アル美奈SSログ


『魂で繋がって(アル美奈)』


「うっっ……」

急にズキンと魂が痛む。
心臓が痛い。
こんな事は初めてのことで、動揺する。
美奈に、何かあったので無いか?
胸騒ぎがした。

「美奈……」

まことと亜美のクリスタルが抜かれ、危機感を抱き気を引き締めていた美奈。もしかして、美奈も……?
この痛みは、あの時と似ていると感じた。
月の王国が滅びたあの日も、これに似た痛みを感じた。しかし、それとは少し違う。

「もしかして、美奈も……」

司令室に行くと、はるか達がいた。
神妙な面持ちで、心臓がドキンと鳴る。

「アルテミス、すまない」

その一言で、全てを察する。
そうか、やはりあの痛みと胸騒ぎはそういう事だったのか。

「美奈子とレイも、クリスタルを抜かれてしまったわ」
「私たちがいながら、間に合わなかった」
「言い訳にもならないな」

各々悔しさを滲ませながら俺に謝ってきた。

「仕方が無いさ。美奈だって分かっているはずだ。戦士をしている以上、覚悟の上。プリンセスを守っての戦死は納得しているはず。悔しいとは、思うけど」

そうだ。美奈は戦士だ。プリンセスを守る為、戦いの中で死ぬ事はとっくの昔に覚悟は出来ているだろう。
現に、ダークキングダムとの戦いの時はプリンセスの影武者を演じ、敵の目をくらました。その後、自害してメタリアに飲み込まれたセーラームーンを起こす為、変身ペンを投げ出し命を賭ける先導を切った。
リーダーとして、常にプリンセスの為に己の身を呈して命を懸けてきた。
普通の女の子としての幸せや、アイドルの夢を犠牲にしてうさぎの為に生きてくれていた。

「ああ、悔しいだろうな」
「手も足も出ないなんて」
「こんな事になるなんて」

うさぎは大丈夫だろうか?
自分のせいだと、攻めていないだろうか?

「クリスタルさえ取り戻せれば、美奈もまことも亜美もレイも生き返るさ!」

まだ望みはある。希望を捨てなければ、きっと又美奈たちは蘇る。俺は、そう信じている。
だって、美奈と固い絆で結ばれた俺がこうしてこの世にいるのだから。

戦う力はなくて足でまといな俺だけど、月の王国が滅びた時のように又再会出来るように待っているよ。
だから、美奈。絶対、元気な姿で帰って来いよ!




おわり

20230517 絆の日

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