グロリアス


☆☆☆☆☆

悔しいけど、こうして過去の恋愛遍歴を振り返るとエースの言った通りどれも中途半端な気持ちだったかも。

相手がいたり私が倒したり、成就しない様にもなってた。

それもプリンセスの為に全力で戦えるように本能で叶わない恋に走ってたのかもしれない。

“好きになった人を自分の手で倒していく運命”なの?

そう自分で言ったように振り返ると本当に好きな人をこの手で倒して来た。

最初の東センパイは戦士になりたてでキツかったけど、次の性別詐欺ドクターはそもそも女だった上に蚊だったから腹たって躊躇なく思いっきり殺してやったわ。

エースは色々辛かったわね。

やっと巡り会った本気の恋ができる運命の人だと思ったのに違っていた。

直前に前世を思い出した事もあるし、それによっていつも守ってくれて味方だと思ってたエースが実は憎むべき敵で同じ金星出身。

金星人だった時の名前は“アドニス”
敵としての彼はダークキングダム四天王直属の部下で名前は“ダンブライト”
アイドルとしての名前は“最上エース”
私を助けてくれた時の名前は“怪盗エース”

どれが本当の彼の名前かは結局分からないけど、そんなエースと出会ったのはバレンタインデーで売られていたレインボー♡チョコレートで太ってしまった人達をコンパクトで治せず絶望していた時にダイエットのチラシとキャンディーをばらまいていた、それがエースその人だった。

その後見たテレビで怪盗A役の最上エースって知って追っかけする人生が始まったけど、それと同時にセーラーVとしての出番が減って落ち目だの人気が無くなっただの言われて、結構エースって初対面の時からズケズケとストレートに言ってくれちゃってたわね。

エースの恋人役としてヒロインを勝ち取り、撮影場所の中国へ行った時「命をかけてエースが好き」だと思ったけど、よく分からない上に自信がなくて本人に聞いたら「コドモだな」ってデコピンされた。

あの時の私は本当に本気の恋が分かってなかったし、恋に恋い焦がれ、そして恋に泣いていただけだった。

クンツァイトである君斗が再転生して出会って、本気で彼と想いをぶつけ合った今なら本当の恋が分かる。

クンツァイトとは前世からの腐れ縁、と言うかいつの間にかお互いの主君である王子と姫を守る直属の戦士のリーダーと言う立場が同じで相談や色んなやり取りをする過程で惹かれて恋をしていた。
勿論、この想いはリーダーと言う立場上隠して生きてきたけど、現世に転生して記憶が蘇ってきた時に、封印していた彼をの想いも溢れてきた。
だけど、前世でも現世でも姫を傷付けようとしていたから躊躇無くこの手で殺した。

“好きな人をこの手で殺していく運命”は前世のクンツァイトから始まった。

相変わらず前世からプリンセス命の私は今も現世のクンツァイトである君斗にも命をかけて愛してるとは言えないけれど、彼自身もプリンス命で1番は私じゃないからそこはおあいこだし、いざって時に守って欲しいなんて思ってないし、アイツだって望んでない。
お互い1番じゃないけど、その関係が私たちにとって心地がいい。
勿論、異性としては君斗が1番だし、君斗にとっての異性での1番は私だと確信してるわ。

お互いこんなにも似た立場でこれ以上無いくらい理解し合える人なんて他にいないと思う。
そういった意味では相性も恋愛対象としてもピッタリ来る相手なんてこの先も現れないと思うし、唯一無二だと思う。

エースの最期の占いの言葉には悪いけど、私の恋は叶ったわよ!インチキ占い師さん?

END

おまけ

日記を読んでいたらアルテミスが帰ってきて話しかけてきた。

「懐かしいの読んでるな?」
「久々に懐かしくなって読んでたのよ」
「また再開してみれば?」
「何でよ?必要ないでしょ?」
「あるだろ?アイツとの事とか」
「アイツって君斗?」
「そう!書いてやれば?」
「付き合ってるのに必要ある?」
「付き合ってるからこそ必要だろ?」
「何でよ?意味分かんない!」
「色々したためたい想いとかあるだろ?言えない事とか、秘めた想いとか!」
「言いたいことは言い合える仲だからなぁ…。秘めた想い?うーん…」
「無いのかよ?可哀想に。まぁ無理にとは言わないけど」
「前向きに検討してみるわ!」




おわり

2021年1月17日のGLAY/グロリアス発売から25周年と、コードネームはセーラーV30周年に寄せて書いたお話です。

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