グロリアス


ー君の恋は 永遠に 叶うことはないー

最期にエースが言ったこの言葉をフッと思い出した。
私が前世でプリンセスを大切に思っていたと同じくらい愛してしまったクンツァイトに願わぬ恋をひた隠しにしていた事を見透かす程に私を見ていてくれていたエース。

恋か使命かの究極の選択に頭を悩ます必要なく生きていける、そう言われてストレートに受け止めていたし、お陰で直前で思い出した前世の記憶とプリンセスへの忠誠心と溢れる想いがその言葉を素直に受け止めていた。

勿論、そこに行き着くまでは葛藤がないと言ったら嘘になる。寧ろめちゃくちゃ葛藤したわよ!
だってそうでしょ?命短し鯉の滝登りって言うじゃない!1度きりの青春、恋もしたいし彼氏だって欲しい、それが正しい女子中高生の欲望よ?
なのに何よ、私の恋は叶わないって!酷くない?何の呪い?
将来楽しい事が待っているって楽しみにしていたうら若き乙女の夢を奪ったのよ!
しかも愛の女神であるこの私に向かって堂々と一生恋が叶わないなんて失礼千万!針千本!

でも同時に分かったの。この場合、悟ったって言い方が正しいのかもしれない。プリンセスであるうさぎを最優先に考えているから彼氏作りに身が入らないのは確かだし、本気になれないのも認める。

別にうさぎが悪いわけじゃない。これは私が選んだ事。誰よりうさぎが大切で、命を懸けて守りたい、心からそう思える唯一の人。前世とか使命とかリーダーだからとかそう言う理屈を超えて“月野うさぎ”と言う存在その人を愛しく思うし、守りたいと思った。

だからこそギャラクシアとの戦いの時、屋上でレイちゃんと誓ったの。「命を捧げたたった1人の人がいる。男なんてお呼びじゃない」そう2人でプリンセスに、うさぎに生涯の純潔を違った。嘘偽り無いまじりっけのない私の本心。

うさぎ達と合流する前にセーラーVとして戦っていた頃は前世の記憶が蘇っていなかった分、結構気楽に戦ってたし、色んな人に恋をしていた。

エースに私の恋はいつも本気じゃない、恋より大切なものを選んできたと言われてそんなハズないなんて言ったけど、セーラーVに命を懸けてきたことに気づいたし、セーラーV時代の恋はどれもいつでも中途半端だったんだって気づいてしまった。

愛の女神が恋愛よりもプリンセスを守る事、戦う事の方が大切なんて皮肉なものだと思う。

だけど結局どれも失恋して終わってしまったのが何よりの証拠なのかもしれない。

思い出しついでに前世の記憶が蘇ってきたタイミングで封印していた「みなこの日記」を本棚から取り出して読み返してみることした。
この日記にはセーラーVになった頃からの過去の恋愛遍歴が赤裸々に綴ってある。

どれだけ自分が本気じゃなく中途半端な恋愛をしていたのか、振り返るいい機会だから。

まだ本当の私の使命が何なのか分からず、ノーテンキに楽しく正義の戦士をやりながら恋に恋していたあの幼かった頃の愛しいセーラーV時代の記憶。

忘れない輝いていたあの頃の思い出たち…。

1/7ページ
スキ