恋するうさぎちゃん♡


『スイーツよりも甘い二人(まもうさ)』


ある日のフルーツパーラークラウン。
目の前にはラブラブカップルが一組、うさぎと衛だ。

「はぁー」
ラブラブっぷりに目を当てられ、独り身の寂しさから盛大に深い溜息をつく美奈子。
学校帰りに集まる事になっていたが、亜美は塾、レイは神社が忙しい、まことは居残りと結局四守護戦士では自分だけが来た結果、見せ付けられる罰ゲームを受ける事になった。
それぞれ学校が違う為、うさぎの顔を少しでも見たくて来たが場違い感半端無かった。

人目もはばからず、目の前でイチャイチャしながらパンケーキを一緒に食べる衛とうさぎを見てうんざりしていた。
(もしもーし、目の前に美奈子がいますよー?見えてますか?)と心の中で大声で問い掛けてみる。勿論、反応なんてない。
別に相手にして欲しいとか思ってない。

うさぎが幸せならそれでいい。
うさぎの幸せは私の幸せだ。
うさぎが悲しいなら私も悲しいし、辛いなら私も辛い。
うさぎが笑顔なら私も笑顔になれる。

前世では地球の王子と月の姫という立場で恋に落ち、愛し合っていたけれど神の掟により許されない禁断の恋。
それ故に現世でお互いふつーの人として転生してどーどーと恋が出来る様になったのは2人にとっては念願叶った普通の恋人としての恋。
幾らだってイチャイチャしてくれて構わないわ。

「うさ、頬っぺに生クリーム付いてるぞ!」
「え?やだぁ~まもちゃん取ってぇ~」
「ったく、うさはしょうがないなぁ~」
「えへへぇ~♪」
「ん、甘い。うさの味がする」
「やっだぁ~♪まもちゃんのエッチ!」

さっきからずっとこんな感じで見せ付けられている。
うさの味って何よ?生クリームの味でしょ?
転生して頭おかしくなったか、王子よ?
「まもちゃんもチョコ付いてるよ?」
「嘘?うさ、取って?」
「ん、おいひー♪まもちゃんの味だ」
うさぎも、まもちゃんの味って何?
普通にチョコの味でしょ?
2人とも味覚大丈夫?

「はい、あーん♪」
「ん、んまい!」

今度は互いのスイーツを食べさしあいっこ。仲がよろしいことで。

完全に私そっちのけで2人だけの世界。そろそろ私の存在思い出してもらわないと、私は空気じゃないし。

「コホンッそこの2人!私がいる事忘れてない?」

厳しめに言ってうさぎには優しい目で、まもちゃんには意地悪な目で問い詰める。

「勿論忘れてないよ!」
「ああ、俺も忘れてないぜ!ただ、うさしか見えないだけさ」

コイツら私の存在分かっててこれか?見せつけてくれるじゃない!
しかもまもちゃん、うさぎしか見えてないって、言ってくれるじゃない。
きっとこの2人は今食べてるスイーツよりも甘いんだろう。
甘い!あまぁ~~~~~~~~い!甘すぎるわ!見てるこっちが甘さで胸焼けする位には甘い。
注文していたオレンジジュースを慌ててすする。糖分カットでゼロカロリー。

そしてジト目で2人を見ながら私は、また前世を思い返していた。
そう言えば護衛について行った時も2人を遠くからイチャイチャするのを見ていた。あの時は1人じゃなくて、アイツがいたけどー。

前世も現世も人の幸せ見てばっか…。
愛の女神の名が廃るわ。
それとも何?愛の女神って人の恋路を見守る側なの?せつなーい!
よし、決めた!こーこー入ったら絶対!ぜぇっっっっっっっっったい!まもちゃんやアイツ以上のいい男、ゲットしてやるんだから!!




おわり

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