永遠の花ーMemento Moriー


そして、私はクイーンとしての生を全うした後、何度も何度も転生を繰り返し、宇宙最強の戦士、セーラーコスモスとなった。

遠い昔、月の王国のプリンセスだった時から時を経て月野うさぎとしても、地球国のクイーンとなってもずっと。愛する人からは秋桜みたいだと言われて来た。

そんな私は、花ではなくて宇宙を意味する方のコスモスとなっていた。運命とは皮肉な物だと、一人宇宙を彷徨いながら平和を願うセーラー戦士をしている。
宇宙に咲き誇る一輪の花って所かしら?

でも、幾ら宇宙最強の戦士として宇宙を漂っていても一人は寂しいよ……

まもちゃんや美奈P、ルナやなるちゃん、パパやママ……
守る人がいないのに戦士をして戦う意味はあるのかな?

逢いたいよ、まもちゃん……
私はここにいるよ?早く、見つけて欲しいな。

その時だった。

「うさ?」
「え?」

私を呼ぶ声がした。ずっと聞いていた優しい声が。
でも、そんなハズない。彼がここにいるなんて……。
彼はとっくに死んだのだからーーー

まさか?そんな……
そんな気持ちで声の発せられた方向へと振り向く。そこには……

「まもちゃん!」

セーラームーンとして初めて会った漆黒の衣装に身を包んだ、大好きで仕方ない彼がそこに立っていた。

「うさ……だね?」
「うん、まもちゃん……どう、して?」
「君が寂しがっている声が聞こえた。呼ばれた気がしたんだ」
「私って分かったの?」

彼はあの時と変わらぬ出で立ちだけれど、私はすっかり変わってしまった。
髪型もセーラースーツも、オーラすらも……

「ああ、うさの事はどんな姿をしていても必ず見つけ出せる自信があるよ」
「まもちゃん……」

彼の言葉が嬉しくて、私は彼の胸へと飛び込んだ。
勢い良く飛び込んだ私を彼は、優しく包み込んでくれる。安心する。いつも抱き締めてくれていた場所。変わらない。温かい。
彼の温もりと心臓の音が、伝わってくる。生きてるんだ、やっぱり。

「生まれ変わったんだね?」
「ああ、お陰様で。コルドロンがある限り星は産まれるからな。うさが俺を必要としてくれる限り、俺は生まれ変わって君の傍で守るよ」
「嬉しい。私たち、これからもずっと一緒だよね?」
「ああ、今まで一人でよく頑張ったな」

私はプリンセス・セレニティの時からセーラーコスモスとなった今までも、寂しがり屋だった。
それはやっぱり、プリンセスの頃からずっと周りには大切な人たちがいっぱいいてくれたから。
だから、セーラーコスモスとなっても一人で守るなんて、寂しくて孤独に押し潰されそうで怖かった。
その事をまもちゃんはずっと知っていたから、そんな言葉を言われたら……今まで我慢していた涙が滝のように出て止まらなくなった。

「相変わらず泣き虫だな、うさは」

そう言いながら、マントで止めどなく溢れる涙を拭ってくれた。

「うさ、顔見せて?」

暫くして泣き止んだ私は、まもちゃんの言われるがまま顔を上げた。
やっぱりまもちゃんはいつでもかっこいい!!!それなのに私は……

「うさ、綺麗だよ」

本当?そう聞こうとしたけど、唇を塞がれた。久しぶり過ぎる口付け。どれだけの時間キスしていただろう?まるで永遠とも言える時だった気がする。夢を見てるみたい。
またこうしてまもちゃんと愛し合えるだなんて、幸せ。

「まもちゃん、大好きよ」
「俺も、うさ、愛してる。これ」
「これは……」

久しぶりの再会に、まもちゃんはプレゼントをくれた。

「秋桜」

いつの時代も私の様だと言ってくれた花ーーー秋桜。

「嬉しい、ありがとう。私、まもちゃんの言う通りだった。私、本物のコスモスになっちゃった」
「やっぱり君はコスモスだったんだな。宇宙に君臨する一輪の花だ」
「まもちゃんったらぁ」

私はセーラーコスモスになったけれど、いつでもうさと変わらないよ?
外見は変わっても中身はあの時とおなじ。

「お世辞じゃなく、本当に綺麗だよ。うさ、君は永遠に一番美しく輝く星だよ」




おわり

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