原作まもうさSSログ


「結婚しよう、うさ」

昨日、うさに改めてそうプロポーズをした。
以前、空港で言おうとしてギャラクシアに阻まれ、うさの前で消滅してしまい、言えずにいた言葉。
もう一度言ったのは、また再び留学する為に旅立つ日。

それから何年経っただろうか?
ずっと変わらず俺とうさは付き合い、年月を重ねてきた。
色んな事があったが、俺はうさしか考えられない。うさ以外は考えた事も無かった。
うさも同じ気持ちでいてくれて、俺の彼女でいてくれた。そして昨日、本当のプロポーズをする運びとなった。

俺たちの将来は既に分かっていた。
戦いの中で未来へ行き、自分達が何者で何をしているかを見てしまったから。
それでもあの世界は、もうパラレルワールドと言う可能性もある。
しかし、俺たちが戦士として戦う使命を持っている限り、キングとクイーンとなる世界が待っている。そう、感じている。

「よろしくお願いします、まもちゃん」

うさの答えもまた、YESであると分かっていた。
日頃から“まもちゃんのお嫁さんになる”や、料理して失敗したり勉強で赤点取っては“まもちゃんのお嫁さんとして相応しくない”など嘆いていた。
ごく自然と俺と未来を歩んで行く事に何の躊躇も無く考えてくれている。その言動に嬉しく思っていたから。

しかし、まさかこの時の俺は幸せの絶頂にいてこの後のことなど予想出来ていなかった。

「ねぇ、まもちゃん。もう1回言って?」

余程嬉しかったのか、その日家に送り届けて別れる直前にそうお願いされた。

「うさ、結婚しよう。これで良いか?」
「うん。まもちゃん、ありがとう」

プロポーズをすると、とてもいい顔をしてくれる。
幸せな顔を見ていると、俺まで幸せな気持ちになる。
しかし、これはまだ本の序の口だとこの時の俺は、知る由もなかった。

「これからが忙しくなるよなぁ……」

うさと別れた俺は、これからの事を考え始めた。
プロポーズは通過点の様なもの。
うさの両親に挨拶に美奈を始め、戦士達に報告。前世の俺たちや30世紀のキングとクイーンへの報告もしとかなければならない。
そして、結婚式の準備か……。

「大変だな」

これからの事を考えた俺は、幸せに浸る暇を無くし、一気に現実へと戻された。
家に帰ると、どっと疲れが出たのか、死んだ様に眠ってしまった。
そして次の日、スマホを確認するとうさからメッセージが来ていた。

「まもちゃん、今日はありがとう♪やっと、私達本当に夫婦になるんだね」

文面からも幸せオーラが伝わってくるようだ。喜んでくれているなら俺も嬉しい。
うさが書いてきた“夫婦”と言う言葉を改めて見て、込み上げてくるものがある。

プロポーズ後も定期的に俺とうさは恋人としての時間を大切にしようと、出来る限り時間を作ってはデートを重ねる約束をした。

「プロポーズから5日目だね」
「ああ、そうだな」
「ね?また、言って欲しいな?」
「え?参ったな……」
「ね、お願い?」
「仕方ないな……結婚しよう、うさ」
「うふふっ」

プロポーズの日から5日後、うさとのデートの冒頭であの言葉を強請られる。
余程嬉しいのだろう。俺も、言える事が嬉しくて言ってしまう。

「今日は、ありがとう」
「こっちこそ。じゃあ、またな。うさ」
「うん。まもちゃん、もう一回あの言葉、言って欲しいな」
「え、またか?」
「お・ね・が・い?」
「仕方ないなぁ。うさ、結婚しよう」
「うふふっありがとう」

帰り際にも強請ってくる。本当に嬉しいんだな。そんなうさに俺もついついプロポーズの言葉を言っていた。

「プロポーズから一週間経ったね」
「ああ、そうだな」
「また、言って欲しいな?」
「仕方ないな。結婚しよう、うさ」
「まもちゃん♪」

それからのうさは、兎に角ことある事にプロポーズの言葉をせがんで来た。
10日、2週間、半月、1ヶ月と数えてはその度にプロポーズを強請ってくる。
場所も何も関係なく、強請ってくる。
愛し合っている時でさえ、“愛してる”の言葉だけでは足りないのか。何度も何度も。

「愛してる、うさ。結婚しよう」
「私も愛してるわ、まもちゃん」

“愛してる”や“結婚しよう”の言葉を言う度うさは、幸せな顔になる。
俺たちにとって将来を約束するその言葉を言える事。聞けることは、誰よりも特別だ。

かつて俺たちは、月と地球の王子とプリンセスだった。やがてプリンセスは地球へと降り立ち、俺たちは出会い、惹かれあった。
月と地球のものは愛し合ってはいけないと言う絶対的な神の掟が存在した。
しかし、そんなの関係なく、激しく愛し合った。やがて俺たちは神の逆鱗に触れ、互いに王国を継ぐことなく滅びてしまった。

しかし、またこうして生まれ変わり、出会って再び恋をした。身分やしがらみなど関係なく、お互い普通の地球人として愛し合い、将来を近い合うことが出来る。
その事がどれ程幸せな事か。俺たちは身をもって知っている。だからこそ、うさはこのこの言葉を繰り返し聞きたいのだろう。

「うさ、結婚しよう」

だから俺も、うさの気持ちに答えたい。うさが気の済むまで俺も、この言葉を言ってやりたい。そう決意した。

「ね、もっかい、言って」

そして、プロポーズは結婚式当日までずっとせがまれ、言わされた回数は101回どころじゃ済まなかった。

プロポーズ前日は、聞き納めだとか言ってベッドの上で裸で50回くらい言わされた。
流石に執拗いと思ったが、俺も大概うさに甘い。後悔のないように、言える時に言おうと決意した。

「結婚しよう、うさ」

ーーいつかオレ達が消えてしまって新しいセーラー戦士たちが
ーー新しい星たちが次々に生まれてきても

セーラームーン

君はきっと、永遠に不滅だ。

永遠に一番美しく輝く星だよ




おわり

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