愛の女神が黙ってない!


side アルテミス


「ルナはカンッペキ、恋をしてるわよ」


美奈のその一言で、僕は頭に隕石が落ちる程の衝撃が走った。


「ルッルナがこいっ!?だれに!?」

「少なくともあんたじゃないわね、きっと」


恐る恐る相手が誰か聞くと、とても冷たい目と声で一番聞きたくない答えが返ってくる。


「恋しか無いわよ!ねえ?」


ショックを受けている所に、追い討ちをかけるように現実を突きつける言葉の数々。

はるか達、お姉さんトリオの説得力のあるお言葉が、傷口に染みる。

そこにまさかの唯一恋人がいるうさぎからのキツい一言。

ルナの一番の相棒であるうさぎからの一言は何より心に来るものがある。


「大体あんたが手抜きしてるからいけないのよ、アルテミス!」


この一言も傷口に塩だ。痛すぎる。


「さぁんじゅっせーきの未来でいっくらケッコンしてダイアナちゃんって子どもまでいるからって、アグラをかいてるよーじゃダメね!未来なんていくらでもかわるんだから」


かなり説得力のある相棒美奈の力説に、完全に心はカウンターパンチされ、奈落の底へと突き落とされた。

分かっていた。美奈の言う通りだったから。
ずっと目を背けて生きてきたんだと思う。

けど、美奈の叱咤で目が覚めた。

俺は、ずっとルナが好きだった。前世の時から。

けれど、“喋れる猫”や“額に三日月マークのがある猫”なんて俺とルナくらいで……。

しかも未来から娘だと言うダイアナまで現れたもんだから、安心していた。

安心しきって、自然とルナが俺を好きになってくれるとどこかで期待して信じていた。

きっとこれは、そんな何もせずにいた俺への天罰なんだ。愛の試練なんだ。そう気づいた。

と言っても、何をどうすればいいか分からない。

ルナの恋心を止めることも、権利も俺には無い。資格も無い。


「言っとくけど、あんたが落ち込む資格無いからね?」


あの日以来、元気をなくした俺に美奈がキツい一言を放つ。労りとか、労いと言う言葉は無いのか?


「アグラをかいて、なぁんにもして無いあんたが悪いのよ!」


愛の女神からの一言一言はとても重い。


「あんた、ルナに振り向いてもらうために何かした?」

「……して、無い、、、です」

「でしょ?何もせず、そばにいるだけで振り向いて貰えるなんて、肉まんね!」

「……美奈、それを言うなら、傲慢」

「何か、言った?」

「……すみません」


恋愛の事となると、美奈はアドレナリンが出まくる。

その為、最もなことを言ってくるからキツい言葉が多いけど、為になる。

これらの言葉も、俺を鼓舞する為のアドバイスだと思っている。


「あたしはね、アルテミス。あんたに幸せになってもらいたいの!」

「美奈……」

「でないと私も、いつまで経っても彼氏作れないもんね!」


たった今、感動して流しそうになった涙を返して欲しい……。

美奈なりの応援って事だろ?照れ隠しって捉えれやるよ。

美奈の為にも俺、頑張るよ!

これからは危機感を持って、ルナにアピールするよ!

振り向いて貰えるよう、努力する。

だから相棒、見守ってくれるかい?

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