事が嬉しくて、黒薔薇も持ち帰って押し花にしてコレクションに加えた。
持って帰らない。コレクションしないなんて考えは私にはなかった。

一つの大きな組織との戦いが終えた後、また新たな敵が現れた時はタキシード仮面様は現れなかった。
その代わり漆黒の色を清楚な白に変え、月影の騎士様が現れて助けてくれるようになった。薔薇の色もその姿と同じ純白で。
勿論、白薔薇も持って帰ってコレクションに加えることにした。
赤白黒と三色の薔薇の押し花に、思わず笑顔が零れる。

タキシード仮面様の正体が分かって、恋人になっても私は戦いがあって助けてくれる度に薔薇を持ち帰った。
薔薇に詳しくなりたくて色々調べたりしていくうちに色んな種類がある事や花言葉を知った。本数にも意味があることを知って、薔薇ってなんて奥深いんだろうと感心した。

私はこれからもまもちゃんと一緒に生きていく中で、薔薇は大切な花であり続ける事は間違いないと思う。




おわり

20240602 ローズの日

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