衛とレイの愛再び!?うさぎの嫉妬
うさぎは、レイに確かめたい事があって火川神社へと来ていた。
「レイちゃん、まもちゃんの事はどう思っているの?」
ストレートに、単刀直入に問い詰める。
「どうって?」
「惚け無いで!まもちゃんと付き合ってたでしょ?」
「うさぎの知ってるとおり、確かに付き合っていたわ」
「レイちゃんはまもちゃんの事、好きだったの?」
「どうして昔の事を掘り起こされなきゃ行けないのよ!」
うさぎに問い詰められたレイは、逆ギレする。
終わった恋を再び思い出さされ、古傷が抉られそうだった。
「ひとつ屋根の下で過ごして、まもちゃんの裸まで見て、意識したんじゃないの?私だってまだまもちゃんとひとつ屋根の下で一晩共に何てして無いし、裸だってまだなのに。レイちゃんばっかりズルいよ!」
うさぎはそんなレイを羨ましく思った。
そう、うさぎはまだ衛の家に止まったり、裸を見た事がなかったのだ。
「へぇー、ちびうさちゃんって子供がいるのに、衛さんとはまだそーゆー関係じゃないんだ。子供ね、うさぎは。衛さんにも女として見られてないんじゃないの?」
うさぎの言葉に、レイはまだ衛と大人の関係では無いことを見抜き、負けじと反論する。
「放っておいてよ!大切にしてくれてるんだもん!」
「ふぅーん、どうだか」
「何よぉ!振られたからって、負け犬の遠吠えじゃない」
「譲ってやったのよ!有難く思いなさいよ」
「なぁんですってぇ!」
売り言葉に買い言葉。ついついいつものノリで口論に発展してしまった。
暫くして冷静になったレイは、静かに話し始めた。
「前にも言ったけど衛さん、私と一緒にいてもいつも上の空で楽しくなさそうだったのよね。でも、あなたと一緒にいる時は楽しそうにしてたわ。タキシード仮面として助けるのも当時からセーラームーンだけだった。入り込む隙なんて、最初からどこにもなかったのよ」
「レイちゃん……ごめんなさい」
「ううん、私の方こそ、うさぎを不安にさせていたわね。確かにそうよね。元カノが親友として近くにいるんですもの。もしかして……って気持ちになるわよね」
「私の方こそ、無神経にまもちゃんとのラブラブを見せつけちゃってごめんね。何も考えてなかった」
「衛さんはうさぎを取った。それが全てよ」
「レイちゃん……」
スキーに行った時に敵の魔の手に落ちて二人で衛の事を話し合った事をうさぎは思い出していた。
あの時も、レイは必死でタキシード仮面に“貴方の愛したセーラームーン”と言って説得し、応援してくれた。まだ好きで気持ちを整理出来ていないのに、必死で訴えてくれていた。
「好きだったわよ、すっごく!最初の動機は不純だったし、好きになってもらえていないって分かっていたけれど、どんどん好きになって行った。本気で愛していたわ。冷たくされても嫌いになれなかった。女心も分からない人だったけれど、それでも魅力的な人で好きにならずにはいられなかった」
「レイちゃん……」
初めてレイから衛への気持ちを吐露され、うさぎは複雑な気持ちを抱えながら聞いていた。
「うさぎだって、衛さんの事好きだから私の気持ち、分かるんじゃない?」
「そりゃあ、まぁ……」
うさぎ自身も衛に拒絶された過去を持っていた。どれだけ冷たくされても、嫌いになれないばかりか、納得出来ず諦める事が出来なかった。
これからと言う時に言い渡された別れ。それでも信じて説得し続けた。そして、何とか分かり合えた。
レイももしかしたらあの時の自分と同じで、根気強く付き合い続ければ気持ちが向いて好きになって貰えると期待していたのかもしれない。
しかし、それは結局叶わぬ恋だった。
「それに、衛さんとは話がついているのよ?」
「え、どーゆー事?」
「あら、知らなかったの?うさぎと付き合い始めてすぐにケリをつけに来たのよ」
「知らなかった。どうして?」
うさぎの知らない所で衛はレイと話をつけていた。初めて聞いた事実に、うさぎは驚いた。
「“うさぎと付き合う事になった”って報告と、“今までごめん。ありがとう”って。衛さんは律儀よね。どこかの誰かさんは、報告に来てくれ無かったけどね!しかも、今更嫉妬して蒸し返してくるとか」
「うっ」
確かにレイの言う通り、うさぎはレイへの報告を怠っていた。衛と漸く付き合えて舞い上がっていたこともあるが、どう報告していいのか分からずそのまま有耶無耶になっていた。
それがここに来て弊害になるとは思いもよらなかった。
「私も“うさぎをよろしく。泣かせたり、私みたいに冷たくしたら許しませんからね!”って」
「レイちゃん……」
「でも、私も分かってなかったみたい。親友と元彼がラブラブしてるのを近くで見るのがこんなに辛いなんてね!」
「アハハハ、面目ない」
「ま、お陰で見込みがないってはっきり分かって諦めがついて前に進む事が出来ながら、感謝してるわ。雄一郎もいるしね」
「色々疑ってごめん。レイちゃんも辛かったんだね」
「ううん、もっと早くちゃんと話しておけばよかったわね」
笑顔でそう言うと、レイは右手を差し出して来た。
「衛さんと、ずっと幸せにならないと火星に代わって折檻よ!」
「うん、絶対!幸せになるよ!レイちゃんも雄一郎さんの気持ちに早く答えてあげなさいよ」
うさぎも右手を差し出して、握手して和解した。
おわり
20230410 嫉妬の日