時を超えたプレゼント


そこからはうさぎの独壇場。お気に入りの場所や、ムーンキャッスルの中を散策したり。その度に思い出や四守護神との事を色々饒舌に話して聞かせた。

そしてーー

「ここがあたしのーーセレニティの部屋だよ」

ムーンキャッスルのある場所の前に立ち尽くすと、うさぎはそう言って扉を開き入って行く。

「ここもあの時のまま、全然変わってないなぁ~」

中に入って一通り見渡したうさぎは嬉しそうに呟いた。

「お邪魔します」
「うふふ。いらっしゃい、まもちゃん」

衛がセレニティの部屋に入る。その不思議な光景にうさぎは変な気持ちになる。

「へぇー、これがセレニティの部屋か」

衛は初めて見るセレニティの部屋に感動する。

「やだぁ~、あんま見ないでよ!照れちゃう!」
「連れて来といて何だよ、うさ」
「そうなんだけどぉ~」

そう言いながらモジモジして照れるうさぎ。

「見て見て!」

恥ずかしさを隠す様に、窓に案内するうさぎ。

「おお、地球が綺麗だな」
「でっしょぉ~!ここから見る地球、大好きだったんだ」
「星も綺麗だし、いかにもセレニティが憧れていたのが分かるよ」
「えへへぇ~」

セレニティだった頃にお気に入りだった自身の窓辺から見える景色。
変わらず綺麗な地球や星々。それを衛と二人で見る事が出来る日が来るとはあの時は考えもしなかった。

「色んな奇跡のおかげで、あたし達ここでこうしていられるんだよね」
「ああ、そうだな。クイーンやセレニティ、セーラーサターンの力や願いのお陰だな」
「それにまもちゃんのゴールデンクリスタルもね!」
「え?」
「やっぱりさ、そこにまもちゃんの中に眠っていたゴールデンクリスタルがなければあたしだけじゃなくセーラー戦士みんなも上手く一緒に転生出来なかったと思うんだ」
「買いかぶり過ぎだって」
「そんなことないよ!まもちゃんの力は凄いんだから!あたしが言うんだから間違いないよ!」
「やっぱりうさには敵わないな」

銀水晶の力を補助する対のゴールデンクリスタル。うさぎは転生を手伝ってくれたのだと信じていた。
そして、うさぎと衛を導き引き合わせてくれたのだとうさぎは信じて疑わなかった。

「そろそろ帰ろっか?」
「もう良いのか?」
「うん、まもちゃんと念願の月でデートが出来たから嬉しかった」
「俺も、連れてきてくれて嬉しかった。ありがとう、うさ」
「どういたしまして。又、来ようね」
「ああ」

又二人でここに来ようと約束して、二人は手を繋ぐ。

「今度はまもちゃんのゴールデンクリスタルで帰ろ」
「出来るのか?」
「さあ?」
「さあって、適当だな」
「まもちゃんの心次第だと思うから、ゴールデンクリスタルに祈ってみると良いよ」

やってみないと何事も分からない。
数日前にうさぎに言われた通り、心次第でコントロール出来るのならやってみる価値はある。そう考え、衛はゴールデンクリスタルを取り出して祈る。
すると、銀水晶と同じ様に光り輝き二人を包む。

次に光がなくなり目を開けると、そこは元いた衛の家の玄関に二人は立っていた。

「戻って、来られたんだな……」
「ね?ちゃんとゴールデンクリスタルは答えてくれたでしょ?」
「そうだな」

帰ってこられてホッとする二人。

「それにしてもやっぱりここは暑いな」

月との温度差に衛はうんざりする。
そう言えば月に行く直前、クーラーの電源を切ってしまっていた。
月では結構長居してしまい、部屋にはすっかり暑さが戻ってしまっていた。

「うさ、帰らなくて大丈夫か?」
「うん、一応遅くなるかもって伝えてるから」
「そうか。じゃあ、もう少し一緒にいてくれ」
「うふふ。喜んで♪」

誕生日に月へ行くと言うきっとどこを探してもそんな体験をしている人はいないだろう。そんなファンタジックな誕生日を過した衛は、凄い一日だったと思った。

そして、うさぎはもう暫くいれると聞き衛は長くて素敵な誕生日になりそうだと嬉しく思った。




おわり

20230803 地場衛生誕祭2023








      ***あとがき***

 最後までご拝読ありがとうございましたm(_ _)m
 ファンタジーな世界はいかがでしたでしょうか?
 この話で書きたかった話はうさぎがまもちゃんに月の土地をプレゼントするという所一点で、この話を思いついたのは半年前の二月三日の事でした🤣偉い早くに降りてきましたが、頭の中にずっと入れていました。
 うさぎが月の土地をプレゼントするってええやん!月の王国の姫だからちょうどいいし、何で今まで思いつかなかったか?誰もこれでネタ書いてなかったんや?となりました。
 で、更に書きたかったのはまもちゃんは土地勘はないが英語は得意。逆にうさこは英語は出来ないが土地勘がある。そうだ!月に実際行ってどこなのか確かめよう!と月へ行き、生き生きするうさぎと戸惑うまもちゃんを書きたいと思い、こんな話に🤣

 ただ、デッド・ムーンとの最終決戦直後のまもちゃんの誕生日なので、ちびうさがいるのがネックでした。酷い言い方をすると邪魔をするので祝いたがると思い、どうしようと考えると恋をすることで大人の階段を登ると言ういい感じの話が降りてきたので傷つけずにフェード・アウトさせられました。
 兎に角この話は二人で過ごしてもらわないと成立しないので、ちびうさには悪いですが身を引いて貰いました。

 飽くまでも月に行くのがメインのため、お墓参りも適当にまもちゃん一人で行って貰いました。二人で墓参りも違う話でまもちゃんの誕生日の話で書きたいので。
 なので、バースデーケーキにろうそくを立てるとか仏壇用のお花も後付け。書きたかったのは月の土地を上げる話からなので半分はそこに行くまでの前置きで適当に考えた話なのに結構いい話になって結果儲けものだなと思いました。とはいえ長い前置きだったので本題行くまでに疲れはしましたね😅

 後は二年前に書いた七夕の話と、まもちゃんの誕生日の話もここで回収してます。
 ゴールデンクリスタルも早速実際に使ってもらってまもちゃんの心のままに使える事も証明してもらいました。
 流石に月でデートや王国の中をウロウロまでは考えてなかったのでまさかの展開でしたが🤣

 月の土地、セラクラさんは持ってる人多いかなと思うのですが、私は実は勝手無くてホームページ見て想像して書いただけなので違っていればすみません。
 後、持ってる人に質問なのですがアレってどうやって送付されるんですかね?何処からくるの?日本語で来るの?日本語で来るか分からないから買いたくても変えませんでした😅

 長々あとがきすみませんでした。
 ここまで読んでくださった読者様、大変感謝しておりますm(_ _)m

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