とあるカップルのイベント話
~ポッキー&プリッツの日編~
「まぁ~もちゃん、ポッキー一緒に食べよ♡」
昼休み、いつもの様に弁当を2人ラブラブっと食った後、月野が地場に食後にポッキーを食べようと言っていた。
また甘いもん食うのかよ?俺ら、お前達のラブラブっぷりで胃もたれして受け付けねぇんだけど……。
せめて辛いもん食おうぜ。何て考えていたら驚きの行動に度肝を抜かれる事になった。
「サンキュー」
地場が一本無造作にポッキーを引き抜いて食べようとすると、月野がそれを制止した。
「もう!違うよ、まもちゃん!」
「え?ポッキーを分け合って食べるんだろ?」
「そうだけど、そうじゃないもん!」
「何だよそれ、分かんねぇよ」
「まもちゃんのにぶちん!」
一人で普通に食べようとした地場からポッキーを奪い、自分の口に先を入れ、そのまま違う方の端を地場の口の中に入れた。
つまり、一本のポッキーを2人で顔を近づけて食べる、と言う事みたいだ。
……ってそれって食べ進めるとアレじゃん?
自然とキスする流れになるアレじゃん?
月野、大胆だなぁ~。
っていや、成功?すればの話だけどな?
地場も分かったみたいで、普通に受け入れて食べ始めた。
時々驚くけど、地場ってこんな何でもすんなり受け入れるキャラだったのか?
月野の愛のパワーで普通にキャラ変する流れになったんだろうな。
なんて考えてボーッと2人のポッキーゲームを見ていたら、どんどん進んで距離がグンと近づいていた。
さて、ここからが問題だ。2人とも、どう出る?
チュッ
照れながらも大胆にこのゲームの趣旨であるキスを物の見事に成功させた。
「おお~」
固唾を飲んで俺同様、2人の行く末を見守っていたクラスメイトと言う名の野次馬達は、成功した2人のキスを見てどよめきたった。
そう、地場と月野は30人以上のクラスメイトと言う名のギャラリーがいる中、ポッキーゲームを見事照れること無くやり遂げたのだ。
これはもうアッパレとしか言い様がない。
寧ろ強者である。向かう所敵無しのラブラブ具合。見せつけてくれるよ、ったく。
文字通り、2人だけの世界。
多分、いつも周りに誰かいるなんて考えてもないくらいお互いしか見えてないんだろうな。
俺もそんな夢中になれるほどの好きな人が出来るだろうか?大恋愛と呼べる程の恋が出来るだろうか?
そんな事を考えながら地場と月野を見ていると、二本目に突入していた。
一本目で味をしめたんだろう。野次馬なんてかぼちゃにしか見えないのか、ラブラブっとポッキーをシェアしてはキスをしていた。
きっとこの2人には怖い物など無いのだろう。
誰が見ていても関係ない程、2人だけの世界で、俺たちなんてパンプキンだ。
胃もたれする程のラブラブっぷりをまた今日も見せつけられた俺は、今日も常備している胃薬を飲む事を決意するに至った。
おわり